熱を加えて立体化する、一枚の布 製品化へ ― A-POC ABLE ISSEY MIYAKEによる「TYPE-V Nature Architects project」発売のお知らせ

Nature Architects株式会社のプレスリリース

Nature Architects株式会社(代表取締役:須藤 海 / 本社:東京都中央区 / 以下:Nature Architects)は、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEのものづくりのシステムとNature Architectsによる最新のデザイン・ソリューションを掛け合わせ、一枚の布が持つ新たな可能性を探求していくプロジェクト「TYPE-V Nature Architects project」の販売をスタートします。

2023年のミラノデザインウィークにおいて、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEとNature Architectsは熱を加えて立体化する、一枚の布から生まれたプロトタイプを発表しました。プロジェクトの製品化に成功し、新たな服づくりの造形プロセスによるアイテムとして登場します。

Nature Architectsによって開発された、折紙工学を用いたプロダクトデザインのための設計プラットフォーム(※)を応用し、A-POC ABLE ISSEY MIYAKE による熱を加えると布が収縮するSteam Stretch技術と掛け合わせました。Nature Architectsは、狙った立体に変形させるために必要な布の収縮パターンを計算し、複雑なプリーツ形状の展開図を自動生成することでSteam Stretchの設計プロセスを自動化・効率化することを可能にしました。

こうして完成した「TYPE-V Nature Architects project」は、全く新しいプロセスによる服です。CraneとA-POC ABLE ISSEY MIYAKE によるSteam Stretch技術を活用することで、これまで不可能だった複雑で多様なプリーツ表現が可能になりました。さらに、高温の蒸気をあてることで立体的なフォルムが瞬時に立ち上がり、一枚の布から最小限の縫製でブルゾンを構築できるようになりました。これにより、従来のように複数のパーツを縫い合わせる必要がなくなり、製造プロセスが大幅に簡略化されています。


※折紙工学を用いたプロダクトデザインのための設計プラットフォーム「Crane」。ニッチな領域にも関わらず国内外から3万ダウンロードされるほど広く使われているソフトウェア。この業績が認められ、2024年に情報処理学会よりソフトウェアジャパンアワードを受賞。

◾TYPE-V 販売アイテム

ブルゾン

・サイズ:3
・カラー:ネイビー、ブラック
※発売日・取扱い店舗・価格については、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEへお問い合わせください。

◾技術概要

2023年のミラノデザインウィークでお披露目したジャケットからさらに進化したアルゴリズムにより、皆様の手にお届けできるプロダクトになりました。三角形の間に施された「折りひだ」によって、ストレッチ性のある着心地を実現しています。

この折りひだで布が縮む割合を部分ごとに精密にコントロールすることで、平面から立体に変化する服が出来上がります。ミラノで発表したジャケットでは、折りひだの幅にグラデーションをつけることで縮み率をコントロールしていましたが、ひだの幅が広い部分では布が広がり、狙った形にするのが難しいという課題がありました。

今回のブルゾンでは、ひだの幅は一定とし、ひだの本数にグラデーションをつけることで、狙った形通りの立体を作り上げることが可能になりました。その結果、製品化が実現しました。

◾A-POC ABLE ISSEY MIYAKE

A-POCとは、A Piece of Cloth=“一枚の布”の意。1998年にプロジェクトとしてスタートしたA-POCのものづくりは、一体成型という新しい概念の服づくりを探究し、時代を見つめながら進化を遂げてきました。従来の服作りとは異なり、衣服のデザインに必要な要素をあらかじめ一枚の布に織り込む(編み込む)ことで、服づくりのプロセスを変革してきました。

2021年に発足したA-POC ABLE ISSEY MIYAKEは、A-POCの持つ無限の可能性を社会に現実化 “ABLE”させていくブランドです。宮前義之率いるエンジニアリングチームは作り手と受け手とのコミュニケーションを大切に、異分野や異業種との新たな出会いからものづくりの新しい可能性を探究していきます。

<宮前 義之氏より>
2023年4月、ミラノサローネで発表された「TYPE-V Nature Architects project」は、国内外で大きな反響を呼びました。本プロジェクトは、最先端の設計技術とデザインの融合により、イッセイ ミヤケのものづくりの根幹である「一枚の布」の新たな可能性を探求する試みとしてスタートしました。

プロトタイプ発表から2年の開発期間を経て、ついに商品化が実現しました。このプロダクトでは、衣服のデザインに必要な要素をあらかじめ一枚の布に織り込み、熱を加えることで布を収縮させ、立体的なプリーツ形状を生み出すイッセイ ミヤケのスチームストレッチ技術と、Nature Architectsが開発した、狙った立体に変化する折り図を自動生成するアルゴリズムを融合させました。その結果、フラットな一枚のパーツが立体的なフォルムへと変化する、これまでにない革新的なブルゾンが誕生しました。布の可能性を最大限に引き出し、着る人の動きに呼応するダイナミックなフォルムと緻密な構造が特徴です。

A-POC ABLE ISSEY MIYAKEは、異分野・異業種との協業を通じて、新たなものづくりの未来を切り拓いていきます。本プロジェクトのさらなる発展を見据え、技術と創造性の交差から生まれる新たな表現を提案し、未来の衣服のあり方を問い続けます。

プロフィール|宮前義之 A-POC ABLE ISSEY MIYAKEデザイナー
1976年東京都生まれ。2001年三宅デザイン事務所に入社し、三宅一生が率いたA-POCの企画チームに参加。その後ISSEY MIYAKEの企画チームに加わり、2011年から19年までISSEY MIYAKEのデザイナーを務めた。2021年にスタートしたブランド「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」では、エンジニアリングチームを率いて、A-POCの更なる研究開発に取り組む。

◾Nature Architects株式会社

Nature Architects株式会社は、メタマテリアル(※)や折紙工学等の知見を元にした独自の「新しい形を発見するための設計プラットフォーム」をベースに、軽量・安全な車体設計や、振動・音響を低減させるような部材の開発、熱交換効率の高い形状の考案などで新たな価値を創出しています。

※メタマテリアルは、ベースとなる素材に対して特殊な形状を埋め込むことで、素材にない特性、または意図してコントロールされた特性が付与されたものです。例えばハニカム構造なども代表的なメタマテリアルです。

◾画像クレジット

©︎ ISSEY MIYAKE INC.

◾プレス画像

プレス画像のダウンロードはこちら
動画のプレビューはこちら:https://vimeo.com/isseymiyake/review/1045256943/9fa5373926

◾お問い合わせ

Nature Architects株式会社
pr@nature-architects.com

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