フランクミュラー│“時の感情”をアートの技法で表現した「ヴァンガードスリムスフマート」が登場

ワールド通商株式会社のプレスリリース

スイス高級機械式腕時計ブランド・フランクミュラーより、新作「ヴァンガードスリムスフマート」が登場しました。その背景にあるのは、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが生み出した絵画技法“スフマート（Sfumato）”。曖昧さをそのまま美として定義づけた哲学的な手法です。

“スフマート”は、単なる絵画技法ではなく、自然の本質に迫ろうとする哲学的な試みでした。「自然の中に直線は存在しない。すべては連続し、境界は静かに溶け合っている」そう語ったダ・ヴィンチは、輪郭線を描かずに光と影を重ねることで、自然の曖昧さや静かな連なりを表現しました。その極みが《モナ・リザ》の微笑みであり、見る人の心によって意味を変える表情は、語らずに語る精神性そのものです。

「時の哲学者」フランクミュラーが描く、スフマート

フランクミュラーは、この“スフマート”の哲学的な考えを、腕時計の文字盤に託しました。「ヴァンガードスリムスフマート」の文字盤では、中心から外周へと移ろう色彩が境界を排し、光と影のグラデーションによって“時間の流れ”を表現します。はっきりとした輪郭を持たないその表情は、流れゆく時の本質を象徴し、見る人の心に静かに語りかけます。

本作品のシリーズにあたる「ヴァンガード」は、その名が示す通り“アヴァンギャルド（前衛）”を語源とし、革新をテーマにしたコレクションです。人生という海を、明確な地図や目印なしに航海するような私たちにとって、ヴァンガードは進むべき方向を示す“羅針盤”となる、というメッセージが込められています。

中でもこの「ヴァンガードスリムスフマート」は、ヴァンガードコレクションの特徴である革新性を受け継ぎつつ、ケース厚を約3mm抑えることで、知性と感性を併せ持つ大人にふさわしい洗練された佇まいを実現しました。

・Vanguard V41サイズ（41mm × 50mm）：厚さ約12.4mm

・Vanguard Slim V41サイズ（41mm × 50mm）：厚さ約 9.5mm

時の感情を彩る技法──“スフマート”が生み出すグラデーション文字盤の秘密

このモデルに込められた「時の感情」というテーマを実現するために、フランクミュラーでは伝統的な文字盤技法を現代的に昇華させ、独自の工程を完成させています。

1. 放射仕上げ ― 波紋を刻む

まず、文字盤素材には放射状のヘアライン（サンレイ仕上げ）が丁寧に施されます。光の当たり方に応じて、まるで時間が放射するような視覚効果が生まれます。

2. スフマート彩色 ― 色を「吹き込む」技法

“スフマート“とは、ルネサンス絵画にも用いられた、輪郭をぼかすような表現技法。このモデルでは、回転する文字盤に向かって外周からエナメル塗料を吹きつけ、中心に向かって徐々に色が淡くなるグラデーションを作り出します。このグラデーションは、手作業で何層にも重ねて塗装され、感情の深みを表現します。

3. 焼成・研磨 ― 艶と立体感を宿す

数十層にもわたる塗装の後、焼成と最終磨きを加えることで、文字盤表面には宝石のような艶めきが現れます。また、12時側、6時側に向かって緩やかにカーブする独特のフォルムが、光を複雑に反射させ、視覚的な奥行きを加えます。このようにして生まれる「ヴァンガードスリムスフマート」の文字盤には、職人の手仕事によって、時間の移ろいや感情のゆらぎが色彩として丁寧に吹き込まれています。

見る角度や光の加減、見る人の心の状態によって異なる印象を与える《モナ・リザ》の微笑みのように、時というものもまた、いつ、どこで、どんな気持ちで見るかによって、その表情や感じ方が変わります。正確さだけでは捉えきれない“揺らぎ”や“余白”こそが、時間の本質であり、色のグラデーションを“時の感情“として表現しているのが、「ヴァンガードスリムスフマート」です。