はな壱は2025年2月12日(水)〜2月14日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第99回東京インターナショナル ギフト・ショー」に「足立ブランド」として出展します。
足立ブランドのプレスリリース
『はな壱』(東京都足立区、代表:柴田一郎)が手掛ける新感覚のフットウェア「ポンダル」。指の付け根の痛みが全くなく、履きやすいと評判です。しかも和装はもちろん、普段着にも合わせやすいエスニック柄や、モダンなデザインの新作が続々と登場。女性はもちろん、男性のコーディネートにも違和感がなく、ファッションに敏感な“イケオジ”からも注目を集めています。
「足立ブランド」とは、区内企業の優れた製品・技術を認定し、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業。
『はな壱』は、令和5年度に足立ブランドに認定されています。柴田氏は「今後、鼻緒の文化と伝統を守るため、また『ポンダル』を発展させていくためには、他業種を横断的に情報交換ができる関係性が必要と考え、足立ブランドへの参加を決意しました」と語ります。この参加により、新たな協業の機会や、より広い市場への展開が期待されています。
ここからは「ポンダル」の開発秘話と、予想外の広がりを見せる需要について、『はな壱』三代目の柴田一郎氏にお話を伺います。
100年続く伝統と革新の融合
「私の祖父が大正13年に創業。父が受け継ぎ、私で三代目になります」と、柴田氏。『はな壱』は、和装履物用の鼻緒製造を生業として、100年もの歴史を誇ります。しかし昨今の和装需要の減少に危機感を抱いた柴田氏は、鼻緒という文化を守るため、新たな挑戦を決意。そんなある日、柴田氏は家族と買い物に出向いていたショッピングセンターで、改めて人々の足元に目が留まります。
「老若男女を問わず、多くの人々がスニーカーを履いていました。なぜ皆、スニーカーを履いているのだろう? 答えは、履きやすいからに違いないと思いました」
この気付きから生まれたのが「ポンダル」というアイデア。スニーカーのような履き心地で、鼻緒が付いた履物を作ることができれば、鼻緒のイメージを改善し、新しい市場を生み出せると柴田氏は確信したのです。
ニッポン生まれのサンダルとして「ポンダル」と名付けられたこの商品は、“鼻緒が付いた新感覚なフットウェア”をコンセプトに開発されました。ソールにはスニーカーに使われるEVA樹脂素材(エチレン酢酸ビニル)を使用し、1足当たり250gという超軽量に仕上げています。
コロナ禍、困難を乗り越えた開発への道のり
しかし、開発の道のりは平坦ではありませんでした。柴田氏は、ソールの開発が必要と考え、インターネットで製造依頼先を探すことから始めたそうです。折しも、コロナ禍只中の2021年。兵庫県神戸市の近郊にソール製作工場が幾つかあると分かったものの、気軽に足を運ぶこともできず、柴田さんは連絡先リストのはじめから依頼の電話をかけ続けました。しかし、ことごとく断られ続けます。
「半ば諦めかけていた時、最後に電話したソールメーカーが快諾してくれて、何とか製造してもらうことができました」と、柴田氏は当時を振り返ります。構想から約6カ月、ようやく「ポンダル」の試作品が完成しました。
さらなる課題が柴田さんを悩ませました。それは販売戦略についてです。これまでの『はな壱』は、あくまでB to B事業。鼻緒製作の下請け会社として、製作した鼻緒をメーカーに届けることだけを続けてきました。したがって、ユーザーのもとに商品を届けることはもちろん、商品を告知する手段を持ち合わせていなかったのです。そこで足立区のマッチングクリエイター(MC)に相談し、クラウドファンディングサイト「マクアケ」でのテストマーケティングを勧められます。
結果は驚くべきものでした。「目標金額(10万円)を大きく上回り、207万円を達成することができました」と、柴田氏。この成功は単なる資金調達以上の意味がありました。
「それは鼻緒の需要が思っていた以上にあったということです。和装履物以外の鼻緒の需要を改めて感じた瞬間でもありました」
予想外の需要と、進化し続ける「ポンダル」
さらに驚くべき展開が待っていました。当初、「ポンダル」は30~50代の女性をターゲットに商品開発しましたが、実際の購入者の傾向は大きく異なりました。「思いの外、男性の割合が高く、特に60代のイケオジのお客様に人気がありました」と、柴田氏。そして、こうも続けます。
「男性の中には、通年裸足で過ごす方がいます。『冬場にビーチサンダルという訳にはいかないが、ポンダルは見た目にも高級感があって良い!』と、好評をいただいております」
