ヴァレンティノ ジャパン 株式会社のプレスリリース
メゾン ヴァレンティノ(Maison Valentino)は日本時間2025年10月5日(日)、フランス パリのアラブ世界研究所にて、クリエイティブ ディレクター アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)による2026年春夏コレクション ‘ファイアーフライズ (Fireflies) ‘ を発表しました。
2026年春夏コレクション ‘ファイアーフライズ (Fireflies) ‘
1941年2月1日、対空部隊が空の静寂を破り、激しさを増す戦争の恐怖に包まれた暗黒の時代に、ボローニャで人文学を専攻するひとりの若い学生が幼なじみに手紙を送りました。その手紙の中で彼は、不穏な影に覆われながら過ごす現実においてなお燃え続ける、官能的で遊び心があり、そして無邪気な、絶えず変化する欲望のきらめきについて語っています。そしてとりわけ次のように述べています。「きみにその話をした夜、ふたりでたくさんのホタルを見ましたね。彼らは茂みの中で小さな火の森を作り上げていた。恋の光を放ちながら、恋焦がれ愛を語り合うホタル見て、私たちはうらやましく思ったものです」
この学生とはピエル・パオロ・パゾリーニです。彼が思い起こすホタルとは、もっとも暗い夜に抗う能力:生命力に満ちた不規則な発光であり、具現化された詩の断片、支配的なファシズムの暗闇を生き抜く捉えどころのない儚輝きを表しているのです。
1975年2月1日、ホタルの光に希望を託してからちょうど34年後のこの日、パゾリーニは当時の政治情勢と破壊的な文化の均質化について考察する記事を発表しました。30~40年代のファシズムは間違いなく敗北したものの、それは全く新しく、予測不可能な形で再び姿を現したと彼は述べています。価値観、魂、言語を蝕む体制順応主義(コンフォーミズム)を指しています。違いを受け入れることを到底許さない新たな夜は、愛を探し求めるホタルの光の舞をも飲み込むほどに深い闇です。これこそが明確に理論化された「ホタルの消失」です。
しかしながら、美術史家ジョルジュ・ディディ=ユベルマンはこの予言を信じていません。彼はパゾリーニの言葉に滲む不安を共有するものの、闇の勝利を宣言する黙示録的な風潮に屈することはできないと述べます。今もなお、残存する輝きや前代の遺物、そして可能性の空間を描くきらめきはわずかに存在するのです。もちろん、これらの光はかすかなもので、それらを垣間見ることは困難です。「ロウソク1本分の光を作り出すには、約5000匹のホタルが必要です」(ジョルジュ・ディディ=ユベルマン)。想像し、強く欲することのできる目が必要なのです。この意味において、パゾリーニが予言したホタルの消失は、暗闇の中で希望の兆しを読み取ることのできない衰えたまなざしとまさに一致します。ホタルは死んだのではありません。彼らの姿を認識することができないほどに、私たちが盲目になってしまったのです。「地獄の中で地獄でないのを探し、それを持続させ、居場所を与える」ことなど、もはや私たちにはできないのです(イタロ・カルヴィーノ)。
私たちは目を武装解除し、まなざしを再び目覚めさせる必要があります。それこそが、現在の暗闇が、実はホタルの光の群れによって織りなされているということを理解する、唯一の方法です。それは未来へのヒントであり、画一化に抵抗する美の痕跡、そして私たちを人間と再び結びつける繊細なひらめきです。この意味においてファッションはかけがえのない味方となり得るのです。
その役割は隠れることを好むものを照らし、未来のかすかな兆しを明らかにすることです。ファッションは、既存の価値を揺さぶり、魅惑的な輝きと優雅さに満ちた光を放ちます。これらは暗闇の中の儚い閃光であり、可能性の扉を開き、想像力に社会を動かす力を与えるホタルの集まりなのです。
アレッサンドロ
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