華道家・空間演出家 熊野寿哉のプレスリリース
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展覧会について
伝統芸術と言われる華道作品は、使用する素材の性質から現物を残すことが不可能であり、故に作者の思いや作品の持つ意味合いは長い歴史の中で口伝として伝承されて来た為、介入する人間の数が多ければ多い程、真髄は不明瞭なものへと変化し、今となっては探る術が皆無に等しい。
今回の展覧会は、その不明瞭なものを取り払い、真髄を見出すべく、人間が花を何かの切欠で生けだした時の事を想像し構成致します。文明や文化が築かれる以前の、飾られていた目的が明確ではない花を、今の時代に時間移動させたような演出をし、観る側の想像力増加の切欠となるような設え。また生け花は植物を素材にした極めてアナログな余白までも重視した空間/視覚芸術であるという基本概念を再認識しつつ、更に発展させる為、これまで行われた事のない鑑賞者の体感温度や時間軸変化の錯覚も今回の展示では試みます。(本展はベルリンへ巡回を予定)
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展覧会開催概要
熊野寿哉 個展「Reaching into…」
会期|2023年10月13日(金)〜 10月17日(火)
開館時間|11:00〜19:00 ※会期中無休
会 場|elephant STUDIO(渋谷区渋谷2-7-4)
入 館 料|無料
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展覧会ステートメント
例えば一緒に暮らしていた小動物が寿命を迎え土に還す時。近くの草花を摘んで供える行為はどの国の人達にも無意識的に備わっている感情表現だと認識している。それが特に植物の豊かに育つ日本においては強く根付いており、加え国土の狭さによるミニマムな美意識や独特の世界観、樹木信仰、常緑信仰などが複雑に混ざり合い文化として発展、華道として成立、発展してきたのだと思う。その唯一無二の“美しさ“は世界的にも評価の高い芸術として知られているのは解説を要さないが、近年その本質が世情の不明瞭さと比例して別の物に変わってしまったように感じる。今回の展覧会はそんな歯痒さを拭い切るべく開催する事に致しました。個が他人や言葉すら必要としない純粋な感情表現としての供花。雑念が消え去り極々シンプルな植物との対話のみが存在する場所。時間の概念を感じる必要のない心地よく現実から切り離された空間を提供できるよう、DANの記録を探った一部の様なものの可視化を試みます。
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アーティスト プロフィール
熊野寿哉/Hisaya Kumano
華道家・空間演出家:1975年大阪生まれ。
洋画家であった父の影響で幼少の頃より美術に囲まれた環境で育ち、学生時代は油絵を学んだ。10代後半で上京しファッションデザイナーを生業にするも、芸術との格差に違和感を覚え始めていた頃に生け花に出会う。以来古典的なものから、現代美術として独自の解釈をした作品を創作し、国内の主要な能楽堂、ラグジュアリーホテル、映画のセット内にて装花及びディレクションなど大規模なものから、有名旅館や飲食店、ファッションブランドの展示会などミニマムな要素を必要とするものまで幅広く携わり、その活動エリアは日本のみならず、NY、ソウル、ブエノスアイレスと広範囲に渡る。昨年より開催されたマツモト建築芸術祭では2年連続アソシエイトプログラムをトータルプロデュース、国登録有形文化財 Satoyama Villa 本陣、建築家・篠原一男の設計の日本浮世絵博物館にて宝生流能楽師 辰巳満次郎、アオイヤマダ、スティーブエトウ、Daisuke Niitome(mouth on the keys)らとコラボレーションを行う。
植物の持つエネルギーや神秘性を最大限に引き出す為に、時としてそれらが飾られる空間までも造り込み独特で幻想的な世界観を演出するのを得意とする。
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展示録
2023年 マツモト建築芸術祭2023「15 minuets after」日本浮世絵博物館
高さ3mを超える生け花作品を展示。石膏を雪に見立て幻想的な雰囲気で多くの人達を驚かせた。生け花、ダンス、音楽を溶け合わせたパフォーミングアートを発表。インプロヴ ィゼーションでのセッションに会場は観客に感動を与えた。
出演:アオイヤマダ・スティーヴ エトウ
FULL MOVIE:https://youtu.be/K76CcDQQpuU
2021年 個展「eleven nines」
中目黒 Just Another Space
約 10.000 本の裂いた竹を焦がし割った部分の色とのコントラストを造形物として構築し たインスタレーション作品。線上に重ねた竹の間に並ぶの南天の実は、人間の松果体の高 さの平均値に位置づけられている。オープニングレセプションでは、新作のパフォーミングアートも披露された。
出演:宝生流シテ方能楽師 辰巳満次郎・アオイヤマダ
2021 年「On 9 Rainy Days」(映像作品)
華道家、音楽家、映像作家によるコラボレーション作品。9つの作品にはごくミニマムな音楽が乗せられており、雨の日に合わせて SNS に投稿された。9つの映像を同時に再生すると一つの曲として視聴できる。
https://www.youtube.com/watch?v=LJSgRFYRXrg
2020 年「Mouse on the keys ライブ中に生け花パフォーマンス」 Hirarie ホール
世界的に活躍するインストメンタルバンド「Mouse on the keys」ライブ中に巨大生け花 を完成させるパフォーマンス作品。
2019年「CCD622–Lightning–」
パフォーミングアート作品 下北沢ハーフムーンホール
音楽/ダンス/生け花を軸に構成されたパフォーミングアート作品。全て即興で進み違う分野の芸術が融合した時の新たな可能性を見出そうとする実験的な作品。衣装も担当。
出演: 熊野寿哉・アオイヤマダ・高村月・新留大介・キミジマアツオ
2018 年 「Con Cor Dance」
音楽/ダンス/生け花を即興で披露するパフォーミングアート作品。観客は事前にダウンロ ードした音源を視聴しながら街を練り歩くなど、参加型のパフォーマンス。
出演: アオイヤマダ・熊野寿哉
2015年「第一回京都満次郎の会」
金剛能楽堂・京都府
能会 迎え花「雅にて」
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出版物
2017 年 「顔華」
写真作品。写真家・池谷友秀氏と5年を掛けた共作のプロジェクト。日本、ギリシャなど 歴史ある国の神話や言い伝えをテーマに一種類の花を人の顔に生けると言うもの。ロケー ションもテーマに因んで、広島、金沢など多方面に出向いて撮影。(amazon にて発売中)
2018年書籍「いけばな 花の話を聞くとき」
IBC パブリッシング それぞれの季節において数種の花材をピックし、その日本独特の 歴史的背景や、文化に基づいた逸話を日本語・英語で紹介した書籍。