【JACOB&CO. STORIES】Vol.12:アストロノミアの深化──10分から1分、三次元から四次元へ。その先に広がるものは──。

革新と芸術性を体現してきたジェイコブ&コーの歩みを、シリーズ形式でご紹介する「JACOB&CO. STORIES」。第12回では、アストロノミアが更新し続ける“時間の魅せ方”の深化に迫ります。

ジェイコブ・アンド・コー・ジャパン株式会社のプレスリリース

アストロノミアは、何を“革新”し続けているのか

従来の時計が平面にムーブメントを並べていたのに対し、アストロノミアは透明なガラスドームの内部に立体的な構造を築き上げました。視線の角度によって機構の配置や表情が変わり、表情を刻一刻と変えることで、時間は“見る対象”から“魅せられる対象”へと進化しました。

近年はその進化がさらに加速しています。ジェイコブ&コーのアストロノミアは、公転周期は20分から1分へと短縮され、伝統的な表示は立体的に再構成され、多軸化によって重力との対話も深化しました。立体的に編まれた宇宙的な機構は、今も進化を続けています。

アストロノミア レボリューション――分から秒へ、密度の革新

アストロノミア レボリューション(2023年)
アストロノミア レボリューションの組み立てには高い技術力と膨大な時間を要する

2023年に登場した「アストロノミア レボリューション」は、その名のとおり“革命”を体現したモデルです。アストロノミアの象徴であるプラットフォームの公転周期を、既存モデルの20分や10分から一気に60秒へと凝縮し、時間の表現そのものに新しい地平を切り拓きました。これは「速さ」を狙った改良ではありません。時間をどう感じ、どう魅せるか――その概念自体を刷新するために生まれた設計思想です。

この前例なき進化を実現するため、香箱から伝わるエネルギー配分は根本から再設計されました。輪列と軸受は負荷と剛性のバランスを再定義し、各表示体はわずかな質量差にまで配慮した徹底的な軽量化を実現しています。

――そして「瞬間」から「連続」へ。

従来のモデルでの回転は、時間に目を向けるたびに違う表情を見せるものでした。対してレボリューションでは、60秒公転によって休むことなく動き続け、常に変化を生み出します。内部の構造は光を反射しながら絶えず表情を更新し、手首の角度がわずかに変わるだけで新しい輝きが現れるのです。

アストロノミア レボリューションは、“空間に時間を配置する”という哲学を、凝縮された”時間の密度”という形で表現したモデル。その名にふさわしく、アストロノミアの革新性を次なる段階へと押し広げています。

アストロノミア レギュレーター――伝統の再構築が生む”秩序と透明性”

アストロノミア レギュレーター(2024年)
『固定された秒針』と『動くベースダイヤル』という革新的な発想がアストロノミア レギュレーターの機構の根幹を担う

2024年に登場した「アストロノミア レギュレーター」は、古典時計に用いられてきたレギュレーター機構を出発点としています。レギュレーターとは、時・分・秒を分離して表示することで精度を高める方式であり、18世紀以来、計時の基準として重用されてきました。

ジェイコブ&コーはこの伝統的な方式をそのまま再現するのではなく、アストロノミアの特徴である立体構造の中に再構築しました。

時・分・秒は同一平面に整列するのではなく三次元に配置され、情報は整理されながらもダイナミックに展開します。その結果、表示はより明快となり、機構との一体感も高められています。

さらに、全体の公転(60秒)と複合軸トゥールビヨンの回転(60秒)が同調し、表示と運動が一つのシステムとして連動します。これは単なる表示の刷新ではなく、構造と情報が完全に統合された新たな計時体験の創出です。

アストロノミア レギュレーターは、“空間に時間を配置する”という哲学を、整然とした構造と明快な視認性によって体現したモデル。レボリューションが追求した「時間の密度」に対し、レギュレーターは「正確さと明瞭さ」をもたらしています。

アストロノミア フォーアクシス――4軸がもたらす時間の奥行き

アストロノミア フォーアクシス(2025年)
アストロノミア フォースディメンション(2023年:チャリティーオークション「Only Watch」にて発表)

2025年に登場した「アストロノミア フォーアクシス」は、世界で初めて”4軸トゥールビヨン”を実際の製品として完成させたモデルです。2軸・3軸を超える4重の回転構造は、重力の姿勢差を徹底的に平均化するだけでなく、複雑な運動そのものを神秘的な”鑑賞体験”へと変換しました。

複数軸の干渉によって一秒ごとに陰影や動きが変化し、角度を変えるたびに異なる表情が現れる。内部には前景と後景が生まれ、時間は平面的な表示から奥行きを持った立体構造へと拡張されます。

この到達の礎となったのが、2023年に製作された唯一無二のコンセプトピース「アストロノミア フォースディメンション」。チャリティーオークションである”Only Watch”で発表されたこのモデルはアストロノミアの思想をさらに掘り下げ、「時間体験に奥行きを与える」という方向性を先駆的に示した存在でした。その理念を受け継ぎ、実際に製品として完成させた初のモデルとして、アストロノミアを次の段階へ押し上げたのです。

レボリューションが“時間の密度”を高め、レギュレーターが“明快な構造”を整えたうえで、フォーアクシスは多軸によって更なる“奥行き”を与える。精度装置としてのトゥールビヨンを、時間を立体的に形づくる表現へと転換した点に、このモデルの革新性があります。

