多様性とクラフトマンシップが交差する国際ファッションイベント「Vancouver Fashion Week S/S’26」が開催

カナダ・バンクーバーに本拠を置く「Vancouver Fashion Week（バンクーバー ファッション ウィーク）」は、2025年10月15日（水）から19日（日）の5日間、David Lam Hallにて『Vancouver Fashion Week S/S’26』を開催。世界各地の新鋭デザイナーによる最新コレクションが披露されました。

今季は「多様性（Diversity）」「クラフトマンシップ（Craftsmanship）」「サステナビリティ（Sustainability）」をテーマに、20カ国以上からデザイナーが参加。日本からは「NITENMON」「Empromo」「Valley’s Lily」「Beshow by gentil」「remake by FLAKE」「Dr.Y&K」「ANAHATAU」「Remake Innovation Project (R.I.P)」の8ブランドが登場し、伝統と現代の美意識を融合させたクリエーションを発表しました。

2001年からスタートしたVancouver Fashion Weekは、多文化都市バンクーバーを拠点に世界の新進デザイナーの発掘・育成を目的としており、文化やジェンダーを越えた新しいファッションの形を提案し続けています。https://www.vanfashionweek.com

日本から8ブランドが参加——伝統と革新を融合させた多彩なクリエーションが集結

長い歴史の中で育まれた伝統技術や文化的感性を、現代の価値観と融合させた日本のデザイナーたち。サステナブルな再構築や工芸の継承をテーマに、独自の世界観で「日本の今」を表現しました。

1. ANAHATAU（アナハタウ）
インド哲学の思想と文化にインスパイアされ生まれたブランド。 「身体とハートがくつろぐ」「遊び心」「喜びの循環」「地球との調和」をテーマに、インド西ベンガル州で女性たちが手仕事で仕立てる“ヴィンテージコットンカンタ”を中心に制作している。今季は、古布サリーを重ねて手刺しで仕立てる“カンタ”の持つ素材のエネルギーや色彩を活かし、“触覚のデザイン”をテーマに、刺繍や重ね布の豊かな質感でハンドクラフトの温もりを現代的に表現した。

https://www.instagram.com/anahatau_/

2. NITENMON（ニテンモン）

25年間にわたりオペラ・ダンス・ミュージカルの舞台衣裳を手がけ、染めと織りの技法を基盤に多様な素材を操ってきたSonoko Takedaによるブランド。「新しい着物のかたち」を育て、現代にその価値を届けることを目的に、ヴィンテージの絹着物地を再構築したデザインを展開している。今季は、幅14インチのヴィンテージ絹を用いたコレクション「Time and Distance（時と距離）」を発表。古来の職人技と現代的な感性を重ね合わせ、色柄の組み合わせや織りの個性を生かした静謐な構築美を通して、“布の記憶”と着物文化の新たな可能性を提示した。

https://www.instagram.com/nitenmon_kimonopants/

3. remake by FLAKE（リメイク バイ フレーク）

環境学部出身の松下カルマによるブランド。伝統への敬意と革新的な創造性を掛け合わせ、「古きを尊び、新しきをつくる」という哲学を基盤に制作している。日本各地から集めたヴィンテージ素材、特にチェック柄の布団地や着物地、地域産の布のみを使用し、素材が持つ質感と物語を最大限に生かしたリメイク作品を展開。今季は、日本の歴史的な軍服や民間衣服のフォルムに着想を得たコレクションを発表し、装飾を削ぎ落とした構造美と実用性、そして静かな存在感を追求。過去の職人技と現代のデザイン感性を繋ぐ、意味深いモダンワークスを提示した。

https://www.instagram.com/flake__official/

4. Beshow by gentil（ビショウ バイ ジャンティ）

神山奈美による着物リメイクブランド。幼い頃から着物に親しんできた経験をもとに、「着物をもっと日常へ」という思いで立ち上げられた。シルクを中心としたヴィンテージ着物を用い、日本の伝統技術を現代的なデザインへと再構築している。これまで1,000件以上のオーダーメイド実績を持ち、国内百貨店やイベントなど幅広く展開。

今季は、日本らしい華やぎと洋服のシンプルさを掛け合わせたコレクションを披露。タックの広がりで絵柄を引き立てるワンピースなど、素材の質感と個性を生かした一点物が中心となる。唯一無二の着物の魅力を生かし、誰もが取り入れやすい普遍的なデザインで、伝統を日常へとつなぐ新しい価値を提案した。

https://www.instagram.com/gentil.12.1/

5. Empromo（エンプロモ）

上山法子によるブランド。港町・神戸に生まれ、多様なブランドでデザイナーとして研鑽を積んだ経験をもとに、伝統工芸の魅力を現代へ継承するべく立ち上げられた。手捺染による深みのある色彩と、着物に用いられる金彩加工（NOB MIYAKEとの制作）を組み合わせ、手仕事の温度と上質さをまとったコレクションを展開している。

今季は、手作業で一色ずつ染め上げる手捺染の布地と、繊細な輝きを放つ金彩のディテールを用いた“モダンな伝統融合”を披露。色・柄・シルエットを通して着る人の自然な美しさを引き出すデザインを追求し、日常に深みと品格をもたらす装いを提案した。

https://www.instagram.com/empromo.str/

6. Valley’s Lily（ヴァリーズリリー）

Sanae Kuribayashi によるブランド。「自己表現の一歩を後押ししたい」という思いから着物に着目し、眠っていた着物に新たな命を吹き込むリメイクデザインを展開する。着る人が自分らしくいられる服づくりを軸に、衣装提供やアーティストとのコラボレーションなど、表現の可能性を広げる活動も積極的に行っている。

今季は、役目を終えた着物にデニムなど異素材を掛け合わせ、現代的なシルエットへと再構築。伝統の色柄と軽やかな着心地を融合させ、日常で自然に自己表現を楽しめるスタイルを提案した。

https://www.instagram.com/valleys_lily/

7. Dr.Y&K（ドクターワイアンドケイ）

歯科医として活動する2人のデザイナー、Dr.Yoshitomu & Katsuma によるブランド。歯学部の同級生だった2人が「長く着られるシンプルで丈夫な服をつくりたい」「矯正治療の大切さを伝えたい」という思いを共有し、2020年に立ち上げた。専門分野である“歯科”から着想を得た遊び心のあるモチーフを、日常になじむデザインへ落とし込んでいる。

今季は、ベーシックなアイテムを中心に、素材へのこだわりと長く使える耐久性を重視したユニセックスコレクションを展開。さりげない歯科モチーフを取り入れながら、誰もが気軽に楽しめるシンプルなスタイルを提案する。

https://www.instagram.com/dr.yandk/

8. Remake Innovation Project (R.I.P)（リメイク イノベーション プロジェクト）

寺尾美雪によるブランド。15歳から服飾を学び、都内OEM企業でODMデザイナーとして経験を積んだのち、静岡を拠点にリメイクブランドを立ち上げた。廃棄予定だった新品衣料に新たな価値を与えることを信念に、日々の制作とPOPUP出展を続けている。

今季のテーマは「Connecting The Dots」。スティーブ・ジョブズの言葉に着想し、“今の選択が未来へつながる”という哲学を表現。異なる質感を組み合わせ、神経構造をモチーフにしたスモッキングやコードワーク、刺繍を取り入れ、断片が新たな意味を持つ再構築のデザインを提案した。

https://www.instagram.com/remake_innovation_project/

＜他国の参加デザイナー＞

お問い合わせ先

VFW Management Inc.（Vancouver Fashion Week）

E-mail：media@vanfashionweek.com / info@vanfashionweek.com

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