【11月17日の「世界早産児デー」を前に、認知度・意識調査を実施】あなたは知ってる?「世界早産児デー」非当事者の認知度はわずか12.8%

~当事者の6割以上が「情報不足」や「相談できる人、環境がない」と感じる~

ピジョン株式会社のプレスリリース

 ピジョン株式会社(本社:東京、社長:矢野 亮)は、日本NICU家族会機構(JOIN)と共同で、当事者である早産児のご家族と非当事者を対象に11月17日の「世界早産児デー」の認知度や早産に関する意識調査を実施いたしました。

 早産児とは、在胎37週未満で出生した赤ちゃんのことを言い、日本では約20人に1人(※1)が早産で生まれています。11月17日の「世界早産児デー」は、そうした早産で生まれた赤ちゃんとご家族が抱える課題や負担に対する意識を高めるために制定されました。早産児は低体重で生まれることも多くありますが、低体重で生まれた赤ちゃんの成長を記録する「リトルベビーハンドブック」が近年急速に広まり、現在では全国47都道府県(※2)で運用・配布されています。また、早産など周産期医療を受ける子どもと家族をつなぐ家族会は全国で50ヵ所以上(※3)と、日本全体で支援の輪が広がっています。その一方で、当事者ご家族以外の認知は進んでいない現状が、本調査で明らかになりました。

「世界早産児デー認知度・早産意識調査」主要トピック

【認知度に大きなギャップ】当事者96.0%、非当事者12.8%

 当事者である早産児ご家族と非当事者では、「世界早産児デー」の認知度に大きな差が見られました。当事者のうち、「知っている」と答えたのは96.0%とほとんどの人が認知していた一方で、非当事者の認知度は12.8%と非常に低い結果となりました。

 また、早産児ご家族がどんなことで悩んでいるか、「よく知っている」と答えた非当事者は3.2%にとどまり、理解が進んでいない現状が明らかになりました。

【困り事】当事者の6割強が「情報不足」や「相談できる環境のなさ」を経験

 当事者に対して「早産を経験した後の困り事」について聞くと、回答の上位には「情報不足」(66.0%)や、「相談できる人や環境がないと感じる」(63.5%)が挙げられました。その他、周囲の人との関わりにストレスを抱える当事者も多くいました。

【切れ目のない支援の重要性】支援が必要な時期は「退院直後」が最も多い

 当事者が社会や地域に支援を求める時期は、退院直後が56.6%と最も多く、生活環境の移行期に支援を求めていることが分かりました。特に、「行政から受けられる支援やサービス・補助についての情報」「保育園や幼稚園の情報、入園サポート」など地域のサポート情報を求めていました。

【ピジョン 「世界早産児デー」応援アクションを実施中!】

 当社では、「世界早産児デー」応援アクションの一環として、10月25日(土)に本社でイベントを開催いたします。詳しくはこちらをご覧ください。

https://www.pigeon.co.jp/csr/tinycry/world-prematurity-day/

※1 2023年人口動態調査(厚生労働省)

※2 各自治体のLBハンドブック(特定非営利活動法人 HANDS)

  (https://www.hands.or.jp/activity/lbh2023/

※3 日本NICU家族会機構(JOIN)調べ

■「世界早産児デー認知度・早産意識調査」結果

【当事者・非当事者】「世界早産児デー」認知度の差は83.2pt

 11月17日の「世界早産児デー」を「知っている」と回答したのは、当事者で96.0%、非当事者で12.8%とその差は83.2ptとなり、大きな差が明らかになりました。日本において約20人に1人が早産で生まれていますが、当事者以外の「世界早産児デー」認知は進んでいません。

【当事者】早産での出産や子育てに「不安」は97%

 早産での出産や子育てに「とても不安を感じた」が82.4%、「やや不安を感じた」が14.5%と、あわせて9割以上の当事者が不安を感じていることが分かりました。また、時期別に「不安」を感じたタイミングをみると、「出産~NICU入院開始時」が最も多く、次いで「NICU入院中」が多い結果となり、赤ちゃんの容態に対する不安や発達に関する不安が多く挙がりました。

【早産での出産や子育てに対する「不安」】※本調査に寄せられた一例

●入院中は様々な合併症の治療や検査があり、その度にリスクを話され不安を抱えていた。(27週0日)

