ピジョンにっこり授乳期研究会の『新生児集中治療室/回復治療室(NICU/GCU)に入院した後期早産児の母親が抱く想い』が「学術優秀賞」を受賞

ピジョン株式会社のプレスリリース

ピジョン株式会社(本社:東京都中央区、社長:北澤 憲政)は、ピジョンにっこり授乳期研究会が主導し、実施した研究・原著論文「新生児集中治療室/回復治療室(NICU/GCU)に入院した後期早産児の母親が抱く想い」が、令和4年度 日本新生児看護学会 論文表彰審査において学術優秀賞を受賞したことをお知らせします。

  • 受賞研究の概要

後期早産児は、在胎34~36週で出生した児を指し、2,500g未満の低体重で生まれた赤ちゃんの約半数、在胎37週未満の早産で生まれた赤ちゃんの約8割を占めます。本研究では、日本での後期早産児の母親に関する研究が少ないことに着目し、妊娠中、出産時、出産直後にどのような想いを抱いていたかを明らかにし、母親への支援のあり方を検討しました。
研究方法は、末子が後期早産児として出生し、その児がNICU/GCUに入院した経験を持つ母親9名に、半構造化インタビュー*1を実施し、母親の想いを質的記述的に分析*2しました。その結果から、支援への示唆として以下の内容が抽出されました。

1.わが子の無事を願い、思い描いていた妊娠・出産を諦める母親への支援
後期早産児の母親たちは、予定と異なる入院・出産への戸惑い・驚きを抱き、随所で「しょうがない」と語りました。さらにその「しょうがない」という想いには、≪母児の安全のために不可避な事実に対してのしょうがなさ≫と≪本当はこうしたかったことに対するしょうがなさ≫の2つのニュアンスが存在していることがわかりました。医療従事者には、母親たちが抱いた「しょうがない」という想いを表出し、その想いに折り合いをつけていけるようなきめ細やかな対応や、可能な範囲で母親の望むことを実践できるよう、支援が求められると考えました。

2.NICU/GCUという世界に戸惑い、医療従事者に遠慮する母親への支援
後期早産児の母親たちは、医療従事者が児へ語りかける言葉や、何気ない会話に満足感を抱いていた一方で、医療従事者への遠慮などを抱いていることもわかりました。この「遠慮」に関しては、より重篤な他児との比較をすることで生じた遠慮や、後期早産児の入院期間は比較的短く、医療従事者と親しい関係を築きにくいことで生じる遠慮があることがわかりました。医療従事者には、後期早産児の母親のこのような精神的特徴を理解したケアの提供や、積極的な語りかけなどにより、母親が質問や要望を表出できる環境づくりの必要性があると考えます。
 

  • 掲載論文情報

・論文タイトル:新生児集中治療室/回復治療室(NICU/GCU)に入院した後期早産児の母親が抱く想い
・筆者:市川香織*a、高橋智恵*b、小野有紀*c、手塚麻耶*c、岸千尋*c、小柳星華*c、角田奈々*c
・所属:*a: 東京情報大学看護学部看護学科 *b :ちよいろ助産院 *c: ピジョン株式会社
・掲載誌:日本新生児看護学会誌 第27巻 (2021年5月発行)

ピジョンにっこり授乳期研究会では、この研究をもとに後期早産児のご家族向けに「ちょっと早く生まれた赤ちゃんのサポートBOOK」を作成し、全国に無償提供をおこなっています。また、後期早産児とご家族のケアにあたる医療従事者向けに、心のケアの在り方について各種学会におけるのセミナーなどを開催しています。

*1半構造化インタビュー:予めインタビューの目的や質問をある程度決めておくものの、状況や対象者の反応によって面接者が自由に質問を変えていくインタビューの方法です。

*2質的記述的分析:今回の研究では、インタビューの内容を逐語録ににし、研究参加者が抱いた想いを意味のあるまとまりごとに語りとして抽出。その語りを類似性・相違性に基づき集約し、抽象度を上げてサブカテゴリー、カテゴリーを生成し分析を行いました。

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