~早産児と家族への理解を深める講演や体験ブースに多くの来場者~
ピジョン株式会社のプレスリリース
ピジョン株式会社 (本社:東京、社長:矢野 亮)は、日本NICU家族会機構(JOIN)、東京医療保健大学院 医療保健学研究科・助産学専攻科と共同で、2025年10月25日(土)に世界早産児デー啓発イベント「出産・育児について学んで体験~ちいさな赤ちゃんをみんなで考える日~」を当社本社(所在地:東京都中央区)にて開催しました。
【イベント開催の背景】
「世界早産児デー(11月17日)」は、早産で生まれる等で周産期医療を受ける赤ちゃんとご家族が抱える課題や負担に対する意識を高めるために制定されました。日本では約20人に1人が早産で生まれていますが(※1)、今年実施した調査では世界早産児デーの認知度はわずか1割であることが明らかになりました。(※2)
早産を経験したご家族の9割は出産や子育てに「不安を感じた」と回答しており、また困り事を尋ねる設問では、「情報不足」「相談できる環境のなさ」「周囲の人との関わりにストレスを感じたり傷ついた経験がある」等が挙がりました。一方で早産の経験がない方からは悩みは知らないものの支援意欲は7割と高い状況にあります。(※2)当社は専門的なケアが必要な赤ちゃんとご家族向けの活動「ちいさな産声サポートプロジェクト」 を推進しており、この度、主催3者が連携し、早産児とご家族を社会全体で支える機運を高めるため、本イベントを開催しました。
【イベントの主要トピックス】
●日本NICU家族会機構(JOIN)より小児科 有光威志医師 と早産を経験した当事者ご家族のゴーウィンかおり様、藤山妙子様(仮名)が登壇。有光医師からは、日本の早産児の現状 や治療やケアに家族が参加することで赤ちゃんの健やかな発達と家族の愛着形成を促す「家族中心のケア(Family Centered Care)」 の重要性について解説がありました。当事者ご家族のお二人からは、出産や入院中の経験が共有され、出産直後の罪悪感や不安、周囲との関わりでの悩み、そして医療スタッフや家族のサポートがいかに支えとなったか、当事者ならではの想いが語られました。
●東京医療保健大学大学院 米山万里枝先生は「産後ケア」をテーマに講演。産後の母親は心身ともに不安定になりやすいこと、特に早産児の家族には赤ちゃんの成長に合わせた「切れ目のない支援」 が不可欠であると訴え、産後ケアの必要性や具体的な支援の仕組み等についてお話しされました。
●展示・体験エリアでは、早産で生まれた赤ちゃん人形抱っこ体験、保育器でのお世話体験などを通じ、早産児とそのご家族について知り、考えるきっかけを提供しました。
※1 2023年人口動態調査(厚生労働省)
※2 n=150 2025年6月日本NICU家族会機構(JOIN)・ピジョン株式会社調べ 世界早産児デー認知度・早産意識調査に関するアンケート
対象:早産での出産をご経験した当事者
n=219 2025年7月日本NICU家族会機構(JOIN)・ピジョン株式会社調べ 世界早産児デー認知度・早産意識調査に関するアンケート 対象:子どもがいる家庭
■イベントに参加された方の声
●体験コーナーでは保育器の温かさにびっくりして、早産の赤ちゃんがどれほど小さいのか軽いのかを実感しました。講演を聞いて、小さな命が一生懸命生きていることを思うと胸が熱くなりました。
●自分自身、超低出生体重児で生まれ、インスタでその超低出生体重児と低出生体重児の当事者が集まる会に参加していて、新生児医療に興味があって参加した。実際に医師や家族の話を聞いて今で知らなかったことやJOINについて知ることができた。
●(早産を経験された)家族の話を聞くのは貴重でとても勉強になりました。
【参考】
■「世界早産児デー(World Prematurity Day)」とは
11月17日の世界早産児デーは、ちいさく早く生まれた赤ちゃん、周産期医療を受けた赤ちゃんとご家族が抱える課題や負担に対する意識を高めるため、2008年にヨーロッパNICU家族会(EFCNI)(現国際NICU家族会(GFCNI))および提携している家族会によって制定された記念日です。
靴下が並ぶイラストは、世界早産児デーのシンボル。9足の靴下の間にある1足の紫色の小さな靴下は、世界中で10人に1人の赤ちゃんが早産で生まれていることを象徴しています。
