レンチングとMarchi & Fildi S.p.A社、製造パートナー各社が協業―TENCEL™リヨセルを活用し、リサイクル天然繊維の品質を大幅に向上

レンチングAGのプレスリリース

  • レンチングは、イタリアの老舗メーカー4社と提携し、リサイクル天然繊維における品質のばらつきに対応。TENCEL™リヨセルを使用することで、繊維廃棄物にまつわる課題をプレミアムファブリックへと転換するソリューションを実現

  • TENCEL™リヨセル – LF、TENCEL™リヨセル – LFH、およびTENCEL™リヨセル – A100は、メカニカルリサイクルされたコットン、シルク、ウールの性能と感触を向上させることを実証

  • 2025年7月8日~10日に開催されるミラノ・ウニカ(フィエラミラノ、ホール3、ブースA16)において、ニット、織物、コアスパン構造など、商業的スケールでの幅広い用途の可能性を発表

レンチング – 繊維および不織布業界向けの再生セルロース繊維において世界をリードするサプライヤーであるレンチング・グループは、ファッション業界が抱える持続可能性の課題のひとつである「高い品質を維持しながら、より多くのリサイクル原料を活用する」という循環型モデルの壁に対し、革新的な複合繊維を発表した。戦略的な製造パートナーシップを通じて、レンチングは、責任ある調達[1]と資源効率の高い製造プロセスで生産された[2]TENCEL™リヨセル繊維により、メカニカルリサイクルされた天然繊維の不安定な品質を解消し、安定した商業価値のある生地へと変換できることを実証しました。

紡績会社のMarchi & Fildi S.p.A、編物会社のMaglificio Maggia、織工会社のDestro Fabrics、ニット衣類メーカーのMadivaとのパートナーシップにより開発されたこのイノベーションは、リサイクル天然繊維につきものの不規則性や品質のばらつきを、TENCEL™リヨセル – LF、TENCEL™リヨセル – LFH、TENCEL™リヨセル – A100繊維を使うことで克服しています。

レンチングのイタリア・スイス地域テキスタイルアカウントマネージャー、Carlo Coviniは次のように述べています。「多くのブランドが、リサイクル原料の採用と品質基準の維持を両立する実践的なソリューションを絶えず模索しています。TENCEL™リヨセル繊維1,2が備えている品質と環境面でのメリットを、機械的にリサイクルされたコットン、シルク、ウールと組み合わせることで、リサイクル原料の採用が進まない原因であった低品質という問題に対処することができます。これは単なる原材料のイノベーションではありません。消費者が期待する最高級の品質を実現しながら、ブランドが循環型ファッションの可能性を追求するための道筋なのです」

ターゲットを絞った繊維選択が引き出すリサイクル原料の可能性

このアプローチでは、リサイクル原料にまつわる課題に対処するために、マイクロテクノロジーを採用した繊維を含む[3]、異なるTENCEL™リヨセル繊維が用いられます。低フィブリル化TENCEL™リヨセル – LFおよびTENCEL™ – LFH繊維は、卓越した柔らかさと加工安定性を提供します。一方、抗フィブリル化TENCEL™リヨセル – A100は、実用的用途や家庭用途において、鮮やかな染色とパフォーマンスを実現します。これらの特性は、もともと品質が不安定なリサイクル繊維を扱う際に、特に有用です。

この精密なアプローチにより、TENCEL™リヨセル – A100とリサイクルシルク、ウール、カシミアを組み合わせたプレミアムニット、TENCEL™リヨセル – LFとリサイクルコットンをさまざまな比率で混紡した多用途アパレル生地、そして世界初のCradle to Cradle認証™エラスタンROICA™ V550[4]とTENCEL™繊維およびリサイクル原料を組み合わせることによる高性能化など、さまざまな応用が行われています。

Marchi & Fildi Groupの事業開発マネージャー、Alberto Grossoは次のように述べています。「このプロジェクトにより、機械的な繊維リサイクルに関する専門知識を次のレベルに引き上げることができます。国際的に認知された企業とのコラボレーションにより、リサイクル繊維の新たな可能性を模索することは、当社にとって、特定の市場ニーズに合わせた多様な糸種のラインナップを拡充する絶好の機会です」

Maglifiio Maggiaの取締役、Giovanna Maggiaは次のように述べています。「レンチングのプロジェクトに参加できることを大変嬉しく思います。サプライチェーンプロジェクトは常に成功しやすく、今回のように、リサイクルシルクとTENCEL™を組み合わせて使用できることは、持続可能性と高級感を融合させる素晴らしい機会です。多くのブランドの皆様にもこのプロジェクトをぜひ高く評価いただければと思います」

