【23人分のインタビュー内容をダウンロード可能】〜目指したいのは、自然に見えて盛れてる目元。おしゃれなZ世代女性23人の声から見えたトレンドの種〜
一般財団法人日本ファッション協会のプレスリリース
かつては盛れる手段の象徴だったマツエクを「おしゃれなZ世代ほど選ばなくなっている」と感じられます。この変化の背景を深掘りするべく、おしゃれなZ世代のアイメイク事情について街頭インタビューを実施しました。自まつげを活かすセルフケアや、気分に合わせたサロン利用、そして韓国コスメや国産ブランドを自在に組み合わせるアイテム選び。その背景には、“自然に盛れる”ことを理想とする価値観があり、Z世代のまなざしからはトレンドの種が浮かび上がってきました。
調査目的
本調査では、おしゃれなZ世代女性が日常的に行っているアイメイクやセルフケア、サロンケア、そして目元に対する意識を掘り下げることで、いま芽生えつつあるトレンドの種や、変化が生まれる瞬間を捉えることを目的としています。ファッション感度の高い層が集まる表参道での街頭インタビューを通じ、リアルな声を収集し、Z世代の価値観や行動に裏づけられたインサイトを明らかにします。
調査概要
Z世代女性に対する街頭インタビュー調査
調査時期:2025年9月7日(日)
調査手法:街頭インタビュー調査
調査地点:表参道エリア
調査対象:当日、表参道を訪れたファッション感度の高いZ世代女性 23名
調査項目:いつもアイメイクのアイテムは、何を使ってますか?/アイメイクのために、自分でやっていることは?(セルフ)/アイメイクのために、お店でやっていることは?(サロン)/アイメイク周りにお金は月にいくらまで、かけてOK?/アイメイクに関して、何に注目している?/アイメイクに関して、どんな悩みがある?/その悩みをどうやって解決している?など
調査実施機関:スタイルアリーナ(STYLE ARENA)
おしゃれなZ世代が“いつも使う”アイメイクは機能と気分のハイブリッド。王道は韓国パレット&国産ライナー、まつげの仕上げは多様化。
はじめに「いつもアイメイクのアイテム(アイシャドウ、アイライナー、マスカラ)は、何を使ってますか?」と質問しました。
アイシャドウはCLIO、dasique、rom&ndなどの韓国勢が強く、人気はパレットのカラーが豊富に入ったもの。ポイントでDiorやCANMAKEなどデパコス、もしくはドラコスを差し込む使い分け派もみられました。アイライナーはヒロインメイクとKATEが二強。マスカラは、ヒロインメイクとメイベリンの指名買い。また、まつげの仕込みとしてマスカラ下地を併用する人も多く、長さを補強するKATE、ボリュームアップ目的のDiorを使い分ける人も。
まつげは「自まつげ+下地でかさ増し」派が最多ですが、シーンによってまつげパーマやマツエクから、つけまつげ、マスカラの使い分けまでその選択肢は様々です。数年前まではマツエクが主流*1という傾向が強かったですが、近年はナチュラルメイクの台頭もあり、自まつげを活かしたり、気分に合わせてメイクの仕上がりを楽しんでいる人が多く、一概に「これがまつげトレンド!」とは言えなくなってきているようです。
過去にまつげパーマやマツエクをしていたが、今は通っていないという人に理由を聞きました。
「気分によってメイクを調整したいこともありサロンには行ってません。アイメイクを変えるきっかけはYouTuberなどですが、基本は人のメイクを真似することはあまりなく、自分に合うスタイルを重視して探求している。試したいアイメイクが髪色やファッションでも変わります。」(右の協力者の深掘りコメント:21歳・会社員)
YouTuberなどを参考にするもののトレンドに流されすぎず、自分に似合うアイメイクの最適解を探し続けることがわかります。
*1:アイラッシュプレス「マツエクは時代遅れ?トレンドをおさえて今ドキっぽさを叶えよう!」(2024年6月20日)