日本NICU家族会機構(JOIN)公式HP:https://www.join.or.jp/
■「世界早産児デー認知度・早産意識調査」結果
【当事者・非当事者】「世界早産児デー」認知度の差は83.2pt
11月17日の「世界早産児デー」を「知っている」と回答したのは、当事者で96.0%、非当事者で12.8%とその差は83.2ptとなり、大きな差が明らかになりました。日本において約20人に1人が早産で生まれていますが、当事者以外の「世界早産児デー」認知は進んでいません。
【当事者】早産での出産や子育てに「不安」は97%
早産での出産や子育てに「とても不安を感じた」が82.4%、「やや不安を感じた」が14.5%と、あわせて9割以上の当事者が不安を感じていることが分かりました。また、時期別に「不安」を感じたタイミングをみると、「出産~NICU入院開始時」が最も多く、次いで「NICU入院中」が多い結果となり、赤ちゃんの容態に対する不安や発達に関する不安が多く挙がりました。
【早産での出産や子育てに対する「不安」】※本調査に寄せられた一例
●入院中は様々な合併症の治療や検査があり、その度にリスクを話され不安を抱えていた。(27週0日)
●生まれてから48時間の壁、脳出血を起こさないか不安だった。 (27週6日)
●早産児に関して産まれる前や直後、そしてその後の成長に関する情報がまとまったサイトがなかなかなく、余計に不安が募った。(26週6日)
●月齢や年齢が上がるにつれて、発育や発達の遅れに不安が増えた。1歳過ぎても歩かなかったり、発語が遅れたりと、周りの子どもが順調に成長していくのをみるにつれ、いつかは追いつけるのかこのまま成長が止まってしまうのかと不安が大きくなった。(24週4日)
【非当事者】早産児ご家族の悩みについては知らないものの、支援意欲は約7割と高い
非当事者に対し「早産児家族がどのようなことで悩んでいるか知っているか」を聞いた質問では、「よく知っている」と回答した人は3.2%にとどまりました。
一方で、早産児ご家族への支援に関して「積極的に力になりたいと思う」(11.4%)、「できることがあれば力になりたいと思う」(59.4%)と回答した非当事者は約7割であり、支援意欲の高さが明らかとなりました。
【当事者】60%以上の人が、周囲の人との関わりに困った経験あり
当事者に対して「早産を経験した後の困り事」について聞くと、回答の上位には「情報不足」(66.0%)や、「相談できる人や環境がないと感じる」(63.5%)、「周囲の人との関わり」(61.0%)が挙げられました。
実際に周囲の人と関わる中で傷ついた経験として「小さいね」など身体的な特徴や発達、月齢に触れること、身近な家族からの無理解な言葉が多く挙がりました。一方で、当事者が周囲の人に求める対応としては「頑張っているね」「こんな事ができるようになったんだね」のように寄り添う姿勢が多く挙がり、他の子と比較せずその子自身の成長を見守る姿勢が嬉しいと感じる方が多いことが分かりました。
【早産児ご家族が嬉しい接し方】※本調査に寄せられた一例
●他の子どもたちと同じように、普通に接してもらえるのが一番ありがたい。(27週3日/ 24週4日)
●「頑張ってるね」と寄り添ってもらうだけで嬉しい。(30週2日)
●1番頑張っているのは子ども自身なので、周囲から見た子どもの頑張りや成長を褒めて伝えてもらえると励みになる。(27週1日)
●早産児や小さめの赤ちゃんに対しての知識がもっとあったらいいなと思う。みんながみんな正産期に生まれ、大きさがしっかりあるとは限らないことを知って欲しい。(32週5日)
【非当事者】今後、認知を広げる取り組みが求められる
早産児ご家族に関する社会全体の理解や配慮を広げるために必要な取り組みを聞いた設問には、非当事者から「何気ない一言で、お母さんがとても傷つくことがあることを社会全体に知ってもらう取り組みが必要」や「ショート動画などで短く分かりやすく伝える取り組みが必要」といった認知を広げる取り組みを求める声が多く挙がりました。非当事者自身も、早産児に関する知識が十分でないと感じており、社会全体で知識を共有することが、早産児ご家族の支援において重要だと捉えていることが読み取れます。
