Z世代おしゃれ層דスキンケア”と“エモ消費”から見る、市場拡大のヒント。

〜肌が整うと、気持ちが変わる。そして、行動が変わり、購買へ。Z世代のおしゃれ層が語った、スキンケアと感情と行動の関係性〜

一般財団法人日本ファッション協会のプレスリリース

ファッション&ライフスタイルメディア『スタイルアリーナ』は、『僕と私と株式会社』と協働し、原宿を訪れたZ世代女性50名に対して街頭インタビュー調査を実施しました。

テーマは、「スキンケア」「エモ消費」。今回、私たちが注目したのは、肌を整えることが気分を変え、やがて行動まで変える──Z世代おしゃれ層に見られる“感情ドリブンな消費行動”の構造です。

  • 「肌の調子がいい日は、ノーマルカメラで写真を撮りたくなる」

  • 「ビジュが納得いかないとモチベが下がるから、夜疲れていても絶対スキンケアをサボらない」

  • 「『肌がきれい』と、周りから褒められることが増えておしゃれが楽しくなった」

彼女たちの声を通して見えてきたのは「スキンケアは単なる美容ルーティンではなく、肌と気分を整える“自己管理”」という実態。

商品との出会いから気分が動き、納得して購入し、気づけば生活が変わっていた。Z世代のおしゃれ層は、そんな感情の連鎖の中で、納得と行動を伴った選択をしています。

これは単なる「気分で買う」衝動的消費ではなく、「感情を起点に、生活と行動が整っていくような、意志ある選択行動」です。私たちはこのような消費のかたちを、「エモ消費」の深化形(感情が購買だけでなく生活の変化にも波及するプロセス)と捉えました。

今回インタビューを行ったのは、Z世代の中でも特に情報感度が高く、自己表現にも積極的な“おしゃれ層”。自身の意思を持って購買・発信を行う特徴があり、イノベーター理論でいうとアーリーアダプター層にあたります。

彼女たちの言葉や行動は、いずれマス層に広がっていく消費行動の“兆し”として、多くのブランド・企業にとってヒントとなるでしょう。

本記事では、そんな彼女たちの声をもとに、“気持ちが動くと人はどう動くのか”という問いを軸に、Z世代のエモ消費の構造を読み解き、これからのマーケティングと商品企画に活かすための視点を探っていきます。

調査目的

スキンケアやベースメイクといった”肌の土台づくり”が、Z世代女性の自己認識・気分・日常行動・購買にどのような影響を与えているのかを明らかにする。特に、「肌と気持ちの連動」「感情が動くことで生まれる行動や習慣変化」に着目し、ブランドや広告が押さえるべきインサイトを導出する。

調査概要

Z世代女性に対する街頭インタビュー調査

調査時期:2025年6月14日(土)~15日(日)
調査手法:街頭インタビュー調査
調査地点:原宿エリア
調査対象:当日、原宿を訪れたファッション感度の高いZ世代女性 50名
調査項目:スキンケア・ベースメイクの選定基準/情報源/使用感の変化と気持ちの連動/再購入意向と理由 など
調査実施機関:スタイルアリーナ、僕と私と株式会社

■「感情起点」で動く検索と情報収集

Z世代のおしゃれ層にとって、検索とは「知識欲・課題解決」だけの行動ではありません。

それはむしろ、“気持ちが動いた瞬間”に自分を整えるためのプロセスの入口です。

たとえば、自由回答からはこんな検索のきっかけが見えてきました。

  • 「『ニキビケア』などのワードで検索する」

  • 「Instagramで、もこが使っていたアイテムを気になって調べた」

TikTokで「かわいい!」と反応した投稿に出会い、

→ Xで「乾燥肌 スキンケア」と検索し、

→ YouTubeでレビュー動画を見て“本当に自分に合っているか?”を確かめる。

→ 最後に身近な人のひとことが背中を押す。

このように、感情が動いた瞬間から始まり、複数のメディアをまたいで納得に至るという、エモーショナルな情報収集の導線が、彼女たちの行動には自然と根づいています。

また、実際に検索理由として挙げられたワードを集計すると、以下の要素が見られました。

これらのデータから見るべきは、「肌を変えたい」という願いの裏側にある、「今の自分を変えたい」「気分を上げたい」というZ世代ならではの静かな欲求。検索とはその感情を可視化するプロセスとなっているのです。

