創業310年の中川政七商店、初のM&A経営基盤を整え、産地で次の経営者を育てる「リレー型事業承継」へ

兵庫・豊岡のかばんメーカー「バッグワークス」を子会社化

株式会社中川政七商店のプレスリリース

1716年創業の奈良の老舗・株式会社中川政七商店(所在地:奈良県奈良市、代表取締役社長 千石あや)は、2026年8月21日付で、兵庫県豊岡市のかばんメーカー・バッグワークス株式会社(1954年創業)の全株式を取得し、同社の事業を承継しました。当社にとって、創業以来初となるM&Aです。
本事業承継では、バッグワークスの社名やブランド、豊岡の製造拠点を維持し、当社が経営を引き受けます。またこれまで経営者個人が担ってきた機能を組織で担える体制へと転換するとともに、バッグワークス社内や豊岡の地域で次代の経営者を育成します。将来的には、その担い手へ経営を託す「リレー型事業承継」を目指します。

事業承継の背景

日本企業の後継者不在率は50.1%(※1)。また近年に休廃業・解散した企業の約半数は黒字(※2)であり、業績が健全であっても、経営者の高齢化や後継者不在などを背景に、事業の継続を断念する企業は少なくありません。
バッグワークス株式会社は、日本最大級のかばん産地である兵庫県豊岡市で、1954年に創業したかばんメーカーです。黒字・無借金経営を続ける一方で、生産計画や商品企画、販売などの経営判断は、前社長の経験と判断に支えられてきました。前社長が引退を見据え、事業承継先を検討するなか、退任後も事業を安定して継続できる経営体制を整えることが課題となっていました。

中川政七商店は、2011年から経営支援やブランド開発、流通支援を通じて、バッグワークスと約15年にわたり協業。そのなかで、同社の製造技術や商品開発力、ものづくりに誠実に向き合う姿勢への信頼を深めてきました。当社におけるバッグワークス社商品の売上は、2025年度に前年度比110%となり、過去最高を更新。長年蓄積してきた技術を生かした商品は、現在も多くのお客様に支持されています。
こうした製造技術と事業を途絶えさせないため、中川政七商店は「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、同社の経営を引き受けることを決断しました。今後は経営基盤を整えるとともに、バッグワークス社内や豊岡の地域で次代の経営者を育成し、地域に根差した経営へとつなぐ橋渡しを担います。

※1出典:帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」
※2出典:帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2025年)」

バッグワークスについて

バッグワークスは、国内最大級のかばん産地である兵庫県豊岡市で、1954年に創業。郵便、銀行、医療など、さまざまな仕事の現場で使われる業務用かばんを手掛け、用途に応じた機能性と、長く使える丈夫さを磨いてきました。
中川政七商店との関係は、2011年に始まったコンサルティングに遡ります。当時、業務用かばんのOEMを中心としていた同社の新たな収益の柱をつくるため、一般向けブランドの開発を支援。2012年に、“しごとのかばん”をコンセプトとする「BAGWORKS」が誕生しました。
郵便配達員のかばんから着想した「POSTMAN」や、ドクターズバッグをリデザインした「DOCTORMAN」など、業務用かばんの機能や形を生かした商品を展開。多くのお客様に支持され、現在ではBAGWORKSブランドが同社の売上高の80%以上を占める主力事業へと成長しています。

「リレー型事業承継」、3つのポイント

承継後も、バッグワークスの社名やブランド、豊岡の製造拠点、従業員の雇用を維持し、以下の3点を重点的に進めます。

1.経営・生産管理体制の構築

承継後当面は、中川政七商店の複数の社員が月の約半分を豊岡で勤務し、バッグワークスの社員とともに経営・生産管理の実務に携わります。前社長が担ってきた生産計画や商品企画、受注管理などの業務を整理し、判断基準を明文化することで、社内で分担できる体制を構築。安定して製造・出荷を続けられる組織を目指します。

2.商品企画力の強化と販路拡大

バッグワークスが培ってきた業務用かばんの製造技術や企画力に、中川政七商店の販売データやブランディングの知見を掛け合わせ、新商品の開発と既存商品の強化を進めます。また中川政七商店の直営店、オンラインショップ、卸売の販路を活用するとともに、バッグワークス独自の法人・小売販路も開拓します。