加えて、全く予想していなかったニーズがありました。
「外反母趾のお客様から好評を得ています。整形外科医が鼻緒付きの履物を推奨していることから、『ポンダル』が外反母趾対策として注目されるようになったのです」
外反母趾は自然に治ることはありませんが、重症化を防止することはできます。そのためには足指の股を広げる必要があり、鼻緒の付いた履物が効果的であると整形外科の先生方が推奨しているのです。
こうした予想外の需要に応えるため、「ポンダル」は進化を続けています。男性用、そして洋装にも合う図柄、さらには外国人観光客向けの大きなサイズ(30cm)の開発も計画中です。「インバウンドのお土産需要にも、早急に対応していきたい」と、柴田さんは意気込みます。
「ポンダル」人気の理由、それは抜群の履き心地
「ポンダル」の最大の特徴は、その履き心地の良さです。スニーカーのソールに使われるEVA樹脂素材は、乗せた足が沈み込むことで足を優しく包み、フィット感を高めます。それはまさに、スニーカーのような履き心地です。さらにインナーソールに約6度の傾斜をつけることで、スニーカー同様の踏み出しやすさを実現しました。このことが歩きやすさにもつながっています。
開発箇所はソールだけに留まりません。鼻緒の構造も見直し、「ミルフィーユ製法」と呼ばれる新しい技術を開発。柔らかいスポンジを幾重にも重ねることで、快適な履き心地を実現しています。
一般的な鼻緒(写真左)は、芯材に薄茶色の紙を巻いて強度を高めています。対して、ポンダルの鼻緒(写真右)は、紙の代わりに薄いスポンジを巻いています。スポンジの弾力性によって、鼻緒は足の甲を締め付けることなくフィット感を出しています。
鼻緒とは、かつてお客様ひとりひとりの足形に合わせて、職人が最終的に調整してきたもの。つまり、草履屋の店先で最終フィッティングが行われることが前提でした。足の甲が高い人、足が大きい人でも鼻緒が最初からフィットするのはこのためです。しかし、現代生活においてそうした販売形態は望めません。しかし「ポンダル」ならば、既製品でもスニーカーのような履き心地が得られます。
伝統産業の可能性。それは、現代の生活に寄り添うこと
「伝統とは、昔のままを我慢して受け継ぐものではありません。夏の一日だけ痛さを我慢して履く下駄よりも、ストレスなく毎日履ける『ポンダル』で、私たち鼻緒職人が大切にする鼻緒の良さや、素足で楽しむ履物の良さを感じてほしい」と、柴田氏は力説します。
現在、「ポンダル」は墨田区のニットメーカーとコラボレーションして、「ポンダル」のための見せる靴下と合わせたコーディネートも展開しています。これは「ポンダル」の最新の取り組み事例です。
「ポンダル」は、今や主要百貨店で販売されています。そして柴田氏自身も店頭に立ち、お客様の声に耳を傾ける日々。そうやって実際に足を入れてくださったお客様の生の声を聞き、そこで得た要望をすぐさま商品開発に生かしています。
この経験を通じて、柴田氏は鼻緒の新しい可能性を確信しています。「鼻緒=痛い」といったネガティブな印象を限りなく無くすという課題についても、そのゴールが見えてきたといいます。
はな壱は2025年2月12日(水)〜2月14日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第99回東京インターナショナル ギフト・ショー」で「ポンダル」も実際に手にとってご覧いただけます。
ギフト・ショー内の「SOZAI展」コーナー「足立ブランド」のブースにぜひお立ち寄りください。
ご来場心よりお待ちしております。
企業情報
鼻緒匠 はな壱
会社名:鼻緒匠 はな壱
住 所:東京都足立区関原3-8-7
電話番号:03-3880-1584
代表者:柴田 一郎
事業内容:鼻緒の製造・加工・販売
「足立ブランド」は、区内企業の優れた製品・技術を認定して、その素晴らしさを全国に広く発信することで、区内産業のより一層の発展と足立区のイメージアップを図ることを目的とした事業です。
『はな壱』は、この「足立ブランド」認定企業です。
取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある足立区役所産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。
足立区役所産業経済部 産業振興課 ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605
足立ブランド公式Webサイト