そしてその後は、「検索」→「比較」→「納得」→「購入」へと至る、感情を軸にした導線が、彼女たちの中で当たり前のように回っています。もはや検索は、感情に寄り添う行動の一部であると言えましょう。

■肌と気分を整える“自己管理”としてのスキンケア

Z世代のおしゃれ層にとってスキンケアは「外見を整えるための美容行動」よりも「気分を“整える”ための自己管理」に近い存在です。

実際に「肌が整ったときの気持ちの変化」について尋ねた結果、以下のような声が見られました。

肌が整うことで、気分が上がる/自分に自信が持てる/気持ちが安定するといった、内面的な“ハッピー感情”の立ち上がりが確認されました。

そして、その感情の変化は、具体的な“行動の変化”へとつながっていきます。

肌が整うことで、「誰かに会いたい」「記録したい」「発信したい」というポジティブな外向きの行動が自然に引き出されています。

対象者のインタビューからは、そのつながりがより鮮明に読み取れます。

  • 「肌が整うと、マスクを外して外に出たくなる」

  • 「肌荒れしてないときは、人に会うのが楽しみになる」

  • 「メイクのりがいいと、写真を撮るのも気分がいい」

こうした声に共通するのは、「肌→感情→行動」へと連鎖していく自己肯定感のスイッチとして、スキンケアが機能しているという点です。

Z世代にとってスキンケアは「日常の美容習慣」ではなく、気持ちを前向きに切り替える「自己管理のルーティン」として根づいています。

こうした感覚の定着は、企業が商品やプロモーションを設計する際、肌の変化だけでなく「気分がどう変わるか」まで踏み込んで考えるべきだという示唆を与えています。

■Z世代の購入決定プロセスは“ちょうどいい”体験を通じた納得・共感

Z世代のおしゃれ層が購買を決めるとき、最も重視しているのは「ちょうどよさ」です。話題性や価格より、「自分に合うかどうか」という感覚的な納得・共感こそが購買の引き金になっています。

たとえば、

  • 「姉のおすすめ」

    →「Qoo10のメガ割でanuaのスキンケア一式がお得になっていた。姉と肌質が似ているから自分にも合いそうだと思い初購入」

  • 「SNSで最近よく見る」

    →「Web販売がメインのトゥヴェールを限定ポップアップで見つけた。タッチアップして、テクスチャーが良かったから初購入」

といった声から見えるポイントは、信頼できる人からの推薦やSNSで何度も目にする“情報の蓄積”。単発の情報ではなく、「よく見る」「信頼する人が使ってる」という感情の納得が、行動するモチベーションを高めています。

そして企業の施策がきっかけとなり「買ってみようかな」と最後の意思決定を後押しするということ。

さらに、スキンケアアイテムのリピート理由では、

  • 肌に合う(26.0%)

  • 効果を実感(22.0%)

といった“使った手応え”が上位に挙がり、「合うからまた使いたい」「ラクだから自然と手が伸びる」といった日常的なフィット感=「ちょうどよさ」が購買継続の決め手になっています。

実際の声からは、こうしたリアルな体感を重視する姿勢が浮かび上がります。

  • 「バズってたけど、自分に合わなかったらすぐやめる」

  • 「肌に合うと、自然と続けたくなる」

  • 「乾燥しないから朝ラク、って感覚でまた買った」

Z世代のおしゃれ層は、トレンドに流されているのではなく、“自分の感覚に従って選ぶ”主体的な購買者です。「崩れにくい」「乾燥しない」「肌トーンが上がった」といった自分の肌で感じた変化が、リピートやUGC投稿といった“次の行動”へとつながっています。

この「ちょうどいい」という感覚的納得こそが、Z世代の意思決定の本質。商品評価の軸はスペックや価格よりも、“自分と商品との相性=共感できるリアリティ”に移行しているのです。

