株式会社ユナイテッドアローズ長期ビジョン2032「美しい会社 ユナイテッドアローズ」中期経営計画2023~2025「感動提供 お客様と深く広く繋がる」を発表

株式会社ユナイテッドアローズのプレスリリース

株式会社ユナイテッドアローズ(代表取締役 社長執行役員 CEO 松崎 善則:東京都渋谷区)は、長期ビジョン「美しい会社 ユナイテッドアローズ」(2033年3月期目標)と、その実現に向けた最初のステップとなる中期経営計画「感動提供 お客様と深く広く繋がる」(2024年~2026年3月期目標)を発表しました。今後は高感度・高付加価値ライフスタイル提供グループとして人々の生活に欠かせない存在であることを目指して企業活動を行ってまいります。

 

  • 1、長期ビジョン2032「美しい会社 ユナイテッドアローズ」について

■長期ビジョン策定の背景
  当社は「The standard of Japanese lifestyle 我々は、事業を通して日本の生活・文化における規範となる価値観を確立・訴求することを目的とする」を志として1989年に創業されました。現在、その志は「真心と美意識をこめてお客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける。」という経営理念に受け継がれています。今回の中期経営計画策定に当たり、経営理念の実現に向けて当社は長期的にどのような姿でありたいかの議論を重ね、2033年3月期を目標とする長期ビジョンを策定しました。

 その長期ビジョンは、「美しい会社 ユナイテッドアローズ、真善美を追求し続けることでサステナブルな社会の実現に貢献し、お客様に愛され続ける高付加価値提供グループになる」です。

  
  長期ビジョン達成時において、当社は高感度・高付加価値ライフスタイル提供グループでありたいと考えています。これは創業来掲げている日本の生活文化のスタンダードの創造であり、日本において高感度な生活をするために当社が欠かせない存在であることです。長期ビジョン達成に向けて私たちが持つべき価値観は、大量生産、大量消費を前提とした売上拡大志向から脱却し、お客様層を広げ、価値提供の範囲を拡大させていく志向への切り替えです。生活文化のスタンダードを提供するためにはまだまだ未開拓の領域があり、獲得できていないお客様が数多く存在します。業容と顧客層を拡大していくことで生活文化のスタンダードの創造と長期ビジョンの達成を目指します。
  
  ■財務目標と事業ポートフォリオ 

 長期ビジョン最終年度の財務目標として、売上高2,500億円(年平均成長率6.8%)、営業利益率250億円(売上高比10%)を目指します。売上高の内訳としては、既存事業で1,500億円、新規事業としてアパレル領域で400億円、アパレル派生型とアパレル以外の領域で250億円、(株)コーエンが250億円、台湾、中国を含む海外事業全体で100億円を見込んでいます。

  
  ■長期ビジョンにおけるサステナビリティの考え方 

 企業が取り組むべき真のサステナビリティとは、業績に関わらず継続させるものであり、経営の目指す方向性と一致しているものであるべきだと考えます。当社が長期的に継続して取り組むべき最優先事項は、大量生産、大量消費を前提とした売上拡大志向から脱却することです。これは業容拡大を目指しながら「限られた資源で最大限の企業価値を創出すること」であり、適正量の商品をサプライチェーンに配慮して適切に調達し、無駄なく販売していくこと、つまりプロパー消化率を改善させていくことでもあります。これを実現できれば、お客様にとっては価格への信頼感・安心感が増し、従業員にとっては付加価値の高い商品を販売することで利益生産性が上がり、報酬やエンゲージメントの向上が見込め、株主様にとっては企業価値の向上に伴う利益配分の向上が見込めます。

  
  取引先様に対しては、サプライチェーンの人権尊重に向け主体的に行動します。企業としての社会的責任を果たすとともに、人権に対する負の影響の排除による事業リスクの低減を図ります。社会に対しては、廃棄物の抑制などによる環境への負荷低減につながっていきます。加えて、環境配慮素材を使った商品開発、再生可能エネルギーへの切り替え、廃棄物のリサイクルなどを推進します。
  
  これらをサステナビリティの目線で目標設定したものが、現在開示している2030年(2031年3月期)をターゲットとするサステナビリティの目標値(※)です。限られた資源で最大限の企業価値を創出することで、これらの目標の達成は可能と考えます。
  (※)参考:ユナイテッドアローズのサステナビリティ活動
  https://www.united-arrows.co.jp/sustainability/
   