●生まれてから48時間の壁、脳出血を起こさないか不安だった。 (27週6日)

●早産児に関して産まれる前や直後、そしてその後の成長に関する情報がまとまったサイトがなかなかなく、余計に不安が募った。(26週6日)

●月齢や年齢が上がるにつれて、発育や発達の遅れに不安が増えた。1歳過ぎても歩かなかったり、発語が遅れたりと、周りの子どもが順調に成長していくのをみるにつれ、いつかは追いつけるのかこのまま成長が止まってしまうのかと不安が大きくなった。(24週4日)

【非当事者】早産児ご家族の悩みについては知らないものの、支援意欲は約7割と高い

 非当事者に対し「早産児家族がどのようなことで悩んでいるか知っているか」を聞いた質問では、「よく知っている」と回答した人は3.2%にとどまりました。

 一方で、早産児ご家族への支援に関して「積極的に力になりたいと思う」(11.4%)、「できることがあれば力になりたいと思う」(59.4%)と回答した非当事者は約7割であり、支援意欲の高さが明らかとなりました。

【当事者】60%以上の人が、周囲の人との関わりに困った経験あり

 当事者に対して「早産を経験した後の困り事」について聞くと、回答の上位には「情報不足」(66.0%)や、「相談できる人や環境がないと感じる」(63.5%)、「周囲の人との関わり」(61.0%)が挙げられました。

 実際に周囲の人と関わる中で傷ついた経験として「小さいね」など身体的な特徴や発達、月齢に触れること、身近な家族からの無理解な言葉が多く挙がりました。一方で、当事者が周囲の人に求める対応としては「頑張っているね」「こんな事ができるようになったんだね」のように寄り添う姿勢が多く挙がり、他の子と比較せずその子自身の成長を見守る姿勢が嬉しいと感じる方が多いことが分かりました。

【早産児ご家族が嬉しい接し方】※本調査に寄せられた一例

●他の子どもたちと同じように、普通に接してもらえるのが一番ありがたい。(27週3日/ 24週4日)

●「頑張ってるね」と寄り添ってもらうだけで嬉しい。(30週2日)

●1番頑張っているのは子ども自身なので、周囲から見た子どもの頑張りや成長を褒めて伝えてもらえると励みになる。(27週1日)

●早産児や小さめの赤ちゃんに対しての知識がもっとあったらいいなと思う。みんながみんな正産期に生まれ、大きさがしっかりあるとは限らないことを知って欲しい。(32週5日)

【当事者】地域・社会に対し支援が必要な時期は「退院直後」が最も多い

 当事者が社会や地域に求める支援やその時期については、「退院直後」が56.6%と最も多く、退院後も切れ目のない支援が求められていることが明らかになりました。具体的には、「行政から受けられる支援やサービス・補助についての情報」「保育園や幼稚園の情報、入園サポート」など地域のサポート情報が不足している意見が多く挙がりました。

 一方で、自治体や行政など地域の支援者に支えられた声も多く、当事者にとって頼りの存在であるからこそ、より早産児の理解が進んでほしいという願いが聞かれました。

【早産児ご家族が求める支援・情報】※本調査に寄せられた一例

●病院に療育を勧められるも、療育について情報が全くなく、どう動けば良いのかわからず、娘を抱きながら市役所や保健所に出向いて大変だった。(27週6日)

●保育園入園に際し申請の段階で全て断られた。医療ケア児を見ることのできる保育園の選択肢と理解が増えて欲しい。(33週6日)

【非当事者】今後、認知を広げる取り組みが求められる

 早産児ご家族に関する社会全体の理解や配慮を広げるために必要な取り組みを聞いた設問には、非当事者から「何気ない一言で、お母さんがとても傷つくことがあることを社会全体に知ってもらう取り組みが必要」や「ショート動画などで短く分かりやすく伝える取り組みが必要」といった認知を広げる取り組みを求める声が多く挙がりました。非当事者自身も、早産児に関する知識が十分でないと感じており、社会全体で知識を共有することが、早産児ご家族の支援において重要だと捉えていることが読み取れます。