https://eyelash-press.jp/extensions/matsueku_outdated/
アイメイクのために、セルフでは何してる? 夜のまつげ美容液は当たり前、プラスひと手間のベース強化がタイパに繋がる
続いて、「アイメイクのために、自分でやっていることは?」と聞くと
まつげの地盤を整えるためのまつげ美容液という答えが多く、23人中13人が使用していました。メーカーはマジョリカマジョルカ、スカルプDといったドラッグストアで購入できて、“続けやすい価格帯”層と、ラッシュアディクトなどの高価格アイテムを選ぶ“効果に投資”層に分かれますが、まつげケアとして定着しているようです。
次に多かったのが、まつげの仕上がりと持ちを底上げするひと手間として“コーティング剤”を重ねること。きっかけはサロンで教わったという声もあり、プロが教えるテクニックとして信用性が高いケアに対しては挑戦しやすいようです。
また「眉はエピラットで2ヶ月に1回、自宅でブリーチ。メイクの時短にもなるし、おしゃれ顔になる」といった、定期的なセルフケアで結果的に毎日のメイク時間の負担を減らし、尚且つ、おしゃれ顔に仕上げているという意見も。こう答えた人に、はじめたきっかけを聞きました。
「SNSで韓国アイドルや中国のインフルエンサーたちを中心に、ハイトーンの眉毛メイクをする人を見かけるようになってチャレンジしてみました。自分の今のファッションにも合うから続けています。」(右の協力者の深掘りコメント:21歳・フリーター)
おしゃれなZ世代は、まつげ美容液やコーティングで自まつげの土台を強化したり、眉毛をブリーチするなど、ひと手間をかけているように見えるセルフケアも、彼女たちにとってはトータルコストと時間短縮をしつつ、自分の理想の仕上がりを守るための手段となっていました。
サロンのアイケア事情。まつげは“気分で可変”、眉は“形の資産化”。
続いて「アイメイクのために、お店でやっていることは?」と質問したところ、サロン利用は大きく「まつげ=可変(自身の状況によって調整)」「眉=固定(自分の理想を常にキープ)」という明確な結果にわかれました。
まずはまつげ周りからみていきましょう。まつげパーマ、マツエクのいずれも、今はやっていないという人も「過去に通っていた」というコメントも多く、彼女たちにとっては身近なケアであることがわかります。通う時期については「今はナチュラルメイクにしたいのでやっていない」という人から「まつげのダメージを気にしているので最近はやめている」という人まで、理由は様々ですが自身のまつげの状況を客観的にみて「無理をしない」選択をするのはおしゃれなZ世代ならではの思考です。
そこで「過去にサロンケアをしていたが今は行っていない」という人に、今後はどうしていきたいのかを聞いてみました。
「自まつげを強化していきたい。美容液は決まったブランドではなく、いろいろ試しています。今、使っているものは伸びを実感できますが、もっと太さや強さが欲しいと思っていて、新たなアイテムを探しています。」(右の協力者の深掘りコメント:22歳・大学生)
現状に満足せず、常に自分をアップデートしようとする意識がみられました。
まつげパーマ支持者は“ノーメイクでも上向き”“湿気や汗でも下がらない”という時短・安定目的で選ばれ、ナチュラルな仕上がりを好む声が中心。そんな中でもカール角度や立ち上げ位置で黒目上だけ緩め・全体ふんわりで目尻だけ長め、などの目指す理想形があり、細かくデザインを指定しているようです。
マツエクは「日常的に”メイクの一環”としてする人」と「イベントや盛りたい時期に“束感・ボリューム・長さ”を確実に足す手段としてやる人」との二極化。いずれも施術をするときは、長さ・太さ・デザイン(J/C/D、目尻強調など)の希望するスペックで探し、サロンを選択しています。たとえば「マツエク15mm対応のメニュー」があって初めて、サロン候補に入るといった声もあり、“条件一致→初回→当たりなら指名”の動線が今の消費者行動の定番パターンのようです。