  • 2、中期経営計画2023~2025「感動提供 お客様と深く広く繋がる」について 

 

 ■当社が認識する課題
  新中期経営計画の立案にあたり、長期ビジョンの実現に向けて、現在当社が認識する課題を4項目に整理しました。
  ① 年齢軸の課題 

 当社は団塊ジュニア層を中心に、比較的高感度で、店舗環境や接客も含めたクオリティの高さを求める方から支持されている反面、10~20代に対する訴求は十分ではありません。一方、若年層の方々であっても客単価は1万円台半ば~2万円台半ばと高い水準となっており、質の高いお客様を獲得できています。この層を拡大させていくことにより、高感度・高付加価値を維持しながら業容拡大が図れると考えています。

  
  ② ファッションテイスト軸の課題 

 当社の主要ブランドはトラッド、コンサバティブなテイストに集中しており、カジュアル、モード、ストリート、フェミニンなど、十分に獲得できていない領域はまだまだ存在します。年齢軸、ファッションテイスト軸の二つの課題は、国内アパレル市場の中でも当社の成長余地が十分にあることを示すものだと捉えています。

  
  ③ 業容における課題
  高感度なライフスタイルを提供するにあたり、当社が提案できている分野はまだファッションに留まっています。近年、アウトドア、ゴルフ、ウェルネス、住環境、法人サービスなどの取り組みを進めていますが、ライフスタイル全般を提案できる規模には至っていません。海外ビジネスも台湾地区に限定されており、コロナ禍もあって中国本土に向けた取り組みが本格化するのもこれからです。これらも伸びしろとなり得る部分です。
   
  ④ 効率化の課題
  中長期を視野に入れた商品管理基幹システムの見直し、商品調達のデジタル化、OMO推進に向けた設備投資、今後の業容拡大に向けた物流再編など、各種インフラ投資を伴う取り組みが残されています。長期ビジョンの達成に向け、新中期経営計画では適切な投資を行っていく必要があります。
   
  ■中期経営計画2023~2025の概要 

 これらの課題を解決し、長期ビジョン達成に向けたスタートとなる新中期経営計画のスローガンに、「感動提供 お客様と深く広く繋がる」を掲げます。OMOへの取り組みを軸に既存のお客様との関係性を深めながら、新たな事業開発で業容とお客様層を拡大させていきます。

  
  ■経営目標 

中期経営計画最終年度となる2026年3月期の財務目標は、連結売上高 1,600~1,700億円、連結営業利益 90~100億円、連結営業利益率 5.6~5.9%、ROEが13.8~15.4%です。これは、CHROME HEARTS JP合同会社が連結対象から除外されて以降、最高益の水準です。
   
  ■3つの主要戦略
  新中期経営計画は、主要3戦略で構成されています。
  ① UA CREATIVITY戦略 :既存事業の成長拡大を続けながら、ブランド力を強化していく取り組み
  ② UA MULTI戦略:新規事業開発を通じて業容とお客様層を拡大させていく取り組み
  ③ UA DIGITAL戦略:今後の成長を見据えた設備投資を行い、企業運営を効率化させていく取り組み
 

 主要3戦略の概要は以下の通りです。

  
  ① UA CREATIVITY戦略:既存事業の成長拡大を続けながら、ブランド力を強化していく取り組み
  UA CREATIVITY戦略は、(1)既存事業の成長拡大、(2)ブランド力の強化の2項目から成ります。
  
  (1) 既存事業の成長拡大
  トップラインの成長、売上総利益率の向上、㈱コーエンの再成長を進めます。2022年3月に自社ECサイト「ユナイテッドアローズ オンライン」をリニューアルし、OMO施策を進める土台を作りました。以降、実店舗在庫との連動、スタイリングやオンライン接客など接客スキルのデジタル化など、様々な取り組みを進めています。さらに、本中期経営計画においてはハウスカードプログラムの刷新、「ユナイテッドアローズ オンライン」アプリのリニューアルを行います。
  
  これまで不採算店舗の見直しで出店を抑制していましたが、本中期経営計画からは出店も再開します。都心部、郊外問わず既存事業にも出店余地はあり、前年度からは2021年秋冬にEC軸のブランドとしてデビューした「CITEN(シテン)」の実店舗出店も開始しています。
  
