ブルガリ・ジャパン合同会社のプレスリリース

2025年10月24日(パリ)- 長年にわたり数多くの才能を国際舞台に送り出してきたブルガリ 財団と、MAXXI(イタリア国立21世紀美術館)が共同で主催する、MAXXI BVLGARI賞の第5回授賞式がパリのイタリア文化会館にて行われました。キアラ・ベルサーニ、アジ・ディエジェ、マルゲリータ・モスカルディーニの3名が、若手アーティストの支援・育成プロジェクトである第5回MAXXI BVLGARI賞の最終候補として発表されました。
ブルガリ 財団とイタリア国立21世紀美術館が共同で主催するこの賞は、若手アーティストの支援と育成を目的としており、これまでに多くの才能を国際的な舞台に送り込んできました。
ファイナリスト3名の名前はMAXXI財団会長のマリア・エマヌエラ・ブルーニ、ブルガリ 財団理事長のマッテオ・モルビディ、MAXXI芸術監督のフランチェスコ・ストッキによって発表されました。また、アントニオ・カルビ館長の挨拶をイタリア文化会館文化担当官のステファノ・クエスティオーリが紹介しました。
受賞アーティスト3名のうち2名、アジ・ディエジェとマルゲリータ・モスカルディーニが審査員代表とともに出席しました。キアラ・ベルサーニは新作公開のため欠席となりました。
2026年秋、MAXXI美術館で催されるジュリア・フェラッチがキュレーションする展覧会にて、この賞に向けてファイナリストにより特別に制作されたサイトスペシフィックな作品が展示されます。展覧会終了時に審査員によって選出された優勝者の作品が、MAXXI美術館に収蔵されることとなります。
MAXXI財団会長のマリア・エマヌエラ・ブルーニは下記のようにコメントを寄せました。
「芸術は、国がその物語、つまり歴史と未来を想像する能力を語るための言語のひとつです。MAXXI BVLGARI賞によってイタリアの新世代アーティストのヴィジョン、アイデア、挑戦を通して未来が形作られます。今年は知性と創造力によって活力を最大限に体現する3人の女性がファイナリストに選ばれました。イタリアンコンテンポラリーアートの振興と普及は私たちの使命であり、大きな責任も担っています。この会を実現してくださったパリのイタリア文化会館、そして長年にわたり私たちと価値観を共有するパートナーであるブルガリ 財団の貴重かつたゆまないご支援に感謝申し上げます」
ブルガリ 財団のディレクター、マッテオ・モルビディは次のようにコメントしました。
「今回のMAXXI BVLGARI賞は、私たちにとって特に意義深い節目となります。この賞がブルガリ 財団が推進する取り組みの一部となることをアナウンスできることを大変光栄に思います。ブルガリは長年にわたり芸術的遺産と創造的表現を支援してきましたが、この取り組みの継続性と一貫性を確保するためにこの賞を設立しました。ブルガリ 財団は、数々の国際的な取り組みを通じて、若い才能たちの活発かつ継続的なアイデア交換を促進しています。私たちのコミットメントと、MAXXI BVLGARI賞を常に活気づけてきた精神に基づき、現代アートの新たな表現を促進する触媒となれることを誇りに思います」
最後にMAXXIアーティスティックディレクター、フランチェスコ・ストッキが次のようにコメントしました。
「5回目を迎えたMAXXI BVLGARI賞は、イタリアアートの振興、そして現代において差し迫っている課題を反映する探求と挑戦の支援において、重要な役割を担うことを証明しています。イタリア国内外の主要機関のキュレーターやディレクターで構成される国際審査委員会が、今年のファイナリストとして、キアラ・ベルサーニ、アジ・ディエジェ、マルゲリータ・モスカルディーニを選出しました。彼女たちの作品は、それぞれ身体、記憶、空間をアイデンティティ構築の手段として中心に据えています。本日、MAXXIの空間における研究と対話の旅が始まります。アーティストたちの新作制作に寄り添い、イタリア現代美術の多面的なイメージを広げるとともに、創造性を支援するプラットフォームとしての賞の役割を強化していきます」
2026年第5回MAXXI BVLGARI賞ファイナリスト
キアラ・ベルサーニ
1984年、ロディ生まれ。舞台芸術、実験演劇、コンテンポラリーダンスの分野で活動するパフォーマー、振付家、そしてビジュアルアーティストです。彼女の芸術的探求は”政治的身体”という概念に根ざしており、自身の身体の特殊性を強調することで詩的で豊かな表現を創造します。彼女の美学は、身体の独自性を明確に可視化することにより、障害に対する画一的なイメージや表現に挑む実験をベースとしています。
審査委員会はベルサーニについて下記のようにコメントしました。
「強力な変容する力が選出の理由です。単なる身体による表現にとどまらず、その作品は訴えとなり、洞察となり、さらに政治的表現の主体へと変容していきます。作品『ジェントル・ユニコーン』は、支配や美の固定観念を覆すアナーキーな媒体となる象徴的な例です。彼女の作品は経験を伝える証言となるだけでなく、身体性が抵抗の表現手段となり、そこから議論が生まれコミュニティの形成が促進される空間を活性化しているのです」
