ツムラのプレスリリース
男性調査に続き第2弾!
ツムラが20代〜60代の女性を対象に更年期に関するイメージ・実態を調査
女性の更年期症状
イメージと実態のギャップに気づいていない
約7割が「対処方法がわからない」
株式会社ツムラは、男性の更年期調査に続く第2弾として、20代〜60代の女性を対象に更年期に関する調査を行いました。更年期症状は、一般的には「イライラ」「ほてり」「発汗」がイメージされるが、更年期症状を自覚する女性の訴えは「疲れやすさ」「肩こり」「気分の落ち込み」等が多く、ギャップがあることが判明しました。
本調査では ●更年期の時期とは閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年間 ●更年期症状とは更年期の時期に現れるさまざまな症状の中でもほかの病気を伴わないもののことを指しています。 出典=「産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編 2020から引用
更年期の症状、イメージと実態にギャップあり
●更年期症状は、一般的には「イライラ」「ほてり」「発汗」がイメージされるが、更年期症状を自覚する女性の訴えは「疲れやすさ」「肩こり」「気分の落ち込み」等が多く、ギャップあり。
更年期症状に対する認知度は男女ともに高いが、対処方法は「わからない」人が圧倒的
●更年期症状は「男女共に生じるもの」➡ 女性73.8%:男性74.8%が「そう思う」と回答。
●更年期症状の「正しい認識が広まってほしい」➡ 女性90.8%:男性74.8%が「広まってほしい」と回答。
●自分の更年期症状への「対処方法がわからない」➡ 女性71.3%:男性84.3%が「わからない」と回答。
更年期症状を自覚する女性の約3人に1人は「我慢したまま何もしない」
●更年期症状を自覚する女性の54.0%が「日常生活・社会生活に支障をきたしている」と回答。
●更年期症状を自覚する女性のうち、人に相談する人は30.0%、病院に行った人は22.0%と少なく、約3人に1人は「我慢」(32.0%)したまま何もしていない。
●我慢する理由は「対処するほどではない」(46.9%)、「年のせいだと諦め」(43.8%)、「自分にあった対処方法がわからない」(37.5%)の順に多い。
更年期は「ライフステージのひとつ」と正しく理解しているのに…
●「更年期」とは「ライフステージのひとつ」という認識(理解)は77.5%と正しい理解がなされているが、 印象としては「老化を実感」(80.3%)、「辛い時期」(77.7%)等ネガティブな時期と捉えてしまっていることがわかった。
●更年期という時期をネガティブに捉えてしまう背景には、 「更年期をネガティブに伝えている情報」(48.4%)が一番の要因に。
「女性の更年期に関するイメージと実態調査」調査概要
■実施時期:2022年11月2日(水)~11月4日(金) ■調査手法:インターネット調査
■調査対象:全国の20代〜60代女性600人(うち、更年期の症状を自覚する40代〜60代女性100人)図6図7は全国の20代〜60代男性600人(男性版図1図2は、更年期の症状を自覚する40代〜60代男性100人)
■実査委託先:楽天インサイト
★構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
詳細な調査結果は下記の通りです。
更年期という時期のイメージ
更年期という時期はライフステージのひとつと理解しているものの、「老化」「辛い」などネガティブに捉えがち
20代〜60代の女性600人に、更年期という時期に対するイメージを聞くと、約8割が「ライフステージのひとつ」(77.5%)と正しく認識しています。しかし、「20代・30代にできなかったことを実現する時期」(43.0%)、「知識や経験が蓄積され人生が充実する時期」(32.8%)というポジティブなイメージより、「老化を実感・もう若くはいられない時期」(80.3%)、「更年期症状が続く辛い時期」(77.7%)というネガティブなイメージを回答する人の方が多くなっています[図1]。
そこで、更年期という時期にポジティブとネガティブのどちらのイメージを持っているかと聞くと、「ネガティブな時期」のイメージを持つ女性が79.8%と多く、中でも、30代(89.0%)の女性はネガティブなイメージを持っている傾向がありました[図2]。
更年期という時期がネガティブに感じられるのは、「ネガティブに伝える情報」が一番の原因に
図2で更年期という時期にネガティブなイメージを持つ女性479人にその理由を聞くと、「更年期をネガティブに伝えている情報に触れた」(48.4%)、「周囲でよくないイメージで言っているのを聞いた」(41.5%)が上位の理由として挙げられました。年代別に見ると、30代は「更年期をネガティブに伝えている情報に触れた」が60.7%と高く、20代は「身近な人で更年期症状で苦しんでいる人を見た」が44.0%と高くなっています[図3]。
更年期症状、イメージと実態にギャップあり
更年期症状に対して、女性の7割以上が「生活に支障をきたす」「体の衰え始め」と認識