Destro Fabricsのセールスマネージャー、Alberto Ottocentoは次のように述べています。「Destroはこのコレクションにおいて重要な役割を果たしており、コットンとポリエステル糸を含むリサイクル素材の使用に取り組んでいます。レンチングとのコラボレーションにより当社のコレクションを拡大し、リサイクルされたTENCEL™繊維とリサイクルコットンをブレンドしたより柔らかく快適な感触のリサイクル繊維製品を提供できるようになりました」

Madivaのプロダクションマネージャー、Paola Bottaは、次のように述べています。「私たちは、レンチングとMarchi & Fildiとともに、この革新的なプロジェクトに参加できることを大変光栄に思っています。私たちは研究と持続可能なイノベーションの価値を強く信じており、当社のノウハウとイタリア製の機械設備を最先端の糸の生産に活用できることは、私たちにとって大きな誇りです。

これに関しては、2つのテストが実施されました。1つは、TENCEL™リヨセル70%とリサイクルコットン原料30%、もう1つは、TENCEL™リヨセル50%とリサイクルコットン原料50%の混率で、どちらも後染め用に設計されたものです。これらのテストにより、Nm1/50番手の糸を使用して120 g/m²のコンパクトなニット生地が完成しました。

イタリアの職人技と当社の大切なサプライチェーンパートナーとの連携によって高品質な生地を生み出すことが、私たちのものづくりの中核です」

妥協のない循環性

このパートナーシップにより、循環型原材料は品質やパフォーマンスを犠牲にする必要がないことが実証されています。メカニカルリサイクルされた天然繊維を、肌[5]と環境2,7に優しい天然原料[6]である木材から作られたTENCEL™リヨセル繊維と戦略的に組み合わせることで、サステナビリティとプレミアムな性能を両立した生地を実現しています。

特に重要な点は、このアプローチが循環型原材料のスケールアップという課題に対応していることです。リサイクル繊維は、従来、品質上の懸念から、含有率がごく一部に限られていましたが、上記の混率は、用途に応じて、リサイクル含有率25%から50%の範囲で商業的な性能を維持することが可能です。

これらの革新的な生地は、2025年7月8日から10日にフィエラミラノで開催されたミラノ・ウニカ(ホール3、ブースA16)のレンチングの出展で披露されました。本プロジェクトはグローバルなテキスタイルバリューチェーン全体における協業型イノベーションの推進という、レンチングの広範なビジョンを体現するものであり[7]、繊維技術と製造の専門知識が融合することで、循環型の原則が理想にとどまらず、多様な市場セグメントと製品カテゴリーにおいて、実装可能であることを証明しています。

  

テンセル™について

テンセル™は、レンチング・グループの主力テキスタイル繊維ブランドです。1992 年以来、テンセル™ブランドは、複数のイノベーションと資源効率の高い製造プロセスにより、繊維産業において前向きな変化を提唱してきた有力企業です。テンセル™ブランドのリヨセルおよびモダール繊維は、持続可能な方法で管理された木材から作られた、資源効率が高く、快適性の高い素材です。どちらの繊維も自然に柔らかく、滑らかなタッチで、生地の豊かな色に寄与します。効果的な水分コントロールにより、これらの繊維は、自然な乾燥した感触にも寄与します。

持続可能な繊維ソリューションとして、テンセル™リヨセル繊維とモダール繊維はどちらも汎用性が高く、幅広い生地の繊維と組み合わせることで、製品のデザインと機能を無限に広げることができます。この繊維は、既製服、デニム、インナーウェアから、アクティブウェア、ワークウェア、フットウェア、さらにはホームテキスタイル製品に至るまで、ほとんどすべての繊維カテゴリーに組み込むことができます。

天然素材の木材から作られたテンセル™リヨセルおよびモダール繊維は、ライフサイクルの終わりに分解して堆肥化することができます。また、これらの繊維は、ライフサイクル全体を通じて高い環境基準が認識されており、優れた環境性能を示す EU エコラベルの認定(ライセンス番号AT/016/001)を受けています。

テンセル™ブランドの詳細については、https://www.tencel.com をご覧ください。サステナビリティに関する特長、性能、およびテンセル™ブランドの繊維を支える技術と製造プロセスの詳細については、https://www.tencel.com/claims をご覧ください。

