ETRO MAGMA(エトロマグマ)
エトロ ジャパンのプレスリリース
古代エジプトのパピルスには、神ラーの涙が地上に落ちて蜂へと姿を変え、やがてあらゆる植物の花から蜜を集め、蜂蜜と蜜蝋を生み出しながら生命を広めたと記されています。ウィリアム・バロウズは「言語はウイルスである」と語り、また、人類は異星人から生まれたという説もあります。こうした神話は、時代や文化を超えて共通する、答えの出ない問いへの試みでもあります —— 創造の起源を探り、その謎に迫り、「今ここ」へと続く道の始まりを見出そうとするものなのです。遠い起源からつながる一本の線が、ランウェイに現れます。アート・コレクティブ「ヌメロ・クロマティコ(Numero Cromatico)」によって作られた、まるでフィルターのようなカーテンには、神話上の動物、絶滅した獣、そして実在する動物たちが種別を超えて共存し、進化の軌跡を辿るかのような「動物寓話集(ベスティアリウム)」が広がっています。
今季、マルコ・デ・ヴィンチェンツォは、生命が芽吹く前の、まだ形を持たない、原初的な世界をさまよいながら、素材そのものからコレクションを創造していきます。触覚に訴えかける、厚みがあり、思わず手に触れたくなるような質感。プリントさえも、グレーズやラバーコーティング、刺繍と溶け合い、重なり合い、奥行きを生み出す要素となっています。流れるようなラインが身体をなぞり、時にフォルムを際立たせたり、優しく撫でるように広がったりすることで、ショートやロング、アシンメトリーやフリンジといったさまざまなシルエットを作ります。プリーツがウエストを強調し、幻想的な植物がデニムやコーデュロイの上を這う。ブラッシュ加工されたウール、刺繍が施されたセーター、幾何学的なファセットの中で輝くスパンコール。すべてが生き物のように変化する原初の世界をたどり、絡み合いながら、独自の世界観を築き上げています。
異星から来たような生き物はジュエリーにも姿を現し、琥珀に閉じ込められた蜂とともに神秘的な輝きを放ちます。韓国人アーティスト、マリア・ジョンとのコラボレーションによって生まれた幻想的な花の刺繍は、衣服やバッグを包み込みます。バッグのフォルムは、柔らかく丸みを帯びたものから、クリーンでシャープなラインのものまで、多様なスタイルで展開。荒々しく無垢なウールファーは、野生の風景を思わせる原始的な要素として、ハットやコートに取り入れられています。同じモチーフはメンズウェアにも広がり、ジャケット、ダッフルコート、ローブコート、そしてサイケデリックなベルベットにまで落とし込まれています。
エトロのマグマは煮えたぎり、沸き立ちながら、生命力に満ちた無限の変容を遂げていきます。
【コラボレーションアーティスト:マリア・ジョン】
今回のファッションショーにおいて、マルコ・デ・ヴィンチェンツォは韓国のアーティスト、マリア・ジョンとコラボレーションし、4つの限定プリントがコレクションに登場しました。
マリア・ジョンは、ソウルを拠点に活動する韓国のアーティストで、ニュージーランドとイギリスでの経験を通じて、東西の美学を融合させた作品を制作しています。2022年からはワシントンポストやVOGUE KOREAとのコラボレーションも行っており、コンピュータアニメーションと伝統的な版画の技法を駆使したデジタルアートに取り組んでいます。特に「植物シリーズ」では、植物と人間の関係をテーマに、色や形を試しながら独自のビジュアルを追求しています。最初に公開したグリーンリーフから、花、キノコ、昆虫と続き、このシリーズは現在も継続中です。