更年期症状の有無にかかわらず、20代~60代の女性全員に、更年期症状に対する認識について聞いたところ、更年期症状は「日常生活・社会生活に支障をきたす」(79.2%)、「体の衰え始め」(74.7%)、「何年も続く」(72.2%)という認識が7割を超え高くなっています。また、更年期症状を自覚する女性では65.0%が「どんな不調も更年期の症状かもしれないと思ってしまう」と答えています[図4]。
更年期症状、一般的なイメージは「イライラ」「ほてり」だが、自覚する人が感じるのは「疲れ」「肩こり」
更年期症状として一般的と思うものを選んでもらいました。すると、「イライラ」(54.3%)、「ほてり」(50.8%)、「発汗」(50.5%)、「ホットフラッシュ」(47.5%)、「のぼせ」(42.8%)が上位に選ばれました。更年期症状というと、一般的にはイライラや発汗のイメージが持たれているようです[図5-1]。
一方、更年期症状を自覚※1する40代~60代女性100人に、自身の更年期症状として当てはまるものを聞くと、「疲れやすさ」(51.0%)、「肩こり」(47.0%)、「気分の落ち込み」(44.0%)が高くなっています[図5-2]。
実際に更年期に多く感じる症状は、一般的な更年期症状に対するイメージとは異なることがわかりました。
※1:更年期症状を自覚する女性とは、「医療機関への受診により、更年期障害と診断されたことがある・診断されている」または「自身の更年期障害を疑ったことがある・疑っている」かつ「何らかの更年期症状(ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗、めまい、動悸、胸が締め付けられるような感じ、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節の痛み、冷えしびれ、疲れやすさ、けん怠感、気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠)のいずれかがある」に該当する女性が対象です。
更年期症状に対する男女の認識
更年期症状が男女ともに生じることを約7割以上が理解
さらに、男女とも「更年期症状に対する知識」や「正しい認識の広まり」を望んでいる
では、更年期症状に対して、男性はどう認識しているのか?女性と同じ20代〜60代の男性600人に聞き、男女で比較してみました[図6]。
まず、更年期症状は男女ともに生じると思うかと聞くと、女性73.8%、男性74.8%が「男女ともに生じる」と正しく認識しています。更年期症状に対する知識を得ておきたいかと聞くと、女性83.3%、男性74.7%と多くの男女が正しい知識の獲得を希望しています。また、女性の更年期症状への正しい認識がより広まってほしいかと聞くと、女性90.8%、男性74.8%が、男性の更年期症状についても、女性87.2%、男性76.0%が望んでいます。
自分の更年期症状への対処方法は「わからない」
上記の通り、男女ともに更年期の症状について理解し、正しい知識を得たいと望んでいます。しかし自分の更年期症状への対処方法がわかっているかと聞くと、「わかっている」と答えたのは女性28.7%、男性15.7%と少なく、「どう対処していいかわからない」と答えた人が女性71.3%、男性84.3%と圧倒的に多くなっています[図7]。
更年期症状を自覚する女性の実態
更年期症状を自覚する女性の54%が、更年期症状のせいで日常生活・社会生活に「支障あり」
次に、更年期症状を自覚する40代〜60代の女性100人に更年期症状が日常生活・社会生活にどの程度影響しているか聞くと、「支障をきたす」10.0%、「やや支障をきたす」44.0%となり、更年期症状を自覚する女性の約2人に1人(54.0%)が日常生活・社会生活に何らかの支障を感じていることがわかりました[図8]。
更年期症状に対する気持ち、周りには知られたくない、自分でも認めたくないは半数以下
さらに、更年期症状に対する意識を聞くと、「周りから指摘されることに抵抗がある」(41.0%)、「周りに言いにくい」(40.0%)「自分に更年期症状が出るとは思わなかった」(39.0%)、「更年期症状があっても認めたくない」(38.0%)が4割と少なくはありませんが、約6割の人がそうは思っていないことが新たに判明しました。
一方、約3人に1人は、「更年期症状は自分でなんとかするもの」「我慢するもの」(34.0%)と思っていることがわかりました[図9]。
更年期症状を自覚する女性の約3人に1人は「我慢」し、病院に行く女性は2割しかいない
更年期症状への対処方法を聞くと、「人に相談した」は30.0%、「病院に行った」は22.0%にとどまり、約3人に1人は「我慢する」(32.0%)だけで何もしていません[図10]。
我慢すると答えた人に理由を聞くと、約2人に1人は「対処するほどのことではない」(46.9%)と答えています[図11-1]。また、「病院に行った」と答えなかった人に病院に行かない理由を聞くと、「病院に行かなくても乗り切れる」(46.2%)が一番の理由に挙げられました[図11-2]。