眉アートは2〜3ヶ月周期で同じ担当者を指名して通い、ガイドラインを作って日常の手入れを楽にする“安定タイパ派”がみられました。
いずれのサロンも、指名をしなかったとしても仕上がりのブレが少ない店=再現性が評価され、チェーンでも手順標準化で「誰でも同じ」が安心材料になっています。これはおしゃれなZ世代の間に根づく「失敗したくない」という慎重な感情*2に通じる部分です。
*2:スタイルアリーナ「Z世代おしゃれ層דスキンケア”と“エモ消費”から見る、市場拡大のヒント。」(2025年6月30日)
https://www.style-arena.jp/trend/379/
『持ち=お得』思考で決める、目元の月次予算。目先の安値よりもトータルの満足度。
では「アイメイク周りにお金は月にいくらまで、かけてOK?」と質問したところ、普段は少額、必要な月だけ上げる人が中心でした。最頻値は¥4,000〜¥4,999。まつげパーマやマツエクに行く月は¥10,000前後まで一時的に上がり、常時高投資は少数派でした。
ここでセルフケアもサロンケアも併用し、月に10,000円予算の人に「コスパ的にどう思うか」を聞いてみました。
「まつげ美容液やコーティングなど、一つ一つはコストになりますが、毎月買うわけではないし土台が安定するのでやった方が結果的に節約になる。」(左の協力者の深掘りコメント:25歳・接客業)
おしゃれなZ世代の意見からわかったのは「アイメイクの基盤を整える=日常的に盛れて、結果的に節約」という考え方。普段はアイメイクの土台を補強するまつげ美容液やマスカラ下地といったアイテムにはお金をかけ、コスメは手頃な韓国ブランドやプチプラブランドで支出を抑える。そしてイベント前に、サロンケアで仕上がりをより強化する変動型の運用が実態です。
気分は「縦幅拡張」。自然な涙袋&立体感で“縦に盛る”が今っぽい
これだけアイメイクに関して気にかけているおしゃれなZ世代に、今「アイメイクに関して、何に注目している?」と聞いてみました。その答えとして、目元の“縦幅”を大きくみせたいという意見が目立ちました。
具体的には、「涙袋づくり(影+ハイライト)」や、「ツヤとマットを使い分けて立体感を足す」といったもの。「涙袋の下に影を細く入れて涙袋部分には繊細ラメで“ぷっくり”と見せる」といった、すでに行っているメイクテクニックから、「ナチュラルに立体感を出して目の縦幅を強調したい」まで、細かく理想があるようですが、おしゃれなZ世代の関心はあくまで“自然に縦幅を盛る”ことだということがわかりました。
なぜ今、彼女たちは目の縦幅にアプローチしたいのかを深掘りするべく、そう思う理由を聞いてみました。
「もともと涙袋がなくて悩みでもありますが、涙袋があるように見せるメイクテクニックが、SNSにたくさん情報が流れているので『私もこうなれるかも?』と思った。長めのまつげ&涙袋の存在感があることで、ナチュラルだけど盛れるし、常にTikTokなどで情報収集しています。」(右の協力者の深掘りコメント:21歳・大学生)
SNSで情報に出会い、自分の悩みを解決できそうなテクニックにチャレンジすることがわかりました。
“目の幅は盛りたい、濃くは見せたくない”という壁にみんなぶつかっている
では、そんな彼女たちはアイメイクに関して、どんな悩みがあるのかを聞いてみました。
悩みから見えてきたニーズは「目を大きく(=縦幅、横幅)見せたい」「左右差のない整った目の形」の2軸で、いずれも自然に見えることが理想です。
しかし現実は、アイシャドウなどの発色コントロールが難しくてつい強く見えてしまう、上げたまつげのカールや束感の“持ち”が数時間で弱る、目元の印象を左右するアイラインの精度(細く・まっすぐ・左右そろえる)が安定せずに理想的に仕上げられない。この3点に悩みが集中しました。
この悩みの種を深掘りするべく、理由を聞いてみました。