3.豊岡に根差した経営人材の育成

ものづくり企業の経営には、技術や働く人、取引先、産地との関係を理解し、現場に根差して判断することが欠かせません。そのため中川政七商店が、奈良から恒久的にバッグワークスを経営し続けることをゴールにはしていません。
バッグワークスの社員が商品企画、生産管理、販売、財務、組織運営などに関わる機会を増やし、経営人材の育成・採用を進めます。
将来的には、バッグワークス社内または豊岡の地域で育った次の経営者へ事業を託す「リレー型事業承継」を目指します。

「最高のなりゆきの結果」。
人生をかけた鞄づくりを託す、バッグワークス事業承継の物語

バッグワークス株式会社 前代表取締役 高島茂広氏 コメント

中川政七商店とは、2011年にコンサルティングをお願いしたのが始まりです。当時、リーマンショックの影響で業務用かばんの受注が低迷するなか、自社ブランドの必要性を強く感じていました。翌年に「BAGWORKS」を立ち上げて以降も、ブランドづくりに加え、経営の考え方や数字の見方を学び、百貨店での販売など、さまざまな経験をともに重ねてきました。

事業承継は、コンサルティングを受けていた当時から課題の一つでした。社内での後継者育成や外部からの招聘も試みましたが、承継には至りませんでした。そうしたなか、長年の信頼関係があり、単に商品を販売するだけでなく、商品を自ら使い、ブランドを好きでいてくださる中川政七商店の皆さん以上に、安心して会社を託せる相手はいないと考えました。

今回の承継は、従業員や取引先、何よりバッグワークスの将来にとって、「最高のなりゆきの結果」だと確信しています。長年育ててきた会社を離れる寂しさはありますが、社員の仕事が続き、ブランドが次の世代へ引き継がれていくことを、心からうれしく思います。これからも「BAGWORKS」ブランドをよろしくお願いします。

バッグワークス株式会社 代表取締役/株式会社中川政七商店 取締役 副社長 荻野祐 コメント

このたび、バッグワークス株式会社の代表取締役に就任いたしました。中川政七商店の取締役 副社長も引き続き務めます。

バッグワークスは、70余年の歴史を持ち、中川政七商店とも長くともに歩んできた会社です。その事業を受け継ぐことに、身の引き締まる思いです。高島さんはじめ皆さんが育ててこられた技術とものづくりへの思い、そして築かれてきた信頼を大切に受け継ぎ、豊岡に根差す会社としての成長を支えてまいります。
いつか豊岡の地で次の担い手へバトンを渡せるよう、バッグワークス・中川政七商店のメンバーで一丸となり力を尽くしてまいります。

株式会社中川政七商店 代表取締役社長 千石あや コメント

バッグワークスさんとは「BAGWORKS」の立ち上げ以来、15年以上にわたり、ともにブランドを育てる中で信頼関係を築いてきました。高島さんご夫妻と社員の皆さんが守ってこられたものづくりと、お客様やお取引先から寄せられた信用を託していただくことに、今、大きな責任を感じています。
会社とは、そこで働く人であり、その人たちが積み重ねてきた姿勢や営みそのものです。鞄と人と仕事に誠実に向き合いながら、変わり続けることで未来へつないでいく。バッグワークスの皆さんとともに、地域に根ざしたものづくりを次代へ手渡す、事業承継の新しい形をつくっていきたいと思います。


株式取得の概要

株式取得日:2026年8月21日
取得株式:バッグワークス株式会社の発行済株式の全て
取得金額:非公表
承継後の株主:株式会社中川政七商店 100%
承継後の役員体制:代表取締役 荻野祐

バッグワークス株式会社

所在地:兵庫県豊岡市九日市上町767-4
創業:1954年
事業内容:業務用かばんの企画・製造
       自社ブランド「BAGWORKS」の企画・製造・販売
売上高:非公表
従業員数:8名
URL:https://bagworks.co.jp/

株式会社中川政七商店

所在地:奈良県奈良市東九条町1112-1
創業:1716年
代表者:代表取締役社長 千石あや
事業内容:生活雑貨の製造小売業、産地支援事業
売上高:103億2千万円(2026年2月期)
従業員数:637名(2026年2月期)
URL:https://nakagawa-masashichi.jp/company/

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