10年前に6万円で買った喪服の行方から、24時間無人の喪服レンタル店を始めるまで
アンドバイエム株式会社のプレスリリース
喪服のミライ(運営:アンドバイエム株式会社/本社:神奈川県横浜市、代表取締役:原田ゆかり)は、2025年11月に横浜店、2026年6月に大阪なんば店をオープンいたしました。
こんにちは。『喪服のミライ』代表の原田ゆかりと申します。
スマホ一つで予約し、来店、レンタルまで最短30分で(もっと短いお客様もいます)完結できる仕組みのお店を横浜と大阪(難波)で、24時間・完全無人の喪服レンタル店として運営しております。
横浜店ではオープンから5ヶ月間で、2,400名様がLINEへ登録してくださり、1,300名以上のご利用、女性のご利用も500名以上、リピーター100名超と多くの方々にご利用いただいております。

よく周囲からは「なぜ、無人の喪服レンタルだったの?」と聞かれます。
効率化を狙ったビジネスモデルに見えるかもしれませんが、この事業が生まれたきっかけは、ごく普通の日常会話からでした。
今回は、私たちが『喪服のミライ』というサービスを立ち上げるに至った経緯、そこからの想いについて、お話しさせてください。
始まりは、車窓から見えたスーツ量販店の看板
私たち夫婦はもともと、新しいビジネスやサービス、仕組みをあれこれと考えることが好きな性分(変わり者)です。「こんな新しいビジネスがあるよ」とか「こういうサービスがあったらいいね」というやり取りが日常の会話にあります。
ある日、夫が運転する車の助手席に座っていたとき、窓の外を某スーツ量販店が通り過ぎていきました。その看板をなんとなく眺めていたとき、話の流れで夫と「喪服」の話題になりました。
「そういえば、10年くらい前に買った喪服、今クローゼットの中でどうなっているんだろうね」
当時、急な葬儀があり、私はネットで喪服をレンタルしようと試みたことがありました。しかし当時は会社に勤めており、朝から晩まで仕事に出ていたため、自宅で荷物を受け取ることがどうしても難しかったのです。
さらに、ネットでのレンタルは「本当に明日の式までに届くのか」「もし届いても、サイズが合わなかったらどうしよう」という不安が常に付きまといました。
結局、タイムリミットと不安に追われる形で、近くの店舗へ駆け込み、一式約6万円を払ってその場で購入しました。夫の分も含めると10万は超えています。決して安い出費ではありませんでしたが、最後のお別れにはきちんとした装いが必要です。
「でも、あの時に6万で購入した喪服、あれから一度も使っていないんだよね。」
夫にそう話しながら、不思議な感覚になりました。喪服を使わないということは、身近な人がみんな元気で平穏に暮らしているということ。それは間違いなく「良いこと」です。
しかし同時に、めったに使わないものに対して、個人がそれぞれ何万円も支払ってクローゼットに眠らせている現状に、違和感を覚えました。
あまり使わないモノだからこそ、個人で所有するのではなく、それこそ近所の人たちで貸し借り出来るようなもの・・・・。地域や社会でシェアできる仕組みがあればいいのではないか。
この車内での会話が、『喪服のミライ』のすべての始まりでした。
「ママもいつか死ぬの?」という問いから、あかるい「ミライ」をつなぐ
私どものサービス名は『喪服のミライ』と言います。
このミライには2つの想いを込めています。
1つ目は、どんな名前にしようか考えていたとき、ある記憶が蘇りました。今から10年前、先ほどお話しした「6万円で喪服を一式揃えて参列したお葬式」でのことです。
当時まだ小さかった娘は、それが初めての葬儀参列であり、夫の祖母の死に直面した瞬間でもありました。
棺(ひつぎ)に眠るおばあちゃんを見て、まだ死の意味がよく分からなかった娘からは、色々な質問をされました。一つひとつ言葉を選びながら説明していく中で、娘がポツリと私に聞いてきたのです。
「ママもいつか死ぬの?」

幼い子どもにとって「死」は理解もできず、漠然とした恐怖だったのかもしれません。しかし、私たちは誰しも、先人たちがつないでくれた命のバトンを受け取って今を生きています。人と人は、時代を超えて確かにつながっているのだと、娘の問いかけを通じて改めて深く考えさせられました。
もしかすると、別れの服を扱う場所に「ミライ」という名前をつけるのは、不謹慎だと捉えられることもあるかもしれません。
しかし、大切な人との別れは、言葉にできないほど辛く、暗いものであるからこそ、私たちはその悲しみの先にある「未来」を見つめたいと考えました。死や別れは決して終わりだけを意味するのではなく、残された者が「命のつながり」を再確認する瞬間でもあります。旅立つ人が、後に残る子どもたちに願うのは、きっと絶望ではなく「あかるい未来」のはずです。
だからこそ、私たちが提供するサービスは、単に黒い服を貸し出すだけの場所にはしたくない。悲しみの中でふと立ち止まった人が、もう一度前を向いて、あかるい未来へと歩き出すための「伴走者」でありたい。それが、この店名に込めた最初の想いです。
テクノロジーで実現する、社会と人に優しい「共有」のカタチ
もう一つの「ミライ」それは「喪服の新しい様式」としてのミライです。
人間もまた最後には自然へと帰っていく存在です。そうであるならば、人間が身にまとうものや社会の仕組みも、過剰な生産や廃棄を抑えた「自然な循環」の中にある方がいいなと考えています。

仏教に「足るを知る」という言葉があるように、めったに着ない喪服を皆がクローゼットに眠らせておく必要はなく、地域で共有(シェア)し、必要なときにだけ利用する。これは、地球や社会にとって優しい形になる。そう思っています。
しかし、従来のレンタルには「営業時間に間に合わない」「サイズが合うか不安」という高いハードルがありました。かつて私が直面したその課題を、私たちは「24時間・無人店舗」という形で解決しました。
24時間いつでもスマホ一つで入店できれば、仕事帰りでも深夜でも、自分の目で見てその場でサイズを合わせられます。ネットレンタルのような届くまでの不安や、受け取りの手間はありません。
そしてこの「無人」という環境は、心理的な負担を減らすという大切な役割も担っています。
大切な人との別れを前に、「誰とも喋りたくない」「気を遣いたくない」という張り詰めた精神状態。店舗スタッフの接客は時に大きな負担になり得ます。
誰の目も気にせず、自分のペースで静かに準備を整えられる「放っておかれる心地よさ」。それこそが、お客様に寄り添うための無人化の価値だと考えています。

