株式会社画廊松徳 のプレスリリース
“ZOOM”とは、あえて規則性のない具象性と抽象性が共存する私的な記憶に基づく方法によって表現された作品のコンセプト/テーマを指し、本人曰く「昨今の情報過多の環境において、積み上げられた多くの事柄を、自分地点から解釈し直すことであり、それはアートを通した視覚的実験である」と言います。様々なモチーフを正統な構図、基軸や中心を無視し、規則性のない表現スタイルは、独学でアートを学んだ佐野らしいアイデンティティとなっています。
2018年の初個展以来10回目となる本展では「視点的スケールと色彩の強調」に着目を置き、佐野にとって過去最大サイズ(3,000×5,400mm)の作品を含む、新作30点を発表いたします。
また近年では、自身の作品制作以外に、King Gnuのアルバムのジャケットやツアーグッズへのアートワーク提供、ラッパー・Taeyoung Boyとのコラボレーション、東京国立近代美術館で開催された「ガウディとサグラダ・ファミリア展」のグッズデザインなどを手掛けています。
佐野凜由輔『ZOOOOOOOOOOM展』 展覧会 場所:モエレ沼公園 ガラスのピラミッド HIDAMARI(北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1) 会期:2023年9月26日(火)〜10月6日(金)9:00〜18:00 ※休館日:10月2日(月) 内容:作品展示 入場料:無料 巡回展 場所:MU GALLERY(東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA ART COMPLEX Ⅱ 2F) 会期:2023年10月14日(土)〜28(土)12:00〜18:00 ※休廊日:日曜、月曜 内容:作品展示及び販売、画集の販売 入場料:無料 協賛:扶桑物産株式会社、信陽器材株式会社、株式会社北興商事 お問い合わせ:株式会社トゥッティフルッティ Email:info@8tuttifrutti.com Tel:03-6457-7107 |
佐野凜由輔 Ryusuke Sano
1994年生まれ、北海道・札幌出身。幼少期はカートゥーン、アニメーション、漫画に没入し、10代の後半でエゴン・シーレ、ジャクソン・ポロック、ジャン=ミシェル・バスキア、エリック・パーカーらに衝撃を受ける。画家を志して、2016年にNYへ渡米。2018年に開催した初の展観から、規則性のない具象性と抽象性が共存する私的な記憶に基づく多色使いの表現方法を“ZOOM(ズーム)”というコンセプトに込め、精力的に作品を描き下ろす。“ZOOM”は会期を重ねる度に“O”が増え、本展覧会でその“O”は節目となる“10”を数える。アジア圏でのソロ展示やグループ展への参画の他、2022年に1st作品集を上梓。代表作は『ズーム』『JUNGLE』『FACE』。主な個展は『ZOOOOOOM / “構図、余白へのZOOM”』MU GALLERY(2022年7月、東京・天王洲)、『ZOOOOOOOOOM / 蓄積する色彩』Gallery by the Harbour(2022年10月、香港・ハーバーシティ)、『ZOOOOOOOOM / BRUSH WORK』WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO(2023年4月、東京・今戸)など。
https://ryusukesano.com/ Instagram_ @ryusukesano X/Twitter_ @yulustreet
『ZOOOOOOOOOOM展』
“ZOOM”は、制作において常に軸となる概念である。それは時分かたず揺るぐことのないテーマであり、“ZOOM”の解像度の精細さをより掘り下げていくことで、作品が持つ視覚効果の活動力の幅を広げていく。
創作と日々向き合う中、目下全体を通して顕在化された要素といえば“スケール”だ。佐野作品に関して“スケール”とは、筆触の本質を見出す言葉として存在していると解釈したい。それは単にキャンバスの大きさを測ることではない。素粒子から広大な宇宙までミクロとマクロがこの世に共存しているように、ユニークに合わさる色彩や、ブラッシュストロークにドローイング、ペインティングなど象徴的な技法と多様なテクスチャーがひとつのキャンバス空間に集積していることを示している。接近して切り取ると、抽象的な中にも独立した力強い筆跡があり、そこから隔てて全体を見通すと鮮烈な色彩からなる具象的なモチーフが現れるという具合に。そうした視点の変化によって見える世界は、対極であり違う次元に感じながらも、結局は同じ領域の筆触であることに気づかされる。それは衣食住とも共通している。まさに本展に向けて制作した、佐野凜由輔作品史上で最も巨大な作品《FACE》(2023)は、そんな独自の平面性を構築していく中で、新たな表現の“スケール”を体得するまでの葛藤の痕跡が、ありありと刻まれている。
また、この度の新作では、色相のトーンがこれまでに比べ明快となった。色自体の混合よりも、ストローク一つひとつの手法の変化で色彩を多層化していくことの鍛錬によるものだ。よって構図に広がる奥行きは濃淡よりも、重なり合ったコントラストの響き合いで創り上げられる。
北海道は札幌・モエレ沼公園をデザインしたイサム・ノグチは、自然と芸術の関係性やあり方を追求してきた人物である。作品は設置された環境により発するエネルギーが最高値に達するという信念が伺えるこの地にて初開催となる“ZOOM”展は、“O”が10を数え節目を迎えた。《FACE》《ジャングル》《百花草》と“ZOOM”を代表するシリーズをはじめ、スクラップ・アンド・ビルドし続ける作品群の唯物論的絵画観が、高い空のもとダイナミズムな生命力を充溢することを試してみたい。
モエレ沼公園
札幌市の市街地を公園や緑地の帯で包み込もうという「環状グリーンベルト構想」における北東部緑地ゾーンの拠点として計画された総合公園。1982年着工後、2005年にグランドオープンした。基本設計は彫刻家のイサム・ノグチが手がけ、「全体をひとつの彫刻作品とする」というコンセプトのもと造成が進められた。広大な敷地に幾何学的形態を多用した施設が整然と配置されており、自然と芸術が融合した景観を楽しむことができる。
MU GALLERY
2021年7月、東京天王洲に位置するTERRADA ART COMPLEX II 2階にオープン。天井高5メートルのギャラリー空間に、国内外で活躍する現代美術作家の作品を展示する。https://www.mugallery-tokyo.com