ヴァレンティノ ジャパン 株式会社のプレスリリース
ヴァレンティノ(Maison Valentino)は、クリエイティブ ディレクター アレッサンドロ・ミケーレによる2026年プレフォールコレクションの広告キャンペーンを発表しました。
サイ・トゥオンブリーの作品や、ヴァレンティノ・ガラヴァーニの視覚的記憶が共鳴するビジュアルには、ブランドアンバサダーのソンバーも登場します。
どこから話してもかまいません。
私は、どうして自分がここにいるのかわかりません。
それは問題ではありません。
今日は何もかもが…同じに感じました。
しかし、何かが違っていたのです。
何が違ったのでしょう?
それは、自分の動き方。
まるで自分自身の真似をしているようだった。
あなたはどこにいたのですか?
わかりません…
進む方向を変えようとして、
まだ一歩も踏み出していない感覚のような。
それはあなたの知っている場所ですか?
いいえ。
しばらくここに留まりましょうか。
もしここに留まれば…何かが浮かび上がってくるでしょう。
どうしてそう思うのですか?
もう、感じているからです。
でも、もしそれを無視したら?
それでも浮かびあがって来るでしょう。
それなら…もう自分を説明することをやめてもいいですか?
バッサーノ・イン・テヴェリーナにひっそりと佇むサイ・トゥオンブリーのパラッツォは、時間と物質が織りなす世界に包まれた場所です。サイ・トゥオンブリーは1975年にこの邸宅を購入し、30年以上にわたり、ここを自身の聖域としました。都会の喧騒から離れ、多孔質の石灰岩の壁に囲まれて作品がゆっくりと熟成していく創造的な実験の場です。トゥオンブリーはこの場所で禁欲的とも言えるほど簡素な生活を送り、ごく親しい友人や協力者だけにその扉を開きました。この静かで私的な空間で、彼の創作を代表するいくつかの作品が形をなしていきました。今日においても、このパラッツォは時代を超越し、時代錯誤的でありながら、見事なまでに現代溶け込むことのない深い静けさをたたえています。あらゆる面において今もなお、生き生きと感じられる過去の痕跡や筆致が刻まれています。トゥオンブリーの存在は、建築そのものの構造に織り込まれた内的風景のように、はっきりと感じられます。
2026年プレフォールキャンペーンは、こうした反響と存在の重なり合いのなかで形作られます。ここにおいてサイ・トゥオンブリーのパラッツォは、単なる背景以上の存在であり、意図的なジェスチャー ── つまり、まなざしの特定の系譜をふたたび活性化する役割を果たすのです。実際、このプロジェクト全体は、メゾン ヴァレンティノの歴史そのものに根ざした、より大きな軌跡に沿って展開されます。1968年、ヘンリー・クラークはUS版『ヴォーグ』のため、サイ・トゥオンブリーとタチアナ・フランケッティが暮らしたローマのアパートでヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏によるホワイトコレクションの撮影を手掛けました。今日のキャンペーンは、アーティストのもうひとつの住まいを舞台に展開します。それは、距離と連続性を同時に視覚化する試みでもあるのです。馴染みのあるビジュアル アーカイブに回帰することはなく、むしろより深い振動を捉え直し、それを予期せぬかたちで再び浮かび上がらせることなのです。それは持続性の探求 ── 静的な永続性としてではなく、時間を通り抜け、変容していく痕跡としての持続です。断絶し、逸脱し、屈折しながら現在へと差し込む一本の線。その線が揺らぎやズレ、そして新たな意味の可能性を生み出していくのです。
1968年のビジュアルにおいて、人物は既存の幾何学的構造の空間に配置、構成されています。白いドレスは一種の規律の象徴となり、ファッションが空間へと身をゆだね、その安定性を拡張する均衡を形作っています。一方、2026年プレフォール キャンペーンは、亀裂、あるいは開口部を露わにしています。空間はもはや器ではなく、感受性を持った表面となります。身体はそこに静止するのではなく、空間を通り抜け、乱し、ふたたび動き出します。ありのままの髪や捉えどころのない視線、ファブリックの揺れは不安定で、まるで大気のような様相を生み出します。色彩は解き放たれ、かつての統一性を打ち砕きます。静止していると思われた場所に、定着を拒むジェスチャーが現れます。物語全体は、エネルギーや勢い、そして不安定さを内包した身体を軸に展開します。それは、もはや空間の中に整然と佇む存在ではなく、今もなお人の気配が残る環境そのものに疑問を投げかけ、張り詰めさせる身体となるのです。そこではサイ・トゥオンブリーの作品や、ヴァレンティノ・ガラヴァーニの視覚的記憶が共鳴し続けています。
2026年プレフォールのキャンペーンビデオは、このメカニズムを明確に示し、さらに先へと推し進めます。身体と空間の関係を、存在、記憶、動きが絶えず絡み合い、決して固定された形に落ち着くことのない連続的な流れとして表現しています。時間は異なる速度で展開し、互いに異なる軌跡を描きます。その対話は親密で繊細であり、どこか幻想的です。説明を求めることはなく、まるで空間そのものが語り始めるかのように、新たな扉を開きます。あるいは、それは反響するトゥオンブリーの声なのかもしれません。ためらいや逸脱、停止を通して、静かな不協和音が浮かび上がります。それは、自身のジェスチャーと完全には重なり合えないという感覚。対話はこの断裂を埋めようとするのではなく、受け入れ、何か別のものが立ち現れる余地を与えます。それはアイデンティティを再構築することではなく、緩やかに解きほぐす試みです。自己を説明する必要性から解き放たれ、主体は固定された輪郭を超え、複数の状態が交錯しながら揺れ動く可変の場として存在し得ることが示されています。
アレッサンドロ
注記:
バッサーノ・イン・テヴェリーナに位置するこのパラッツォは、1975年、ジョルジオ・フランケッティの助言を受け、サイ・トゥオンブリーが購入しました。パラッツォは現在、芸術分野における文化的発信の促進を目的とする信託団体、アイリス財団(Iris Foundation)の本拠地となっています。
#ValentinoPreFall2026
@MaisonValentino
@fondazione.iris