保護者約3000人・保育者約1300人が回答 どろんこ会グループ「幼児期の性教育意識調査2022」レポート公開

社会福祉法人どろんこ会のプレスリリース

 どろんこ会グループ(本社:東京都渋谷区/理事長:安永愛香)は、幼児期からの性教育について、どろんこ会グループの施設をご利用いただいている保護者約6000家庭およびスタッフ約2000名を対象に意識調査を実施しました。
 どろんこ会グループでは子どもたちが自分の体と命を守れるよう、業界に先駆けて2004年から毎年、就学前の年長児に「性教育(生命の教育)」を行ってきました。しかし、性教育を始めた当時よりもインターネットやSNS、スマートフォンなどの普及が進み、低年齢で間違った性の情報に簡単にアクセスしてしまうことが増えています。子どもたちが性犯罪の被害者にも、加害者にもならないように、「幼児期からの性教育」の必要性と意義を社会により強く発信していくため、今回の調査を実施することにいたしました。

まとめ

  1. 保護者の9割以上が幼児期の性教育を「大切なことだと思う」と回答。
  2. 保護者の7割以上が性教育を「未就学児の時期(0歳児から5歳児の間)に始めるべき」と回答。
  3. 家庭での性教育は「必要だと思うが実施していない」「実施していない」保護者が7割。
  4. 保育園での性教育は「必要である」と考える保護者が7割以上。
  5. スタッフの9割以上が幼児期の性教育を「大切なことだと思う」と回答。
  6. スタッフの約7割が児童の性的な行動を目にしたり、児童から胸を触られるなどの行為を受けたことがあると回答。
  7. 発達支援施設の利用児童にも性教育を実施すべきと回答した担当保育士は8割以上。

①保護者への幼児期の性教育に対する意識調査結果
【調査概要】

  • 調査期間:2022年8月5日~2022年9月9日
  • 調査機関:どろんこ会グループ(自社調査)
  • 調査方法:PCやスマホなどからアクセス可能なアンケートフォーム
  • 調査対象者:どろんこ会グループの保育園、発達支援つむぎをご利用の保護者様(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、茨城県、群馬県、新潟県、宮城県、福島県、兵庫県、福岡県、沖縄県在住)
  • 有効回答者数:3173人(母親84.2%、父親15.6%、親族0.2%/30代63.9%、40代26.5%、20代9%、50代以上0.5%、10代0.01%)

性教育を大切に思う保護者は9割以上
性教育の開始時期は就学前と意識している保護者は7割超

 「性教育にどのようなイメージをもっていますか?」という質問に対し、グラフ①が示すとおり「大切なことだと思う」と回答した保護者は96.2%という結果になり、大多数の保護者が性教育を重視していることが分かりました。

 さらに、グラフ②が示すよう、「性教育はどの時期から始めるべきと思いますか?」の質問に対し、「3歳児から」が最も多いという結果になりました。どろんこ会グループでは全園で5歳児に性教育の時間を2日間にわたり設けておりますが、保護者はより早い時期を意識していることが明らかとなりました。その理由としては、

  • 小さいころから始めることで先入観なく子どもが受け入れられると思う。3歳ごろから自分の性器を触ったりと、特に男児は興味を持ち始めるようにも思うので。
  • 自分の体に興味を持つようになったり、他者と自分の体の違いに疑問を持つようになったり、質問されることが増えたのが3歳のころでした。
  • 言葉を理解しコミュニケーションがとれるようになること、男女の性別を意識し始めるのが3歳ごろだから。命の大切さを親から自然と伝えることができ、一番偏見なく受け入れてもらうには、意識の芽生えるころから始めることが大切だと思いました。

などが挙げられました。
 そのほか、「年齢に関係なく性被害リスクはあり、小さい時に行う方が親子ともに抵抗も少なく、吸収も早いと思うから」といった、性犯罪に巻き込まれることを未然に防ぐことを意識された回答も多く挙げられました。
 一方で、「分からない」と悩まれているご回答も多く見られました。また、「幼すぎると理解できないと思う」といったご意見をはじめ、言葉の理解の度合い、男女の区別を認識する時期、生理が始まる時期の低年齢化、保護者自身が性教育を受けた時期との比較なども挙げられ、性教育の開始時期については多様な受け止め方があることも分かりました。