調査概要

調査主体:日本NICU家族会機構(JOIN)・ピジョン株式会社、調査手法:Webアンケート、調査会社:株式会社イー・クオーレ

〈当事者〉有効回答者150人/分析サンプル159データ ※早産児が複数人いる場合、1人が複数の子どもについて回答したため

調査期間:2025年6月12日~6月26日

調査対象:早産での出産をご経験した当事者、性別・年齢不問  

〈非当事者〉有効回答者219人

調査期間:2025年7月18日~7月21日

調査対象:全国、25-39歳の男女、既婚、子どもはいるが早産の経験はなし


■本調査を受けてのコメント

NPO法人pena理事長 当事者ご家族 坂上 彩さん

 

 いつも小さく生まれた赤ちゃんとご家族をご支援いただきありがとうございます。

 今回の調査結果は、当事者からよく聞く声が結果として表れており、「情報不足」「相談できる環境のなさ」といった悩みは、私自身も深く痛感してきた孤立感そのものです。私たちが運営するグループLINEでは、NICU入院中から就学後まで、子どもの成長に応じた悩みが常に寄せられています。これは、ご家族が医療・福祉・行政・保育・教育といった様々な分野の切れ目のない連携や情報を強く求めている証です。

 また、非当事者の支援意欲が高い一方、7割が当事者家族の具体的な悩みを知らないという現実が、周囲との関わりで困ったり傷ついたりしてしまう経験を生んでいます。「世界早産児デー」や写真展等を通じ、小さく生まれた赤ちゃんと子育てについての認知度を高め、すべてのご家族が地域の中で心から笑って子育てできる社会を築けるよう、penaはこれからも普及啓発活動に尽力してまいります。

慶應義塾大学医学部小児科 日本NICU家族会機構(JOIN)代表理事 有光 威志先生

 日本の周産期医療の治療成績は世界トップクラスで、体重1,000グラム未満で出生した超低出生体重児であってもその救命率は高く、約90%が病院から退院していきます。

 周産期医療を受けるこどもは、退院後も成長発達は様々なため長期フォローアップが必要であり、養育する家族への社会からの支援も求められています。しかし現状は、当事者家族の声が社会に十分に反映されているとは言えず、社会支援には改善の余地があります。日本NICU家族会機構(JOIN)は、全国の子どもと家族、および関連する家族会とネットワークを構築し、すべての家族の声を社会に届け、医療の質の向上と家族支援の発展のために設立されました。

 今回のアンケート調査からは、早産児を育てる保護者は、情報不足と相談相手不在が最大の悩みであること、子育て広場や制度利用へのハードル、支援制度の不足・支援者の理解不足、復職のしにくさ、医療・行政とのやり取りの複雑さなどが負担となっていることが分かりました。実際に、早産児の診療に携わっていると出産前からご家族が不安であるというお話や、子どもが退院後の外来でご家族が情報探索や育児教育・支援機関との交渉が大変だというお話をよく伺います。当事者家族は、孤立感や自己開示の難しさにも悩んでいます。

 「世界早産児デー」に関連する本企画により、多くの方々に当事者家族の悩みや課題を知って頂き、身近な当事者家族への寄り添い方を知ることや、保育教育・支援機関の方々がスムーズにサポートを提供することに繋げて頂きたいと思います。


 ■ピジョンの取り組み「ピジョンちいさな産声サポートプロジェクト」

 当社では、早産で生まれた赤ちゃん、低体重で生まれた赤ちゃん、病気や外的疾患で治療が必要な赤ちゃんなど、専門的なケアが必要な赤ちゃんとご家族向けに「ピジョンちいさな産声サポートプロジェクト」と名付け、以下のような取り組みを行っています。

●NICU卒業生へフォトフレーム型メダルの贈呈

 NICUを退院されたお子様とそのご家族の頑張った日々を称え、過ごされた日々を振り返るきっかけとなる「Celebrate baby medal」を贈呈しています。このメダルは、ピジョンのプラスチック製品の製造過程で発生する、未使用の製品をアップサイクルしたものです。1つ1つ同じものにはならないマーブル模様は、1人1人が特別な存在である赤ちゃんとそのご家族を表しています。また、フォトフレームとして飾ることもでき、「ご家族の思い出にそっと寄り添いたい」という想いも込められています