  売上総利益率の向上については、原価のコントロール、適量な在庫調達とプロパー消化率の改善、ネット通販の売上総利益率の改善を進めます。原材料の高騰など原価上昇要因が続く中、緻密な価格設定と原価抑制策を進め、原価率を適正水準に維持します。2023年3月期は調達額を抑制しながらプロパー消化率を高める販売方法に切り替え、売上総利益率を向上させました。現在のプロパー消化率は当社の目標水準とは開きがあり、改善余地は残されています。適量調達、定価販売強化でセール販売、残在庫を抑制し、売上総利益率を改善させます。ネット通販はセール構成比や仕入れ品構成比の高さなどから実店舗に比べ売上総利益率が低い傾向にあります。この状況のままネット通販売上を伸ばしても収益改善にはつながりにくいため、ネット通販の売上総利益率改善は必須課題です。セール販売の抑制は足元でも進んでおり、今後はオリジナル企画商品も拡販できるよう、サイトのユーザーインターフェイスの改善、在庫運用の修正、プロモーション強化を行い、売上総利益率を高めていきます。

 

(株)コーエンは黒字化に向けたおおよその目途は立ちました。本中期経営計画では、ニュートレンドマーケットにおいて確固たる地位を獲得するべく、成長拡大を図ります。
  
  (2)ブランド力の強化
  人的資本への投資拡大、企業ブランドのリブランディングを進めます。当社の競争力の源泉は、魅力的な商品を企画、調達できるモノの力、それを高度な接客技術でお客様にお届けするヒトの力、お客様に快適で高揚感のある買い物体験を提供できるウツワの力であると認識しており、これらを支え、ブランド価値を構築するのは当社の人的資本である従業員です。本中期経営計画においては、従業員のエンゲージメントを向上させることで当社のブランド力を上げていきたいと考えています。従業員教育への投資として、従業員自らが自発的に学習し、能力を高めていけるよう、ビジネススクール受講支援、資格取得支援などの教育体制を拡充します。タレントマネジメントシステムを積極活用し、従業員一人一人の経験、スキル、ビジョンを可視化し、今後の様々な取り組みに対して適材適所の人員配置を進め、モチベーション高く業務を行える環境を整えます。併せて新規採用を強化します。
  
  企業ブランドのリブランディングは、新たな企業イメージを作り上げる新規ブランドを開発し、企業体そのものを一新させていく取り組みです。ビジネス、フォーマルに強い、トラッドでコンサバティブ、信頼感、安心感があるという既存のポジティブなイメージを保ちつつ、さらにアクティブで、幅広い世代にアピールできる企業ブランドに再構築します。
  
  ② UA MULTI戦略:新規事業開発を通じて業容とお客様層を拡大させていく取り組み 
  UA MULTI戦略は、当社の価値提供の幅を広げ、お客様層を拡大させていくための取り組みで、(1)業容拡大に向けた事業開発、(2)グローバル拡大を進めます。
  
  (1) 業容拡大に向けた事業開発
  若年層を視野に入れた新規ブランド開発、アパレル派生型ブランドの強化、非アパレル領域の検討・実施、法人ビジネスの拡大を行います。当社がカバーする領域は年齢軸、ファッションテイスト軸においてまだ限定的な範囲に留まっています。これを拡大させるために、主に若年層を視野に入れた新規ブランド開発を行います。近年、ヨガ、ゴルフ、アウトドアなど様々な取り組みに着手しており、本中期経営計画期間において、これらアパレル派生型ブランドの取り組みも強化します。同時にアパレル以外の領域についても検討、実施まで進めます。当社のブランド力、商品開発力を活かした法人ビジネスについても、さらに取り組みを拡大させていきます。
  
  (2) グローバル拡大
  新規出店拡大による台湾事業の成長に加え、コロナ禍で一時中止していた中国戦略を進めます。「ユナイテッドアローズ オンライン」の多言語化対応を進めて越境ECを強化するほか、他国への卸販売も進めます。
  
  ③ UA DIGITAL戦略:今後の成長を見据えた設備投資を行い、企業運営を効率化させていく取り組み 
  UA DIGITAL戦略は、(1)OMOの推進、(2)サプライチェーンの最適化の2軸で取り組みます。
  