家庭ではなかなかできない性教育 保育園に求められていること

  「ご家庭で性教育は実施していますか?」という質問に対しては、グラフ③が示すように「必要だと思うが実施はしていない」「実施していない」という回答が合計71.6%を占めました。また、「どろんこ会グループの保育園では年長児に『性教育(生命の教育)』を行っています。保育園で性教育を行うことについてどう思いますか?」という質問に対しても、「必要である」との回答が73.2%を占めました。その理由として、

  • 保育園で学ぶということは、子どもにとっては家以外の場所で学ぶということ。家以外でも性のことに触れることで、子どもながらに公共性を感じられると思うため。
  • 家庭で行うことが前提だと思うが、日中多くの時間を過ごす園でも性教育について実施していただけるとより子どもの理解や定着が増すと感じたため。
  • 同世代の別性の友達もいて、本人にとってより身近な話題から教えてあげられると思うから。
  • 自分ではどう伝えてよいか分からないので、園にお任せしたい。
  • 1人目の子どもであり、適正な教育方法が分からないので、経験のある保育園で実施いただけると非常に助かると考える。
  • 自分が正しい性教育を受けておらず、どう教えていいのか分からないので、保育園で行ってもらいたい。

などの意見が挙げられました。

 「保育園で子どもたちに性教育を実施する場合、どのような内容を希望しますか?(複数回答)」という質問に対しては、グラフ④が示すとおり、 「プライベートゾーンについて」「自分の体の守り方」に次いで、「命の大切さ」や「男女の体の違い」といったより本質的な内容も重視していることがうかがえます。

 どろんこ会グループが実施している幼児期の性教育においては、「体っていいな」「命ってすごいな」を基本としています。「男の人や女の人の体の仕組みはどうなっているの?」「赤ちゃんはどうやって誕生するの?」など幼児期に自然に芽生える疑問を、 「そんなこと聞いちゃダメ!」といやらしいものとするのではなく、大人が「本当のこと」「命が生まれてくることは素晴らしいこと」と伝えることが できれば、子どもたちには「体って、命って大事なんだ」と自分や周りの人の体も命も大切にしていこうという気持ちが芽生えてくると考えています。

②保育従事者への幼児期の性教育に対する意識調査結果
【調査概要】

  • 調査期間:2022年8月1日~2022年8月31日
  • 調査機関:どろんこ会グループ(自社調査)
  • 調査方法:PCやスマホなどからアクセス可能なアンケートフォーム
  • 調査対象者:どろんこ会グループの保育園、発達支援つむぎに勤務する全スタッフ(保育士、栄養士・調理師・調理スタッフ、看護師、保育補助、用務、園事務、発達支援に関わる専門士など)
  • 回答者数:1376人(女性89%、男性9.4%、無回答1.6%/20代38.7%、30代20.4%、40代17.7%、50代13.5%、60代以上9.5%、10代0.1%、無回答0.01%)

 性教育を大切に思う保育者も保護者同様9割以上

 「性教育にどのようなイメージをもっていますか?」という質問に対し、「大切なことだと思う」と回答したスタッフはグラフ⑤のとおり93.2%という結果になり、保護者同様大多数のスタッフが性教育を重視していることが分かりました。
 なお、性教育を開始する時期については、どろんこ会グループが全園で5歳児に実施していることもあり、5歳児からの意見が多く見受けられました。一方で、

  • 具体的な性教育については4、5歳児からでも理解可能だが、1歳児からでも簡単な言葉で伝えるとお尻を隠すなどする仕草や理解も感じられるので、日々伝えていくことが大事だと考える。また職員でも低年齢児から意識することで虐待防止、衛生管理にもつながると思う。
  • 対面で講座のように伝えるのは乳児には難しいが、日頃の保育や関わりの中で、性や命についての感性や感覚を養えるよう意識していくべきだと思う。その年齢に合った内容や方法で、生まれてすぐからでも取り入れていきたい。

といった意見もありました。

性教育を実施するうえではスタッフの研修が重要

 「保育園または発達支援の現場で性教育を実施するときに、必要と感じることは何ですか?」という質問に対しては、グラフ⑥のとおり「スタッフの研修」の重要性が浮き彫りとなりました。

