ファーメンステーションが最優秀賞を受賞
株式会社ケリングジャパンのプレスリリース
ケリングは第1回「ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン」の授賞式を2025年3月13日(木)に東京・虎ノ門のTOKYO NODEにて開催しました。株式会社ファーメンステーションが最優秀賞を、アンフィコが第2位、株式会社アルガルバイオが第3位を受賞し、マイクロバイオファクトリー株式会社が特別賞を受賞しました。また当日は、ケリング会長兼CEOのフランソワ=アンリ・ピノーと日本発バイオスタートアップのSpiber株式会社代表執行役の関山和秀氏による対談も行われました。
上位3社には、パリのケリング本社での研修およびネットワーキングの機会と、2025年4月にパリで開催されるサステナビリティサミット「ChangeNOW」での出展機会が提供され、さらに1位となった最優秀企業には賞金1,000万円が授与されます。また、特別賞を受けたマイクロバイオファクトリーには、ヨーロッパにおける研修に参加する機会が与えられます。
受賞者には、中国で開催された第3回「ケリング・ジェネレーション・アワード」の最優秀企業に輝いたYi Design(イーデザイン)によるトロフィーが授与されました。サーキュラリティを象徴する円形の形状のトロフィーは、3Dプリンターを使用し、リサイクルセラミックで作られています。ケリング会長兼CEOのフランソワ=アンリ・ピノーとケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼渉外担当責任者のマリー=クレール・ダヴー、ケリング ボーテCEOのラファエラ・コルナッジャ、ケリング ノース&サウスイースト・アジアパシフィック プレジデントのティエリ・マルティによって、トロフィーが各賞の受賞者に授与されました。
ケリング会長兼CEOのフランソワ=アンリ・ピノーは、日本での開催につき次のように述べています。
「グループのビジネスにおいて重要な拠点であり、イノベーションとクラフツマンシップに対する深い理解のある日本という国において本アワードを開催することは自然な選択でした。私たちは、ラグジュアリーがより持続可能なモデルへと移行する中で、イノベーションが重要であると強く信じ、このケリング・ジェネレーション・アワードを通じて、ファッション業界の新しいパラダイムに貢献できるアイデアやソリューションを促進したいと考えています」
第1回「ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン」最優秀賞を受賞した株式会社ファーメンステーションの代表取締役、酒井里奈氏は受賞スピーチで次のようにコメントしました。
「本当に感慨深く、誇らしい気持ちです。16年間がんばってきたこのチームを誇りに思っています。ケリングという世界の最先端のサステナビリティのプログラムを行っている会社からこのようなチャンスをいただき、大変嬉しく思います。今、世界でサステナビリティに対する逆風がある中、サステナビリティビューティという領域で、我が社も貢献していけたらと考えています。本当にありがとうございました。」
審査員の1人を務めたケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼渉外担当責任者のマリー=クレール・ダヴーは日本のスタートアップ企業について次のように述べました。
「持続可能なイノベーションを発掘し、表彰することを目的とした、ケリング・ジェネレーション・アワードの日本初開催を非常に誇りに思います。日本のスタートアップ企業は新しいテクノロジーと日本のクラフツマンシップが、同じ組織の中に存在できる点が大変ユニークな部分だと考えます。日本には洗練されたマーケットがあり、スタンダードのクオリティが世界でもトップクラスである点も日本のスタートアップの特徴だと感じます。」