  (1) OMOの推進
  ハウスカードプログラムの刷新、「ユナイテッドアローズ オンライン」アプリのリニューアルへの投資を行います。現在のハウスカードプログラムはお買い上げ金額に対してポイント還元等を行うものですが、これを当社との接点をベースにしてお客様との関係性を強化するものに切り替えます。お買い物だけに留まらず、当社との接触機会を増やすことで一人一人と深い関係を築き、長く当社とお付き合いいただけるプログラムに刷新することで、ライフタイムバリュー(LTV・顧客生涯価値)を高めます。当社との接触機会増加に対して大きな役割を果たすのがスマートフォンアプリです。「ユナイテッドアローズ オンライン」アプリにはサイトの閲覧に加えてハウスカード会員機能も持たせており、お気に入り商品の登録、レビュー投稿など当社との接触につながる顧客行動の多くはアプリを通じてなされます。ハウスカードプログラムをより有効に機能させるために、アプリの動作スピードアップを図り、より使いやすいものにリニューアルします。アプリを利用されるお客様は、それ以外のお客様と比べて実店舗での買い上げ金額が高い傾向があり、アプリをより使いやすくすることは、ECのみならず、実店舗の強化にもつながります。「ユナイテッドアローズ オンライン」サイトも継続的に機能アップを図り、将来的には消費動向やトレンド情報、気象情報などの外部環境のデータと、ハウスカードを通じてお客様からいただく属性情報や購買履歴などの各種データを有効活用し、お客様一人一人に最適化させた精度の高いサービスの提供を目指します。お客様が欲しい商品を、欲しい所で、欲しいタイミングでお買い求めいただけるよう環境を整備し、お客様の体験価値を高める様々なサービスを通じてより深い信頼関係を構築します。
  
  (2)サプライチェーンの最適化
  今後の業容拡大を視野に入れたインフラ投資を進めます。商品企画から販売までをカバーする現在の商品管理基幹システムはあくまでも既存ビジネスに対応したもののため、今後の非アパレルの拡大、海外展開の拡大など業容変化にも対応できるものに刷新します。店舗、ネット通販、物流倉庫の在庫情報も一元管理することで、OMO施策を強化します。この刷新と併せて商品調達のデジタル化を進め、商品発注から納品までのステイタスを可視化させます。商品調達の状況をほぼリアルタイムで確認できるようになることで在庫調達の精度を上げ、運営の効率化を図ります。将来的な業容拡大とあわせた物流センターの再編も実施します。センター設備の強化、OMOに最適化させた体制整備を進めます。
  
  ■キャピタルアロケーション

キャピタルアロケーションについて、本中期経営計画期間のフリーキャッシュ・フローを260~270億円と想定しています。中期経営計画の取り組み課題に準じて、60~70億円をトップラインの成長に向けた既存事業、新規事業の出店、改装等の実店舗投資、10~15億円をOMO推進に向けた自社ECサイトの改善、CRM関連への投資、60~70億円をサプライチェーンのデジタル化に向けた各種インフラ投資、約10億円をオフィス設備投資等に使用する予定です。

  
  当社は株主価値の極大化を経営の重要課題として認識しており、業績に連動した安定的な配当、株式分割、自己株式の取得ならびに消却などの方策により株主価値の極大化を図ることを基本方針としています。この考え方に基づいて中期経営計画間の配当性向30%程度を目安とし、本日2023年5月10日(水)発表の「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」による自社株買いも含め、70~90億円を配当や自社株買い等の株主還元に使用する予定です。
  
  ■今後の出店予想  

既存事業については、ウィメンズ店舗、地方店舗、「CITEN」などの出店拡大により65~75店舗の出店、アパレル、アパレル派生型などを含めた新規事業が10店舗程度、(株)コーエンが10店舗程度、台湾が10店舗程度の出店を予定しています。中期最終年度の連結店舗数を380~390店舗予定しており、3年間で約100店舗増となる見込みです。

  

  • 株式会社ユナイテッドアローズについて

 1989年創業。独自のセンスで国内外から調達したデザイナーズブランドとオリジナル企画の紳士服・婦人服および雑貨等の商品をミックスし販売するセレクトショップを運営しています。「ユナイテッドアローズ」「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」等のブランドやレーベルを展開。

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