また、ネットやSNSで情報収集を行うことが当たり前の世代でありながら、実際の購入は意外にも店頭(実店舗)を選ぶケースが少なくありません。

これは、Z世代の間に根づく「失敗したくない」「実際に見て・触れて・納得したい」という慎重な感情の表れとも言えます。

特にZ世代のおしゃれ層は、トレンドに流されるのではなく、“自分にとって心地よいか”を判断基準に持つ、確固たる「自分軸」を持っている様子がみられました。

「使って失敗したことはない。ちゃんと選んでるから」といった意見もみられ、アーリーアダプター層が「共感」や「実感」を伴って行動する姿勢がうかがえます。

彼女たちにとって、購買とは「自分にフィットするかどうかを見極める、感情に沿った選択行動」なのです。

■ 整うから、動き出す:Z世代の“エモ消費”の本質とは

今回の調査を通じて明らかになったのは、Z世代における“エモ消費”の中でも、「ハッピー」がどのように生まれ、どのように行動を変えていくのか。その繊細でダイナミックな心理のプロセスでした。

スキンケアによって「肌が整った」と感じたとき、彼女たちの内側では小さな変化が起こります。

  • 「人に会いたくなる」

  • 「外に出かけたくなる」

  • 「写真を撮りたくなる」

  • 「SNSに投稿したくなる」

こうした行動の変化は、ただの気分や気まぐれではありません。そこには、「自分が整った」という実感と納得があり、それがポジティブな感情を呼び起こし、自然と次の行動へとつながっていくのです。

今回の調査結果は、「ハッピー」という感情がいかに具体的な瞬間に立ち上がり、どう連鎖していくのかを、Z世代のリアルな言葉から可視化したものだと言えるでしょう。

今回の対象者の声での注目すべき点は、いずれも“内面の整い”が先にあること。つまり、彼女たちは「整ったから行動する」のです。

「整った気持ち」をトリガーに、彼女たちは購買し、投稿し、誰かにシェアする。そしてその行動がまた別の誰かの感情を動かす。ここには、そ個人的な満足感と社会的なつながりの両立があります。それが、Z世代のエモ消費に見られる、感情の連鎖構造です。

エモ消費とは、感情を起点としながらも、決して気まぐれではない。意思ある消費行動なのです。

■企業はどうアプローチすべき?共感から行動へ導く:Z世代の気分スイッチを設計するには

Z世代のおしゃれ層に響くのは、単なる“映え”ではなく、「感情が動いたときに自然に背中を押される導線」です。

ポイントは、SNS・店頭・ECをまたいで設計された、感情を起点にしたストーリーの流れ。

たとえば―

  • 「盛れた日はSNSに載せたくなる」

  • 「肌が整ったから、今日は人に会いたいと思えた」

このように、感情の変化が次のアクションへと直結するケースは少なくありません。

そして彼女たちが商品に求めているのは、第一に機能面の「肌悩みに応える実感」。そこに「自分の気分・生活に合ったちょうどよさ」

  • 「乾燥しないのにベタつかないし、コスパも◎。香りも良いから仕事の日はこれ」

  • 「明日は推しのライブだから、本命の美容液で肌も気分も上げておく」

  • 「忙しい時は色々試すより、お気に入りブランドのスキンケア一式で統一する!”これ使っておけばOK”の安心感は、心の必要材料」

こうした声からは、「誰が・どこで・いつ・どう使うか」まで設計された商品こそが、リピートや他者への推奨を生むことが読み取れます。

このような“気分も上がる”ベースの設計は、UGCやリピートにもつながりやすく、「感情の変化」を具体的に描くことで、購買意欲を喚起するストーリーづくりが可能になります。

■市場拡大のカギを握る、アーリーアダプターを体現するおしゃれなZ世代の価値観

Z世代のおしゃれ層は、情報感度が高く、消費スタイルにおいても新たな価値基準を提示する存在です。

彼女たちの選択や感情導線は、やがてマス層の“新しいスタンダード”になり得る。まさに企業の悩み「キャズム突破」の予兆とも言えるでしょう。

だからこそ企業は、以下のような複眼的な設計視点を持つことが求められます。

  • 肌改善×気分改善のダブル訴求(=効果訴求だけでは足りない)

  • 行動変化まで見据えたストーリー設計(例:「人に会いたくなる肌」)

  • 気分ベースで選べるUX設計(例:「落ち込みそうな日の味方」)