各賞の発表前には、プロテイン繊維「Brewed Protein™ファイバー」を開発・生産するバイオスタートアップのSpiber株式会社代表執行役の関山和秀氏とケリング会長兼CEOフランソワ=アンリ・ピノーが登壇し、未来のラグジュアリーを創造するための課題や進化するイノベーションについて話が繰り広げられました。関山和秀氏は、「事業を展開していると、たくさんの想定外の危機が訪れますが、それと同じくらい想定外の機会もあると思います。Spiberが大変なときも、ケリングやさまざまなブランド、メーカーとの協業のチャンスがあり、それを掴んで、なんとか乗り越え、大きく成長できました。世の中のためになる、本当にサステナビリティに向き合っているという信念をもち、自分の道を信じて頑張って欲しいと思います」と、ファイナリストたちにエールを送りました。
授賞式の後には、ファイナリスト11社の革新的な技術やケリングの各ブランドのサステナビリティへの取り組みについての商品や写真の展示が行われ、多くのゲストがファイナリストたちの話に興味深く耳を傾けていました。
上位3社および特別賞受賞企業の選考ポイント
第1位 株式会社ファーメンステーション
発酵技術を用い、食品廃棄物のような未利用資源から天然由来の芳香エッセンスなどのバイオ原料を生産し、資源の有効活用と循環型社会の実現を目指す研究開発型のスタートアップとして新たな資源の負担を地球にかけることなく、植物由来の機能性成分を生み出している点や、生成プロセスのライセンス供与により地理的な制限なくビジネス展開できる将来性が高く評価され、最優秀企業に選出されました。
第2位 アンフィコ
アメリカや欧州におけるPFAS規制を背景に、PFASフリーで機能性透湿防水テキスタイルを実現する技術に加え、6色の糸から独自染色アルゴリズムにより1000種以上もの色を表現するコンセプトが高く評価されました。産業用繊維染色の環境への影響を低減する可能性という点で、第2位に選ばれました。
第3位 株式会社アルガルバイオ
第3位に選ばれたアルガルバイオは日本の海洋資源である、藻類の研究を20年以上に渡って行ってきたバイオベンチャーであり、面積あたりのCO2固定能に優れた藻類は、アンチエンジング、UV吸収、保湿などに役立つ機能性成分と天然色素を含有するため、ヘルスケア領域に止まらず、ビューティ、ファッションへの活用にも期待が寄せられています。
特別賞 マイクロバイオファクトリー株式会社
化学品製造の脱化石資源化を目指し、バイオマス由来の原料を活用したサステナブルな化学品生産に取り組むスタートアップであるマイクロバイオファクトリーは、日本を代表する素材でもあるデニム産業の環境・社会課題に対して、バイオインディゴ技術を用いて取り組む革新性が評価されました。また、選考プロセスを通じて顕著な進展をみせた同社を称え、今回特別賞が設けられました。
ケリング・グループのブランドによる展示について
GUCCI
3Dプリント技術と、グッチが独自開発したサステナブル素材「デメトラ」(Demetra)を組み合わせたクラフツマンシップとテクノロジーが融合した革新的なスニーカー〔GUCCI cub3d〕(グッチキューブド)。2023年発表。
BALENCIAGA
環境に与える影響がより少ないレザーの代替品LUNAFORM™がファッションに適用された初めての事例。LUNAFORM™は、ナノセルロース由来のバイオマテリアルで、発酵中に微生物によって生成され、同プロセスには動物由来成分は含まれません。2024年サマーコレクションにて発表。
BOUCHERON
ジャック ドゥ ブシュロン ウルティム
アイコニックなコレクションである「ジャック ドゥ ブシュロン」に、リサイクル素材のコファリット®を採用。コファリット®はこれ以上の有用性をもたないとされる産業廃棄物で、研究と試行錯誤を重ね、素材の価値を再定義し、プレシャスなものへと昇華したジュエリー。2022年発表。
ジュエリーケース
“NO PACK IS THE NEW PACK”(梱包しないという新しい選択肢)のコンセプトのもと、リサイクル可能な2つの自然素材であるアルミニウムとウールフェルトのみを使用したジュエリーケースを発表。原材料の選択から活用後の循環まで、ライフサイクルのすべてのステップを最適化しています。2023年より導入。
審査員について(敬称略)
アメリア・ジュール 一般社団法人コンサベーション・インターナショナル・ジャパン
カントリー・ディレクター
キャシー松井 MPower Partners Fund L.P. ゼネラルパートナー
水野 大二郎 京都工芸繊維大学教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授