更年期症状を感じていても我慢したり、乗り切れるからと病院に行かない女性がまだまだ多いようです。更年期症状は程度の個人差が大きく、種類もさまざまです。我慢をしたり、周囲の人に相談しにくいと感じていたりすることがあれば、医療機関を受診し、自分にあった対処法を相談することも選択肢の一つです。
女性の更年期症状を取り巻く社会的課題:「我慢」や「諦め」ではなく専門医を交えた早期の対策を。
今回の調査結果から、更年期症状に関する知識を得たいと8割の女性が望んでいるにもかかわらず、7割の女性は自身の更年期症状への対処方法がわからないのが実態だということが明らかになりました。我慢したり、やり過ごすのではなく、専門医を交えて更年期症状に関して自分にあった向き合い方を見つけることが大切です。
専門家に聞く、女性の更年期との付き合い方
南雲久美子先生
「更年期の症状は改善できる時代。我慢したり諦めたりせずに、専門医に気軽に相談を」
ほてりや汗、ホットフラッシュなど更年期の時期に多く見られる典型的なものが、一般的なイメージでした。これらは自分だけでなく他人からもわかるので、本人も恥ずかしいと感じがちですが、症状があるのは割と短期間。更年期という10年もの長い間、女性を苦しめるのは、更年期の症状に影響を与える身体的因子、心理的因子、社会的因子によるものが多いようです。ですから、一般的なイメージと更年期の実際の症状が異なる結果になった、と考えられます。
また、更年期というといまだにネガティブなイメージを持つ人が多いという結果でしたが、その意識が正しい知識を持ちにくくし、対処や治療の遅れにつながっていると考えられます。更年期の年代の女性はとても多忙です。家族のこと、子どものこと、親の介護、自分の仕事、夫の仕事、将来のこと…、考えなければならないことが山ほどあって、自分のことは二の次、三の次になってしまう。
また、更年期の症状はいつかは終わるからと我慢を重ね、結果、不調に慣れ、諦め、受け入れている女性も少なくないでしょう。確かに、かつては諦めるしかない時代もありましたが、今は違います。たくさんの情報を得て、しっかりと正しい対処ができるようになっています。人生100年時代。その中の10年もの長い時間を、不調に何も手を打たず、諦めて生きるのは、あまりにももったいない。
普段当たり前と思って慣れてしまった不調の中に、実は改善できるものがあるかもしれません。不調が少しでもない日々に、私たちが貢献できれば幸いです。
南雲久美子(なぐも・くみこ)先生
目黒西口クリニック院長 漢方医学専門医
杏林大学医学部卒業。北里研究所附属東洋医学総合研究所で東洋医学を学び、1996年に東洋医学と西洋医学を融合した治療を行う現クリニックを開業。「新版冷え症・貧血・低血圧」(主婦の友社)、「タイプ別・冷え症改善ブック」(家の光協会)など著書多数。
丸山 綾先生
「個人差が大きい更年期症状 自己診断せず婦人科を受診、更年期離職という悲劇も回避できます」
更年期症状は誰にでも起こるものですが、個人差が大きく、人によっては日常生活・社会生活・QOLに支障を及ぼすことも少なくありません。放置すると悪化する、という類のものではなく、どこからが受診が必要などの基準もありませんが、症状が重く日常生活に支障を来すのであれば、「更年期症候群」という病気としての治療も可能です。治療方法はホルモン補充療法が一般的で、漢方治療を選択・併用することもあります。ホットフラッシュの場合、1〜2週間で症状の軽減を感じられることが多いようです。また、例えばメンタルの症状が強く、更年期症状と自己判断していたら実はうつ病だった、というケースもあります。そういう場合は、放置すると悪化することがあるので、受診して客観的な診断を受けておくことが必要です。
また、最近注目されている「更年期離職」という問題もあります。更年期の不調で仕事を辞めざるを得ないというもので、数千億円もの経済損失とも言われています。当事者だけでなく雇用する企業にとっても大きな課題となっています。企業の方には、更年期症状がひどい人は、日常生活、社会生活に支障が出るほどつらいことをまずは認識していただきたいと思います。更年期障害の診断がついたなら、時短勤務やテレワーク、必要があれば部署や職種の変更などを検討し、また症状に波があるので、症状の重いときには休暇がとれるなどの柔軟な対応をお願いしたいです。当事者だけでなく、社会全体での正しい認識が望まれます。
更年期症状は治療可能です。薬の反応も良く、使用するとしても長い人生のほんの短期間です。受診された方から「もっと早く受診すればよかった」という声はしばしば聞かれます。あれこれ悩むより、「更年期かな?」と少しでも思ったら、ぜひ婦人科に相談にいらしてください。一緒に乗り切りましょう。
丸山 綾(まるやま・あや)先生
「霞が関ビル診療所」婦人科医
1999年、日本大学医学部卒業。駿河台日本大学病院(現日本大学病院)、丸の内クリニックなどを経て、現職。専門は産婦人科一般、漢方診療。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医。
こちらはリリースの抜粋版です。全文は「プレスリリース原文(PDF)」をご覧ください。