ホーユー株式会社のプレスリリース
ホーユー株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役 社長執行役員:佐々木 義広、以下ホーユー)は毛髪の主要成分であるシスチン※1に着目した研究を進めた結果、シスチンを効果的に毛髪内へ補充できる新ヘアカラー技術を確立しました。
この知見については、今後の新製品開発に応用していく予定としております。また、本研究成果は、2025年12/8(月)~10(水)に開催される「第3回化粧品技術者会学術大会」にて報告予定となっています。
研究の背景と目的
毛髪の主要成分であるケラチンはシスチンを多く含んでいることが特徴で、このシスチンという成分は毛髪を硬くし、弾力性を持たせる役割を果たしています。そのため、毛髪内のシスチンが失われた場合、毛髪ダメージの一因となる事が知られています。当社では、これまでの研究で、アミノ酸単体としてのシスチンに高い毛髪補修効果を見出し、学会報告や特許出願を行ってきました※2。しかしながら、シスチンは化学的な反応を受けやすい特性があることから、ヘアカラー製剤への配合が難しく、その効果についてもわかっていませんでした。
研究の成果
本研究では、シスチンをヘアカラー製剤に配合する技術を確立すると共に、その効果について検討を行いました。その結果、施術直前にシスチンを用時混合する技術を確立し、製剤への応用を可能にしました。また、その効果として、ツヤや透明感の向上および毛髪の疎水化を見出しました。これは、ヘアカラー製剤に配合したシスチンが毛髪内部に浸透し(図1)、メラニンやコルテックスの空洞を補修したためと考えられました(図2)。
また、シスチンはアルカリ条件下では水に溶解し、中~酸性条件下では溶解しない性質をもっています。この性質から、ヘアカラーで浸透したシスチンは毛髪内部の環境が中~酸性側へ傾いた場合、析出を起こすと考えられました。実際に、ヘアカラー施術後に酸の後処理剤を行った所、ツヤや疎水化度の向上がみられ、毛髪内部でシスチンが析出し空洞補修効果が高まったと考えられました(図3)。
※1 シスチン… 中性アミノ酸であり、必須アミノ酸の1つ。多くのタンパク質には少量ずつ含まれているが、毛髪などのケラチンタンパクには特に多く含まれ、毛髪の物性に関して重要な役割をもつ。毛髪がダメージをうけると、システインやシステイン酸などの様々な状態に変化し、減少する。
※2 第1回化粧品技術者会学術大会、日本化学会第100春季年会、特許第6052863号など
※3 飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)の略で、最表面に存在する無機・有機成分を分子レベルで高感度に評価できる分析手法。
※4 超高空間分解能二次イオン質量分析 (NanoSIMS)の略で、高感度(数ppm ~ ppb)と高空間分解 能(50 ~100 nm)を両立した走査型二次イオン質量分析器の事。
ホーユーは、これからも新しい価値を創出し続け、当社の「イキイキ・ワクワクビジョン2030」で掲げた「顧客彩りビジョン・環境彩りビジョン・社員彩りビジョン」を実現し、事業の成長と地球環境の保全を両立させながら、より豊かで持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
ホーユー株式会社について
ホーユーは1905年(明治38年)の創業以来、家庭用およびプロ向けのヘアカラー・頭髪化粧品に関するビジネスを展開しています。市販品ヘアカラー市場において、国内シェアNo.1 ※1 を誇り、長年に渡って、ヘアカラー関連商品の製造・販売ならびに研究・開発をおこなっています。
2023年に会社創立100年を迎え、海外への積極的な事業展開や安全性研究の一歩先を見据えたアレルギー分野への挑戦など、常に新しいものを生み出す姿勢を変えることなく次の100年へ向け歩みを進めています。
※1調査期間:
インテージSRIヘアカラー市場 : 1996年1月~2017年12月 各年累計販売金額
インテージSRI+ヘアカラー市場 : 2018年1月~2024年12月 各年累計販売金額
ホーユー株式会社 会社概要
本社:愛知県名古屋市東区徳川一丁目501番地
代表:代表取締役 社長執行役員 佐々木 義広
創業:1905年(明治38年)
創立:1923年(大正12年)
資本金:1億1000万円
従業員数:1,036名 (2024年10月31日時点)
連結売上高:521億円(2024年10月31日決算)
国内生産拠点: 瀬戸工場 (愛知県瀬戸市山の田町106番地の2) 、桜が丘工場(愛知県瀬戸市穴田町985)
事業内容:ヘアカラー・頭髪化粧品の製造・販売
HPアドレス:https://www.hoyu.co.jp/