第9回「マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン」アーティストのドミニク ホワイトが受賞

株式会社マックスマーラ ジャパンのプレスリリース

マックスマーラは、コレツィオーネ・マラモッティとホワイトチャペル・ギャラリーと共に、第9回「マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン」をDominique White(ドミニク ホワイト/1993年生)が受賞したことを発表いたします。

 

© Photo Bernice Mulenga © Photo Bernice Mulenga

女性アーティストを支援・助成するために設けられた本賞により、ホワイトは作品制作のため、6か月間イタリアに滞在する機会を付与され、さらに2024年にホワイトチャペル・ギャラリーにて大規模な個展を開催。その後、同展はイタリアのレッジョ・エミリアにあるコレツィオーネ・マラモッティに会場を移します。

2023年3月28日、ホワイトチャペル・ギャラリー館長を務めるGilane Tawadros(ジレーン タワドロス)とマックスマーラ・ファッション・グループCEOのLuigi Maramotti(ルイジ マラモッティ)の共同ホストにより、ホワイトチャペル・ギャラリーで開かれた特別授賞式で受賞者が発表されました。

 ドミニク ホワイトは、マルセイユとエセックスを拠点に活動しています。彫刻家にしてインスタレーション アーティストであるホワイトは、「黒人(Blackness)」のための新しい世界を創造することに関心があり、海の持つ隠喩性と再生力に魅了されています。彼女が制作するのは、幽霊のように儚げでありながら、きわめて実体感のある作品で、古びた帆、マスト、焼け焦げたマホガニー、鎖、ロープといった朽ち果てた船舶の遺物、またカオリン粘土や未処理の鉄といった素材を多用します。黒人の主観性、アフロ ペシミズム、「(甲板)下からの海上統治」(Hydrarchy from below / 陸を支配する個人の能力を、海を通じて解体または覆すこと)といった理論と黒人離散民に関する海の神話とを紡ぎ合わせて、制作活動を行います。ホワイトは、「難破(した)」という言葉を再帰動詞として、また自身の作品に内在する解放を体現するものとして再定義します。ホワイトの彫刻あるいは「灯台」は、「まだ実現していないが実現しなければならない(黒人の)未来」である、海に囲まれた想像上の国籍のない世界を想起させます。

 第9回「マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン」を受賞したホワイトの提案は「Deadweight(載貨重量)」と題されています。「載貨重量トン数」という尺度を出発点とし、船が沈むまでにどれ程の重量を載貨できるかを算出する、海運業界で用いられる公式用語です。本プロジェクトでは、ホワイトのアートおよび政治への関心を追求し、さらなる物語と文化的レイヤーに取り組みながら、イタリアにおける6カ月の滞在期間中にリサーチとさらなる展開を目指すことになります。

 リサーチ、メンタリング、研究、研修旅行、スタジオワークを通じて、ホワイトは「載貨重量トン数」の意味を探り、歴史上の奴隷貿易や地中海におけるその現代的形態との関連性を追求することになります。歴史学者やジャーナリストと協力しながら、リサーチの一環としてイタリア南部の主要な場所を訪問します。本レジデンシー・プログラムには、海洋博物館、アーカイブ、コレクションの見学、打ち捨てられた素材を求めての造船(廃船)所巡り、作品の制作に必要とされる製作プロセス、技能、技術についての理解を深めるため、伝統的および現代的な金属加工職人との協力も含まれます。「Deadweight」制作活動の一環として、ホワイトは完成した作品のさまざまな要素をイタリアの西側に広がるティレニア海に沈めるつもりです。これはその後、2024年に開かれる個展の基礎をなすことになります。

 ドミニク ホワイトは次のようにコメントしています。
「今回、マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメンを受賞できたことを誠に光栄に思うとともに、実現不可能とも思える技能の開発や壮大なリサーチの実現だけでなく、新作の完成をサポートいただける本賞の受賞者となれたことに感激しています。また、レベッカ ベラントーニ、バジャン フンジャン、オンエカ イグウェ、ジンツィ マイノットとこの特別な場を共有できたことに心から感謝するとともに、この一生に一度の機会をいただいたことを審査員団、ホワイトチャペル・ギャラリー、マックスマーラ、ならびにコレツィオーネ・マラモッティに、改めまして深く感謝いたします。」

 

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