【横浜労災病院(NICU・GCU)退院時に配布】

【NPO法人pena(神奈川県のリトルベビー支援団体)にて配布】

【「Celebrate baby medal」を贈呈されたご家族の声】

●当時は生まれたことを肯定するのに時間がかかった。こうした企画でより産まれたこと、産まれてくれた感謝の気持ちを感じた。

●写真を選ぶ時から楽しくて、考えて考えて選んだ写真が可愛く、メダルになって嬉しかった。

●今、子どもが赤ちゃんの時のことに興味を持っていたので、すごく楽しみだった。(ワークショップに参加して)子ども自身で作れたことがすごく良かった。

●ピジョン 「世界早産児デー」応援アクション

①参加無料・申込不要!「世界早産児デー」イベント

イベント名:出産・育児について学んで体験~ちいさな赤ちゃんをみんなで考える日~

日時:2025年10月25日(土)13:00~17:00(受付開始:13:00、受付終了:16:30)

場所:ピジョン株式会社本社(住所:東京都中央区日本橋久松町4-4)

内容:保育器でのお世話体験、医療従事者・ご家族によるお話し、相談コーナーなど。詳しくは特設サイトをご覧ください。

主催:東京医療保健大学院 医療保健学研究科・助産学専攻科、

日本NICU家族会機構(JOIN)、ピジョン株式会社

②誰でも参加可能!いいね寄付キャンペーン

 ピジョンInstagram「子育てのヒント」(@pigeon_celebrate.babies)の対象投稿にいいねをしよう! 1いいねにつき10円を、ちいさく早く生まれた赤ちゃんの支援を行っている日本NICU家族会機構(JOIN)に寄付いたします。

期間:2025年10月15日(水)~2025年11月17日(月)17:00まで

内容:1いいねにつき10円を日本NICU家族会(JOIN)へ寄付

アカウント:@pigeon_celebrate.babies

●専門的なケアを必要とする赤ちゃんのための商品開発

 ピジョンでは、専門的なケアを必要とする赤ちゃんのための商品開発を積極的に行っています。ここでは、一部をご紹介いたします。

哺乳運動に未熟性のある赤ちゃんのための「乳首」

 赤ちゃんの哺乳運動に特に未熟性があり、吸う力が弱いケースでも哺乳ができるよう開発され、1985年より国内のNICUを中心に提供しています。形状・素材を研究によりアップデートしながら、今では世界各国で使用されています。

ちいさく早く生まれた赤ちゃんのための「おしゃぶり」

 ちいさく早く生まれた赤ちゃんは、お口まわりの筋力が弱くおしゃぶりを支えられないことがあります。そのような赤ちゃんが、吸い続けられるよう、『軽さ』と『形』にこだわって開発しました。


【参考】

■「世界早産児デー(World Prematurity Day)」とは

 11月17日の世界早産児デーは、ちいさく早く生まれた赤ちゃんとご家族が抱える課題や負担に対する意識を高めるため、2008年にヨーロッパNICU家族会(EFCNI)および提携している家族会によって制定された記念日です。靴下が並ぶイラストは、世界早産児デーのシンボル。9足の靴下の間にある1足の紫色の小さな靴下は、世界中で10人に1人の赤ちゃんが早産で生まれていることを象徴しています。

 日本NICU家族会機構(JOIN)公式HP:https://www.join.or.jp/

■「ちいさな産声サポートプロジェクト」とは

 ピジョンは、早産で生まれた赤ちゃん、低体重で生まれた赤ちゃん、病気や外的疾患で治療が必要な赤ちゃんなど、専門的なケアを必要とする赤ちゃん一人ひとりの健やかな成長を支え、ご家族がより安心し幸せを実感できるように支援する「ちいさな産声サポートプロジェクト」を各国で行っています。

https://www.pigeon.co.jp/csr/tinycry/


ピジョン株式会社

ピジョン株式会社

ピジョンは、育児用品をはじめ、マタニティ用品・介護用品・保育サービスなどを手掛けるブランドです。
60年以上に亘る研究に基づき、製品やサービスを提供することによって、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にしたいと考えています。
ピジョンは、赤ちゃんが生まれながらに持つ素晴らしい力を育み、すべての赤ちゃんがありのままに輝ける世界の創造を目指していきます。

赤ちゃんにやさしい未来に向けた世界中に広がる私たちの取り組みを下記でご紹介しています。
https://www.pigeon.co.jp/vision-of-a-baby-friendly-future/

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