調査概要
調査主体:日本NICU家族会機構(JOIN)・ピジョン株式会社、調査手法:Webアンケート、調査会社:株式会社イー・クオーレ
〈当事者〉有効回答者150人/分析サンプル159データ ※早産児が複数人いる場合、1人が複数の子どもについて回答したため
調査期間:2025年6月12日~6月26日
調査対象:早産での出産をご経験した当事者、性別・年齢不問
〈非当事者〉有効回答者219人
調査期間:2025年7月18日~7月21日
調査対象:全国、25-39歳の男女、既婚、子どもはいるが早産の経験はなし
■ピジョンの取り組み「ピジョンちいさな産声サポートプロジェクト」
当社では、早産で生まれた赤ちゃん、低体重で生まれた赤ちゃん、病気や外的疾患で治療が必要な赤ちゃんなど、専門的なケアが必要な赤ちゃんとご家族向けに「ピジョンちいさな産声サポートプロジェクト」と名付け、以下のような取り組みを行っています。
●NICU卒業生へフォトフレーム型メダルの贈呈
NICUを退院されたお子様とそのご家族の頑張った日々を称え、過ごされた日々を振り返るきっかけとなる「Celebrate baby medal」を贈呈しています。このメダルは、ピジョンのプラスチック製品の製造過程で発生する、未使用の製品をアップサイクルしたものです。1つ1つ同じものにはならないマーブル模様は、1人1人が特別な存在である赤ちゃんとそのご家族を表しています。また、フォトフレームとして飾ることもでき、「ご家族の思い出にそっと寄り添いたい」という想いも込められています。
【「Celebrate baby medal」を贈呈されたご家族の声】
●当時は生まれたことを肯定するのに時間がかかった。こうした企画でより産まれたこと、産まれてくれた感謝の気持ちを感じた。
●写真を選ぶ時から楽しくて、考えて考えて選んだ写真が可愛く、メダルになって嬉しかった。
●今、子どもが赤ちゃんの時のことに興味を持っていたので、すごく楽しみだった。(ワークショップに参加して)子ども自身で作れたことがすごく良かった。
●ピジョン 「世界早産児デー」応援アクション
誰でも参加可能!いいね寄付キャンペーン
ピジョンInstagram「子育てのヒント」(@pigeon_celebrate.babies)の対象投稿にいいねをしよう! 1いいねにつき10円を、ちいさく早く生まれた赤ちゃんの支援を行っている日本NICU家族会機構(JOIN)に寄付いたします。
期間:2025年10月15日(水)~2025年11月17日(月)17:00まで
内容:1いいねにつき10円を日本NICU家族会機構(JOIN)へ寄付
アカウント:@pigeon_celebrate.babies
●専門的なケアを必要とする赤ちゃんのための商品開発
ピジョンでは、専門的なケアを必要とする赤ちゃんのための商品開発を積極的に行っています。ここでは、一部をご紹介いたします。
哺乳運動に未熟性のある赤ちゃんのための「乳首」
赤ちゃんの哺乳運動に特に未熟性があり、吸う力が弱いケースでも哺乳ができるよう開発され、1985年より国内のNICUを中心に提供しています。形状・素材を研究によりアップデートしながら、今では世界各国で使用されています。
ちいさく早く生まれた赤ちゃんのための「おしゃぶり」
ちいさく早く生まれた赤ちゃんは、お口まわりの筋力が弱くおしゃぶりを支えられないことがあります。そのような赤ちゃんが、吸い続けられるよう、『軽さ』と『形』にこだわって開発しました
ピジョン株式会社
ピジョンは、育児用品をはじめ、マタニティ用品・介護用品・保育サービスなどを手掛けるブランドです。
60年以上に亘る研究に基づき、製品やサービスを提供することによって、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にしたいと考えています。
ピジョンは、赤ちゃんが生まれながらに持つ素晴らしい力を育み、すべての赤ちゃんがありのままに輝ける世界の創造を目指していきます。
赤ちゃんにやさしい未来に向けた世界中に広がる私たちの取り組みを下記でご紹介しています。
https://www.pigeon.co.jp/vision-of-a-baby-friendly-future/