「理想は“韓国お姉さん系”っぽい、ナチュラルで縦幅が出る感じが好きで、目指したい雰囲気に寄せるためには目の印象はとても重要だと思うから。加工などでは一時的になれるかもしれないけど、リアルな状態で目指したいから。」(右の協力者の深掘りコメント:20歳・事務)
アプリ加工による一時的なものではなく、普段の生活の中で理想に近づくための方法を模索していることがわかりました。
また、よく見られた傾向としては“色を足す”より線・影・質感を細かく積み上げるやり方。しかしテクニック依存が高く、湿度・時間・学校や仕事の制約で再現性が揺らぎやすいので「理想の目の形をキープしたい、でもやり過ぎには見せたくない」という意見も。このせめぎ合いが、毎日の小さな失敗体験を生みやすくしています。
おしゃれなZ世代的解決策は「色を盛らずに、工程で勝つ」
では、ひとつ前の「アイメイクに関して、どんな悩みがある?」という質問で出た課題をどうやって解決しているのかを聞いてみました。
まつげは“作業手順”で保たせていました。繊維下地→本体→コーティングの三段で長さとカールを固定し、ビューラーやホットビューラーで根元を起こしてから、ピンセットで束感を微調整。
アイラインの工程は、よりテクニカルです。にじみにくいジェルやペンシルでキワを埋め、粘膜ラインで視覚的に目の大きさを拡張し、最後に極細リキッドで目尻だけをまっすぐ描く。“失敗が目立たない色”(ブラウン・バーガンディ)を選んで、仕上がりのブレを抑える。 目元が腫れぼったく見える問題は質感コントロールで解決など。
上まぶたはベージュベースで“影”を作り、涙袋は微粒子ラメでツヤだけ足すかマットで自然に。イベントシーズンや長時間の外出時などは、部分つけまやまつげパーマ、マツエクへ切り替えることで再現性を確保します。
おしゃれなZ世代にとって、その日の環境や予定で“工程とツールを切り替える”のがいまの普通。動画で覚えた小ワザ(束感の“つまみ”、二刀流の順番など)を自分の顔に最適化して、“常に、自然に、目を大きく”見せるために日々情報をアップデートし、課題を解決しています。
おしゃれなZ世代が求めるアイメイクの最適解は、“違和感ゼロ盛れ”。無加工でも映える顔が理想
今回のおしゃれなZ世代への街頭インタビューを通して、彼女たちのアイメイク観から浮かび上がったのは「盛る」ことと「違和感のなさ」の2軸を実現しようとする行動でした。
彼女たちは「ナチュラルに見せたい」という一方で、アイメイクの土台を日頃から補強し、マスカラの下地や影を使い分け、ラメやマットの質感調整で立体的に仕上げ、自然に盛れる最大限、日常に溶け込むアイメイクを作っています。
これは単なるテクニックではなく、2022年頃から韓国で流行し、今や日本でも支持を集める“盛らないプリクラ”や、加工なしのSNSアプリ「BeReal」に象徴される「自然体が今のトレンド」という文化的背景と強く結びついている現在の風潮とも言えます。無加工でも映える=ナチュラルな中でも“盛りたい”というニーズは、一見相反するようですが、理想を明確にもち、なりたい自分を叶えるために工夫をし続けるおしゃれなZ世代ならではの思考でした。
企業にとっては、Z世代が重視する“違和感のなさ”や“自然に見える目の幅拡張メイク”をどう製品や発信に落とし込むかが鍵となるかもしれません。アイテムの発色や持続性だけでなく、口コミで語られるリアルな使用感とともに「いかに違和感ゼロで、最大限に盛れるか」を前面に押し出すことが、Z世代との接点を広げる第一歩になるのではないでしょうか。
▶︎今回の街頭インタビューの【23人分のインタビュー内容】をこちらからダウンロードいただけます
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※本調査を引用いただく際は、出典元が「スタイルアリーナ」であることとリンクを明記いただきますようお願いいたします。
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