アンゴラの誇りと美が交差する華やかなランウェイ

2025年10月1日（水）午後６時より、EXPO 2025 大阪・関西のアンゴラパビリオンにて、アンゴラを代表するファッションデザイナーCarla Silva（カーラ・シルヴァ）によるスペシャルファッションショーが開催されました。アンゴラの歴史と現代的感性が融合した本ショーには、約50名のVIPゲストが来場し、鮮やかでエネルギーに満ちたファッションを通じて、アンゴラ文化の深みに触れるひとときを体験しました。

トリビュート：伝説の女王「ンジンガ・ムバンディ」に捧ぐ

今回のコレクションは、アンゴラ史上もっとも尊敬される女性指導者のひとり、Queen N’Jinga Mbandi ンジンガ・ムバンディ女王（1582–1663）にインスパイアされたものです。彼女はンドンゴ王国とマタンバ王国の女王として、ポルトガル植民地支配に果敢に立ち向かい、卓越した外交戦略と精神力で国の独立を守り抜きました。ランウェイに登場したデザインの数々には、黄金の王冠や真紅のローブ、力強いシルエットなど、ンジンガ女王を象徴する要素が随所に散りばめられ、伝統と現代が織りなす強く美しい物語が色鮮やかに表現されました。

伝統×現代の交差点：モダン・アフリカの新たな表現

今回のコレクション「Raízes Tecidos com História（歴史を織り込んだルーツ）」は、デザイナー自身によるテキスタイルにアンゴラの文化と祖先の記憶を込めたもので、動植物、カランドゥラの滝、ンジンガ・ムバンディ女王、鉄の宮殿、奴隷博物館、ルアンダ要塞、ポルトガル船、そして21州を象徴するモチーフなどが緻密に描かれています。

これらのオリジナルデザインの生地に、透け感のあるオーガンジー、光沢の美しいデュシェスサテン、繊細なレース、重厚で構築的なミカドなどの上質素材を絶妙に融合。全14ルックがランウェイに登場し、その華やかさと力強さで観客を魅了しました。

カラー構成も印象的で、大地を思わせるナチュラルブラウンに、情熱的なレッドや象徴的なゴールドが重なり、アフリカン・アイデンティティと現代的な感性が共鳴するビジュアルの世界を描き出しました。伝統と革新が交錯する、まさに“今”のアフリカを映し出す新たな表現として、鮮烈な印象を残すステージとなりました。

Carla Silva（カーラ・シルヴァ） 氏プロフィール：アフリカの誇りを纏うデザイナー

Carla Silva（カーラ・シルヴァ）氏は、アンゴラ出身のファッションデザイナーで、34年にわたり国際的に活躍。ポルトガルのアントニオ・アロイオ芸術学校にて視覚芸術とファッションデザインを学び、以来、アフリカの伝統と世界のファッショントレンドを融合させた独創的な作品を多数発表。

彼女の作品は、ニューヨーク、ドバイ、香港、ポルトガル、ミラノ、モザンビーク、タンザニア、ガーナ、ケニアといった都市で発表されてきました。また、ドバイ万博（Expo Dubai）、アンゴラ・ファッションウィーク（Angola Fashion Week）、スワヒリ・ファッションウィーク（Swahili Fashion Week）、ニューヨーク市立博物館でのUCOFショーなどのイベントにも参加しています。

さらに、ミス・ルアンダ、ミス・アンゴラ・ポルトガル、ミス・ワールドといった各種ビューティーコンテストにおいて、公式スタイリストとしても活躍してきました。その才能とアフリカファッションへの貢献が評価され、2013年にはアンゴラで「最優秀国際ファッションデザイナー賞」、2018年にはポルトガルで「年間最優秀ファッションデザイナー賞」を受賞。さらに、10年連続でパンアフリカン・ファッションショーに参加し、功労賞（Diplomas de Mérito）を10回受賞しています。

「本日のファッションショーは、アンゴラの誇りある歴史、文化、そして創造性を、訪れた皆さまに深く感じていただける貴重な機会となりました。ファッションという芸術を通じて、アンゴラという国の魅力を多くの方にご紹介できたことを大変光栄に思います」と、アンゴラパビリオン館長のアルビナ・アシス・アフリカーノは、本イベントの意義を語っています。