三つの革新が描くアストロノミアの未来

レボリューションが密度を、レギュレーターが秩序を、フォーアクシスが奥行きを。アストロノミアの歩みは、機構と表示と体験を一体化させながら進化を続けています。

次に訪れる革新が、さらなる加速であれ、いっそう純化された表示であれ、あるいは体験の磨き上げであれ

――確かなのは、アストロノミアが常に“その先”を予感させる存在であるということです

数値や仕様の変化に留まらず、私たちが時間とどう向き合うかを問い続ける。その姿勢こそが、アストロノミアを単なる時計ではなく、「見惚れる回転機構」という芸術的な舞台へと押し上げているのです。

*Next Chapter*

【JACOB&CO. STORIES】Vol.13:広がる宇宙空間──アストロノミアが出会う、技術と芸術の未踏領域とは何か──。

*Archive*

【JACOB&CO. STORIES】Vol.1:ブランドの原点──ジェイコブ・アラボ、ブランド誕生の物語

【JACOB&CO. STORIES】Vol.2:“ジュエラーの反逆”──スイスに拒まれた男が作った革命のタイムピース

【JACOB&CO. STORIES】Vol.3:新章開幕──ファイブタイムゾーンから“機械芸術”へ、Jacob & Co.革命の瞬間

【JACOB&CO. STORIES】Vol.4:ブランドの現在地──時計を超えて芸術へ、Jacob & Co.が描く革新の形

【JACOB&CO. STORIES】Vol.5:“唯一無二”の共鳴──時計の概念を超えて広がるJacob & Co.の世界観

【JACOB&CO. STORIES】Vol.6:世界のセレブが夢中になるジェイコブ&コーの真価──“本物”の証は腕元に宿る

【JACOB&CO. STORIES】Vol.7:JACOB&CO.のラグジュアリー革命──時計を超えた究極のライフスタイルとは

【JACOB&CO. STORIES】Vol.8:Epic Xの革新譚──ラグジュアリーの再定義、“X”が導く革新

【JACOB&CO. STORIES】Vol.9:“X”が象る魂と構造──スケルトン、ブリッジ、CR7が紡ぐエピックXの真髄

【JACOB&CO. STORIES】Vol.10:“X”が切り拓く美と革新──拡張し続けるエピックXの表現領域が導く、ラグジュアリーの新たな地平

【JACOB&CO. STORIES】Vol.11:アストロノミアという革命児──宇宙を凝縮した“心を奪う回転機構”。その先に待つものは──。

【The Latest|新たな一歩】

ジェイコブ&コーは、絶えず進化を続けています。
ここでは、ジェイコブ&コーの最新の動きをお届けします。

ゴッドファーザー・スカルプチャー・テーブル(価格要問合せ)

ゴッドファーザー・スカルプチャー・テーブルが登場

2025年9月、ジェイコブ&コーは映画『ゴッドファーザー』の世界をインテリアへと昇華した「ゴッドファーザー・スカルプチャー・テーブル」を発表しました。イタリアのCosta Designと共作し、約350点の特注パーツで構成される世界限定20台のアートピースです。

本アートピースはジェイコブ&コーの名作腕時計「オペラ ゴッドファーザー」をオマージュした本作は、3軸トゥールビヨンやヴァイオリン、ピアノを模した造形を持ち、ボタン操作でテーマ音楽を奏でる仕組みも搭載。

空間そのものを演出する“機能するアート”としてお楽しみいただけます。

◆JACOB&CO. STORIES

2022年4月、JACOB&CO. JAPAN(代表取締役 福田魁)が設立されました。
今年、ジャパン設立から3年目という節目を迎えるにあたり、改めてブランドの軌跡を深く掘り下げ、その本質に迫る連載企画「JACOB&CO. STORIES」を始動します。

本企画では、ブランドの創業から現在に至るまでの歴史、世界的なパートナーシップ、そして珠玉の現行コレクションを、全24回にわたってご紹介予定。

なお、本連載は毎月第2・第4月曜日に公開を予定しております。

ジェイコブ&コーの軌跡を、定期的にお届けしてまいります。

*連載構成*

Vol.1~Vol.4:『ブランドヒストリー』 創業から成長まで、ジェイコブ&コーの原点に迫る。
Vol.5~Vol.7:『パートナーシップ』 各界とのグローバルなパートナーシップを紹介。
Vol.8~Vol.24:『現行コレクション』 革新と美学が息づく現行ラインナップの魅力を紐解く。

【ジェイコブ&コーについて】

1986年に設立。当初は高級ジュエリーを取り扱い、宝飾業界で高い地位を確立し、2002年に時計業界へ本格的に参入しました。世界中のセレブリティを中心に一世を風靡したファイブタイムゾーンウォッチから始まり、これまで不可能と言われてきた複雑機構「アストロノミア」、「ツインターボ」、「ブガッティ シロン」などの開発に成功し、時計業界に技術革新を起こし続けています。現在、ジェイコブは超高級車メーカー「ブガッティ」やサッカー界のスター選手「クリスティアーノ・ロナウド」などとパートナーシップ契約を結び、「不可能を可能に」というコンセプトのもと革新的な作品を生み出し続けています。スイス最高峰の時計製造技術と宝飾業界で培った高い芸術性とノウハウを兼ね備え、時計業界の最先端を行くブランドとして、世界中で多くのファンを魅了し続けています。

▼ジェイコブ&コー銀座ブティック

〒104-0061

東京都中央区銀座6-7-9丸喜ビル1階

営業時間:平日12:00〜20:00 土日祝11:00~20:00

Email:info@jacobandco.jp

Tel:03-6281-4777

今、あなたにオススメ