さらに、アーリーアダプター(Z世代のおしゃれ層)の声をすくい上げ、それを共鳴しやすい形でマスに届けることが重要です。

  • SNSで発見 → 店頭で実感 → 納得して購入、という失敗しない導線の設計

  • 実際に使った人のリアルな体感をUGCやレビューで拡張

  • 「あなたの肌にはこう効く」と示す、自分ごと+感情&機能の両輪によるレコメンド

Z世代のおしゃれ層は、「自分に合った効果×私の気分が整うから続ける」といった自己評価優先タイプ。一方で、Z世代のマス層は「トレンドだから買ってみる」「人気だから安心」といった他者評価先行タイプです。

この両者をつなぐには、“感情を可視化した体験設計”がカギとなります。

例えば「あの人がよかったなら、私にも合いそう」という納得感を自然に生む設計などです。SNSやレビューでの“リアルな実感”が、マス層にとっての安心材料となり、商品選びの決め手になります。

「塗った瞬間テンションが上がる」といった直感的な使用感を言語化し、感情面でのベネフィットを伝えることが、マス層の“使い続けたくなる理由”に転換されていきます。

このような導線設計が、両層をつなぐ有効な手段となるでしょう。

PR・商品開発ご担当者様へ

スタイルアリーナでは、引き続きZ世代の美容・ファッションに関するリアルトレンドを追いかけ、マーケティングや商品開発のヒントとなりうる調査を実施していきます。

今回の「顔が見える街頭調査」をはじめとした、オリジナル調査・共同企画・データ提供などのご相談も承っております。

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※本調査を引用いただく際は、出典元が「スタイルアリーナ × 僕と私と」であることとリンクを明記いただきますようお願いいたします。

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スタイルアリーナ(日本ファッション協会)について

日本ファッション協会は、1990年4月4日、通商産業大臣の設立許可を受け、企業、団体をはじめ各地商工会議所などの幅広い支援のもと、財団法人として発足いたしました。


スタイルアリーナ(style-arena.jp)は、「東京のストリートファッション」をテーマに2002年6月よりスタートしたファッション情報サイトです。日本の躍動的なファッション=生活文化を、アジアをはじめ広く世界に向けて発信していくことを目的とし、一般財団法人日本ファッション協会が企画・運営しています。

■協会概要

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所在地:東京都千代田区神田神保町1-5-1 神保町須賀ビル7階

HP:https://www.japanfashion.or.jp

スタイルアリーナ : https://www.style-arena.jp

■問い合わせ先

担当:福嶋

メールアドレス:a.fukushima@japanfashion.or.jp


僕と私と株式会社について

僕と私と株式会社は、Z世代を代表する企画・エモマーケティング会社です。また、リモート制度やサウナ採用、地方へのワーケーションなどを取り入れた新しい働き方も実践中。「メンバー全員天才」を目指し、社内からも多くの企業が生まれています。

(1)企画・エモマーケティング®

Z世代に特化した心を動かす企画・マーケティングを専門としています。ハッピーな共感をフックに購買行動に繋げる「エモマーケティング®」をベースに、今を生きるリアルなZ世代の視点も取り入れた企画、クリエイティブ制作、コミュニケーションまでを一貫して担当しています。

(2)Z世代調査・ブレストサービス「Zview lab.®」

「餅は餅屋に、Z世代はZ世代に」をコンセプトに、Z世代の本音やインサイトを調査する事業です。Webアンケートなどからデータを取得・分析する定量調査と、インフルエンサーをはじめとするキーオピニオンリーダーへのインタビューやワークショップなどの定性調査を実施しています。

(3)ブランド事業

神泉にある大人のための隠れ家バー「8jikai(ハチジカイ)」や、韓国で話題の肌質管理をZ世代向けにアレンジしたスキンケアサロン「belle渋谷店」、名作ゲームをタイパ良く楽しめる令和のボードゲームブランド「タイパ至上主義」など、さまざまな自社ブランドを展開しています。

■ 会社概要

代表取締役:今瀧 健登

所在地:東京都渋谷区円山町5-5 Navi渋谷V 3階

事業内容:Z世代に関する企画・マーケティング事業、ブランド事業

HP:https://boku-to-watashi-and.com

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