デザイン研究者
山崎 智士 株式会社サティス製薬 代表取締役CEO
渡辺 貴生 株式会社ゴールドウイン 代表取締役社長
フランソワ=アンリ・ピノー ケリング会長兼CEO
マリー=クレール・ダヴー ケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼渉外担当責任者
ラファエラ・コルナッジャ ケリング ボーテCEO
ティエリ・マルティ ケリング ノース&サウスイースト・アジアパシフィック プレジデント
アドバイザリー・ボードについて(敬称略)
石田 ともみ(環境エネルギー投資 キャピタリスト/インパクト・オフィサー)/ 岩田 紘宜(東京大学技術経営戦略学専攻博士課程 未来ビジョン研究センター リサーチ・アシスタント)/ 大松沢 明宏(日本化学繊維協会 技術グループ長)/ 梶原 加奈子(株式会社KAJIHARA DESIGN STUDIO 代表取締役)/ 鎌田 安里紗(一般社団法人unisteps共同代表理事)/ 中村 恵生(繊研新聞社 記者)/ 長谷川 隆( 国際商業出版株式会社 取締役 「国際商業」編集長)/ 林 千晶(株式会社Q0代表取締役社長)/ 東 憲児(Spiber株式会社 執行役員兼欧州支店代表)/日比 保史(のぞみエナジー株式会社 ヘッド・オブ・サステナビリティ)/ 向 千鶴(「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクター)/ 矢野 貴久子(株式会社アイスタイルBeautyTech.jp編集部 編集長)/梅澤 高明(CIC Japan会長 / A.T. カーニー日本法人社長) / アンジー・ユー (ケリング グレーターチャイナ ベンチャーマネージャー)
ケリング・ジェネレーション・アワードについて
ケリングの2025年サステナビリティ戦略のもと、主要な取り組みの一つとして発足された「ケリング・ジェネレーション・アワード」は、代替原材料やサーキュラーエコノミー、リサイクル技術などの課題に取り組み、社会や地球環境にポジティブな影響をもたらすスタートアップ企業を支援することを目的に、2018年に中国で発足しました。すでに4回にわたって中国で開催され、昨年はサウジアラビアと日本でもプログラムがスタートされたほか、「ケリング・ジェネレーション・アワード × ジュエリー」もミラノ工科大学の協力を受けて発足し、ファッションだけに止まらず、ケリングの支援プログラムはジュエリー分野にも広がっています。
ケリングについて
ケリングは、ファッション、レザーグッズ、ジュエリー製品を扱うメゾンおよびケリング アイウエア、ケリング ボーテを擁するグローバル・ラグジュアリー・グループです。傘下のブランドは、グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ブリオーニ、ブシュロン、ポメラート、ドド、キーリン、ジノリ1735。戦略の中心にクリエイティビティ(創造性)を掲げるケリングは、サステナブルで責任のある方法により未来のラグジュアリーを築きながら、各ブランドがそれぞれの創造性を自由に表現することを可能にしています。このような信念が「イマジネーションをその先へ」(“Empowering Imagination”)というケリングのシグネチャーに込められています。また、2024年には172億ユーロの売上高を達成し、グループ社員の数は年度末時点で47,000人に上ります。
CIC Instituteについて
CIC Instituteとは、イノベーションエコシステム構築や、スタートアップ特にディープテック関連スタートアップの支援における知見を活かし、政府や地方自治体、大学などと連携しグローバルに成功を収めることのできるスタートアップの成長支援や、エコシステム構築業務を担うチームです。CIC Instituteは現在、多くの行政機関や大学関係のプロジェクトを遂行しており、エコシステムの発展やイノベーションを通じた経済発展に貢献をしています。今後も、自治体等の行政機関や民間企業からの高まる需要に合わせ、より多くのプロジェクトを実行し、CIC Tokyoを含むCIC全体と緊密に連携しイノベーション創出を促進する部門として活動していきます。