レンチング・グループについて

レンチング・グループは、生態学的に配慮し、セルロースとリサイクル原料を使用した特殊繊維の生産に注力しています。そして、技術革新のリーダーとして、世界のテキスタイルや不織布のメーカーのパートナーとなり、数多くの新技術の開発を推進しています。 レンチング・グループの高品質な繊維は、機能的で快適なファッショナブルな衣類から、耐久性と持続可能性を備えたホームテキスタイルまで、幅広いテキスタイル用途の原材料となっています。また、TÜV認証を取得した生分解性および堆肥化可能なレンチングファイバーは、その特殊な特性と植物由来であることから、日常的な衛生用途にも最適です。

当社のビジネスモデルは、従来の繊維メーカーの枠組みを大きく超えるものです。お客様やパートナー企業と共に、バリューチェーンに沿って革新的な製品を開発し、消費者のために付加価値を創り出しています。レンチング・グループは、すべての原材料の利用および加工において効率性を追求し、テキスタイル産業を現在の直線的な経済システムから循環型経済への移行を促すソリューションを提供しています。地球温暖化のスピードを抑え、パリ協定とEU委員会の「グリーン・ディール」の目標もサポートするため、レンチングは科学的根拠に基づいた明確な気候変動行動計画を策定し、2030年までに温室効果ガスの排出量を大幅に削減し、2050年までにネットゼロ目標(スコープ1、2、3)を達成することを目指しています。

レンチング・グループ 2024年の企業データ 

売上:26.6億ユーロ

公称生産量(繊維):1,110,000トン

従業員数(フルタイム当量):7,816名

TENCEL™、LENZING™ ECOVERO™、VEOCEL™、LENZING™、REFIBRA™は、Lenzing AGの商標です。

Marchi & Fildi Group

Marchi & Fildiは、ファッション、家具、さまざまな技術用途の糸の生産を専門とするテキスタイルグループで、ビエッラの織物地区で長い歴史と確固たる基盤を築いてきました。       

Marchi & Fildi SpAは、2007年にイタリアの繊維業界の老舗である2社、Filatura MarchiとFildiが合併して設立されました。   

現在、同社の経営陣は3代目となり、グループは最先端の技術を導入しています。Marchi & Fildiは、ビエッラを拠点に、イタリア、トルコ、ブラジル、セルビアに工場を持つ、国際的なグループとして発展しています。

当グループでは、ファッションや家具に使用される天然繊維や人工繊維の純糸や混紡糸を、Marchi & Fildi、ECOTEC®、Filideaブランドで、また技術的用途向けにFilidea Technical Yarnsブランドで生産しています。その生産範囲は、平編みから丸編み、紡織、メリヤスまで幅広く、コットン紡績に特化しています。当グループはまた、リングスパン、コアスパン、コンパクト、シロスパン、オープンエンドなど、最終的な糸の特徴に応じて使い分けられる紡績技術にも投資しています。

[1]レンチングは、環境保護と資源保全への当社の取り組みの一環として、認証済みまたは管理された持続可能な資源からのみ木材とパルプを調達しています。同社の木材およびパルプポリシーにおいて、レンチングは、出処に問題がない資源からのみ木材やパルプを調達することに注力しています。  FSC®(FSC-C041246)またはPEFC(PEFC/06-33-92)の認証取得済み

[2]LENZING™リヨセル繊維は、一般的な(ノーブランドの)リヨセル繊維と比較して、炭素排出量と水の消費量を少なくとも50%削減しています。結果はLCA規格(ISO 14040/44)に基づいて計算され、Higg Materials Sustainability Index(MSI)v3.10(2025年4月)で入手できます。

[3]最高級のTENCEL™繊維は、マイクロテクノロジーを採用することでよりソフトな手触りを実現しています。マイクロテクノロジーで製造されたTENCEL™繊維は、1.0 dtex以下の繊度を特徴とします。

[4] https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/en/roica/specialities/pdf/roica_v550.pdf

[5]Lenzing™リヨセル繊維の構造は、水分を吸収し、放出する特性を有しています。最終的な繊維製品において、これらの効果的な水分制御特性は、肌表面の乾燥した微気候を維持し、着用者の熱快適性を向上させます。

[6]すべてのTENCEL™繊維の原料として使用される木材は、認証(FSC® (FSC-C041246)またはPEFC(PEFC/06-33 92)認証)を取得した原料、または管理された木材原料から調達されています。

[7]持続可能なグローバル繊維および不織布業界の育成を目的として、レンチングは「ナチュラリーポジティブ」サステナビリティ戦略において、3つの戦略的原則に従っています。この戦略は、テキスタイル・エクスチェンジ、カスケールキャノピー、トゥギャザー・フォー・サステナビリティ、再生可能炭素イニシアティブ、国連グローバル・コンパクトなどの主要な業界関係者とのパートナーシップを通じて、バリューチェーンのグリーン化、組織的な変化の推進、循環型経済の発展に注力しています。

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