マイクロ・ナノ工学部門『技術功績賞』を受賞

セイコーエプソン㈱のプレスリリース

 セイコーエプソン株式会社(以下 エプソン)は、一般社団法人日本機械学会*1が主催するマイクロ・ナノ工学部門*2の部門賞のうち、当社初となる『技術功績賞』を受賞したことをお知らせします。

シリコンがんぎ車(左)と、搭載したスケルトンムーブメントシリコンがんぎ車(左)と、搭載したスケルトンムーブメント

 受賞理由は、MEMS加工技術*3を駆使した自社開発のシリコンがんぎ車によって、機械式腕時計のパワーリザーブを約20時間延長するなどの性能向上に加え、審美性を高めたエプソンの技術が、機械式腕時計と各種MEMS加工技術の異分野融合によって新たな価値をもたらしたことが評価されました。

 一般的に機械式腕時計は100個以上もの精密なパーツからなり、運動機構を構成する主な部品は、ひげぜんまいや、がんぎ車、アンクルなどです。その中のがんぎ車を、エプソンのプリントヘッド製造にも使われているMEMS加工技術を用い、シリコン製にすることで軽量化と加工精度が向上しました。これにより機械式腕時計の持続時間を50時間から70時間に延ばすことを実現しました。さらに、エプソンの半導体技術により、酸化膜*4からなる積層膜の厚みを数ナノメートル単位でコントロールすることで鮮やかなブルーを発色させ、スケルトンムーブメントの美しさを引き立てています。
 なお、表彰式は11月10日(水)に、オンラインによる第12回マイクロ・ナノ工学シンポジウム*5にて行われました。

*1: 機械関連技術に関わる技術者や研究者、学生、法人が会員となり、機械に関する学術分野をカバーする22部門と、地域の活性化活動を行う8つの支部で構成され、会員相互の学術向上および、社会への技術成果の還元を目的とした学会。(日本機械学会ホームページ:https://www.jsme.or.jp/
*2: マイクロメートル、ナノメートルの領域における工学・理学に機械工学がさらなる主体的貢献を行うことを目的とし、2012年に設立された。
(マイクロ・ナノ工学部門設立趣旨:https://www.jsme.or.jp/mnm/establishment.html
*3: 一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に、サブミクロン(1万分の1ミリ)レベルの精度で機械要素部品やセンサー、アクチュエーター、電子回路などを集積化する技術。
*4: シリコンや金属が酸素と結合することによってできる緻密な膜のことで、化学的に安定であり、耐腐食性、良好な絶縁性を有する。
*5: 2009年から開催され、マイクロ・ナノメートルの領域における工学や理学に機械工学がさらに貢献することを目的としている。今年の第12回シンポジウムでは、約140件の発表があり、また、同時開催された日本機械学会の各種シンポジウムや学会、研究会などと合わせ、850もの研究者・技術者が参加。
 
<参考情報>
■『技術功績賞』を受賞した技術の詳細は、以下WEBサイトをご覧ください。
・70年培ってきた機械式腕時計の設計技術
https://www.epson.jp/technology/core_technology/wearable/orient_watch.htm
・匠の技と製造技術の融合による機械式腕時計の進化
https://www.epson.jp/technology/interview/wearable.htm
・MEMS加工技術
https://www.epson.jp/technology/core_technology/inkjet/mems.htm

■ シリコンがんぎ車を採用した製品「ORIENT STAR『スケルトン』」のニュースリリース
https://www.epson.jp/osirase/2021/210127.htm

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