アジ・ディエジェ
1991年ミラノ生まれ。ミラノとダカールを拠点に多分野で活動するアーティストです。表現とアイデンティティの概念が、現代世界の社会政治構造をどのように形作っているかを探究しています。広告、建築、そして国立公文書館の分析を通して、ディエジェは自己決定と集団的アイデンティティの概念を形成する美学について考察しています。彼女の作品において中心的な役割を果たすのは写真です。写真は多用性のあるメディアであると同時に、西洋社会と非西洋社会の間にある表現や他者化の過程に疑問を投げかけるための批判的なツールでもあります。
審査委員会はディエジェについて下記のようにコメントしました。
「彼女の作品はドキュメンタリーと創作の境界線を曖昧にすることで、鑑賞する人に彼女の故郷セネガルについて積極性とそれに対する責任意識を持ってアプローチすることを促します。また一方で彼女は、歴史から忘れられ消し去られた出来事を幾重にも重ねて伝えることで脱植民地化などの政治的課題に取り組んでいます。写真はまたポストコロニアルの風景、記憶、そして沈黙を共に伝える、より広範な実践ネットワークにおけるツールとして機能しています」
マルゲリータ・モスカルディーニ
1981年リヴォルノ生まれ。特定の地域における都市の構造、社会的要素、そして自然の変化のプロセスを題材とし、多次元的な作品のインスピレーションの源泉としています。法律との関わりを通して、彼女は空間における居住の新たな方法を探求しています。彼女の作品は建築、都市生活、市民権といった様々な分野に及びます。それらが位置している国民国家の主権から距離を置く、居住可能なオブジェクトや空間として構想された彫刻を生み出すことを目指しています。
審査委員会はモスカルディーニについて下記のようにコメントしました。
「モスカルディーニの活動は、理論的考察と具体的な形態の密接な融合に基づいています。彼女の作品は空間そのものではなく、その空間の都市的、建築的、そして社会的な意味を探求するものです。彼女の作品において古典的様式は単なる歴史的な参照には収まりません。居住する権利、内と外の関係、境界と開放性の観点から解体、再構築、再考されるべき概念的な素材となります。建築が物理的な景観だけでなく、自己や他者に対する私たちの認識をどのように形作るかを明示しています」
MAXXI BVLGARI賞 国際審査員
今回の国際審査員は、MAXXIアーティスティックディレクターのフランチェスコ・ストッキ、バチカン美術館現代美術コレクション・ディレクター兼ロヴェレートMARTディレクターのミコル・フォルティ、トロンハイム美術館館長兼チーフキュレーターのアダム・クラインマン、ハートヴィヒ美術財団館長ベアトリクス・ルフ、アムステルダム市立美術館館長ライン・ヴォルフスで構成されました。
審査員は、キュレーター、研究者、批評家、ジャーナリストなど、イタリアの現代美術界を代表する著名人によって選出された候補者リストからファイナリストを選出しました。
今年の候補者は、ルチア・アスペジ、マッテオ・ビンチ、クリスチャン・カリアンドロ、フリーダ・カラザト、トレティ・ギャラクシー、エマヌエーレ・グイディ、デニス・イザイア、マルタ・パピーニ、アンナ・サントマウロによって指名されました。
賞の歴史
2000年に「Premio per la Giovane Arte(偉大な芸術家へ捧げる賞)」として創設されたこの賞は、MAXXIコレクションの中核を成しています。長年にわたり、多くのアーティストが目指す登竜門となってきました。
過去のファイナリストには、ユーリ・アンカラーニ、ジョルジオ・アンドレオッタ・カロ、マッシモ・バルトリーニ、ヴァネッサ・ビークロフト、ロッセラ・ビスコッティ、パトリツィオ・ディ・マッシモ、ララ・ファヴァレット、マリネッラ・セナトーレ、ニコ・ヴァシェラーリ、フランチェスコ・ヴェッツォーリなどが名を連ねています。
2018年より、現在の「MAXXI BVLGARI賞」へと名称が変更され、ブルガリのサポートとともにさらなる発展を遂げ、国際的なアートシーンにおいてさらに存在感を高めています。
第1回となった2018年は、タリア・シェトリット、インヴェルノムート、並びにディエゴ・マルコンがファイナリストにノミネートされ、ディエゴ・マルコンが受賞を果たしました。2020年度は、ジュリア・センシ、レナート・レオッタ、と共にファイナリストとなったトマソ・デ・ルカが受賞しました。2022年度は、シルビア・ロッシ、ナムサル・シエドレッキと共にファイナリストに残ったアレサンドラ・フェリーニが受賞しました。2024年度は、リッカルド・ベナッシ、ビンタ・ディアウと共にファイナリストに選出されたモニア・ベン・ハムーダが受賞しました。
MAXXI BVLGARI賞により、卓越性、革新性、情熱、創造性、実験性といった共通の価値観、そして文化を支援することの重要性と官民連携の戦略的役割への認識に基づくMAXXIとブルガリ 財団のパートナーシップが発展しさらに強固なものとなっています。
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