 「園児の性的な行動(性器タッチや友達同士で見せ合い、自慰行為など)を目にしたり、園児から胸を触られるなどの行為を受けたりしたことがありますか?」という質問もしました。グラフ⑦のとおり67.2%のスタッフが「ある」と回答しています。その際には、プライベートゾーンの話を伝える、違うことに興味がいくようにするなどの対応をしているスタッフが多いことも分かりました。また、スタッフ間での共有や見守りを挙げるスタッフも複数いました。園児の性的な行動に大人が正しく対応していくためにも、保育現場におけるスタッフへの性教育研修の必要性は明らかといえるでしょう。

発達に気がかりのある子どもへの性教育も重要

 どろんこ会グループでは発達に気がかりのあるお子様を支援する子ども発達支援センター、児童発達支援事業所「つむぎ」も運営しています。発達支援に勤務する保育士に「保育園では要支援児にも性教育を実施していますが、同様に、つむぎ利用児にも性教育を実施すべきだと思いますか?」と質問したところ、84.6%が「実施すべき」との回答を得ました(グラフ⑧)。その理由として、

  • 支援の必要有無にかかわらず、性教育は必要。自分の大事な身体だから。
  • 理解できるかどうかは子どもの発達段階によって異なるが、大切なことなので伝えていった方がよいと感じる。子どもだけでなく保護者にも伝えて、共に学ぶ必要があると思う。
  • 性に関する興味はどのお子さんも同じように持っているもので、そのお子さんの興味や意識に合わせて伝えていくべきだと思います。

といった声が上がりました。

 子どもへの性犯罪は増加しており、また、文部科学省が「生命の安全教育」の実施したこともあり、近年メディアで性教育について取り上げられることが増えております。
 どろんこ会グループでは幼児期の性教育を以前から実施してまいりましたが、今回の調査結果を通じ、幼児期の性教育に対する保護者の意識が非常に高いことを裏付ける結果をあらためて得ることができました。また、プライベートゾーンだけにとどまらず、命の大切さを伝えることを目的としたどろんこ会グループの性教育は、現在の保護者の要望にもかなっていることも明らかとなりました。
 一方、性教育の開始年齢については議論の余地があることも分かりました。さらに、グループ内のスタッフのさらなる研修や、保育を目指す学生への教育の必要性にも気づく調査となりました。
 どろんこ会グループは今回の調査結果を受け、幼児期の性教育の重要性を確信いたしました。今後はさらに内容の充実と質の向上を目指し、グループ内にとどまらない学びを広げてまいります。

2022年度どろんこ会グループ各園での性教育実施について

性教育実施の様子性教育実施の様子

 どろんこ会グループでは毎年全園で12月から1月にかけて、就学を控えた5歳児に2日間にわたり性教育の時間を設けています。
【1日目】体の不思議と大切さ

  • 「木製人体パズル」を使って女の子と男の子の体の違いを知る
  • パネルを使って「プライベートゾーンの大切さ」を伝える
  • 「プライベートゾーン」は「人に見せるものではなく、『見せて』と言われたら 『いやだ』と言わなければいけないところ」と教える

【2日目】大きくなった喜び ・命の誕生

  • 絵本を使って受精から出産の「命の誕生」を教える
  • 紙に針で開けた小さな穴をすかして、「卵子」の大きさを知る
  • 1 ヶ月から 10 ヶ月まで、実際の胎児のサイズ・重さを模した人形を使い、お腹の中で赤ちゃんが育つ様子を知る

 
プレスリリースは下記よりダウンロードいただけます。
https://prtimes.jp/a/?f=d41921-20221221-b87e8eadcc067f8a45d5b10a93957454.pdf

どろんこ会グループについて
 
どろんこ会グループ(社会福祉法人どろんこ会、株式会社ゴーエスト、株式会社日本福祉総合研究所、株式会社南魚沼生産組合、株式会社Doronko Agri)は全国約150箇所に認可保育園、認証保育所、事業所内・院内保育所、学童保育室、地域子育て支援センター、児童発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、就労継続支援B型事業所などを運営。次代を担う子どもたちの「にんげん力」を育む体験型保育・自然保育を行う。幼児期の性教育や男性保育士比率の高さなど、各種メディアでもその取り組みが紹介されている。
1998年設立。職員数約2000人。利用者家庭数約6000家庭(2022年12月現在)

 

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