株式会社三陽商会のプレスリリース
三陽商会は、市場に支持される価値のある商品をつくりお客さまに訴求すること目的に、2021年5月、全社横断のプロジェクトとして「商品開発委員会」を発足。コートを中心にジャケットやパンツなど開発した商品全44型を、今年9月から11月にかけて各ブランドより本格展開いたします。
「商品開発委員会」では、全ブランドの責任者・担当者、技術開発部門、自社2工場の工場長のみならず、マーケティングや広報部門の責任者が集まり、各部門間の知識を共有する会議を定期的に実施し、商品開発と訴求法の検討を連動して行っています。技術開発部や国内自社工場を有し、社内で一気通貫したものづくりができる当社の強みを最大限に活かし、技術力・開発力を結集し全社一丸となってつくりあげた商品をご提案いたします。
■背景と目的
当社は技術開発部や国内自社工場を有し、社内で一気通貫したものづくりができるアパレルメーカーです。戦後、防空暗幕を用いたレインコートの販売から始まり、以来コートの生産を強みとして技術を積み重ね総合アパレル企業に発展してきました。しかしながら、丁寧で妥協のないものづくりを強みと自負してきましたが、時流の変化とともにその強みを活かしきれず、改めてブランド価値を高めるために商品開発を見直す必要がありました。
2021年2月1日には、“新しい価値を創出し、市場に提供し続ける” ことをミッションに、当社のものづくりの象徴であり国内生産の拠点である2つの工場を「サンヨーソーイング 青森ファクトリー/福島ファクトリー」として統合し、研究開発を実践するR&D機能の拠点と位置づけ、近年の需要に即した生産体制を確立。当社の本来の強みである技術力・開発力を最大限に活かし、市場に支持される価値のある商品をつくることを目的に、2021年5月、当社社長の発令の下、関係部門が結集して開発をすすめる全社横断のプロジェクトとして「商品開発委員会」を発足することとしました。
■「商品開発委員会」概要
発足時期/ 実施頻度 |
2021年5月発足。 同年6月に第1回商品開発委員会を開催し、その後 1~2カ月に1度の頻度で委員会を開催。2022年8月末までに13回実施。 |
構成メンバー | 事業本部 全ブランド責任者 及び 技術開発部門責任者、 マーケティング&デジタル戦略本部 宣伝販促責任者、広報部門責任者、 サンヨーソーイング(青森ファクトリー/福島ファクトリー) 両工場長 など計約20名 【委員長】:取締役 兼 専務執行役員 事業本部長 兼 マーケティング&デジタル戦略本部長 加藤 郁郎 【副委員長】:執行役員 事業本部 副本部長 企画管掌 杉澤 幸毅 事業本部 技術開発部長 永野 孝志 |
特徴 | 商品開発において、工場、技術開発部門、各ブランド部門間で知識を 共有し、商品開発を連動して行います。 技術開発部や国内自社工場を有し、社内で一気通貫のものづくりができる 当社の強みを最大限に活かし、技術力・開発力を結集させた価値のある 商品をつくります。また、効果的な訴求方法についても議論し、 お客さまに伝わるマーケティングを遂行します。 |
主な開発カテゴリー | 1.技術力・開発力を結集した商品開発 2.自社2工場の強みを最大限に活かした商品開発 「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」(コート専業工場) 「サンヨーソーイング 福島ファクトリー」 (スーツ/ ジャケット工場) 3.先進的な機能素材をブランド横断により用いた商品開発 |
2022年秋冬発売商品 | 16ブランドより計44型 (コートを中心にジャケット、パンツ、ニットなど) |
開発商品の発売時期 | 2022年秋冬より本格展開。各ブランドから9月より順次発売 (一部 2022年春夏より展開開始。2023年春夏展開商品も開発中) |
■主な開発カテゴリー、開発商品の一例
2022年秋冬の「商品開発委員会」では、①技術力・開発力を集結した商品開発、②自社2工場の強みを最大限に活かした商品開発、③先進的な機能素材をブランド横断により用いた商品開発、という3つの視点を軸に開発を行い、商品を展開いたします。
- 1. 技術力・開発力を結集した商品開発 ~ 社内で一気通貫できるものづくり ~
当社の強みは、デザインから設計、試作までの一連の工程を、社内で一貫して行うことができる点です。創業約80年の歴史を持つ当社の技術開発部が検証を重ね培ってきた技術を、資料としても保存し、品質の向上に取り組み、製品に反映しています。特に、服をつくるための基本となるパターン(型紙=設計図)製作においては、パターンメイキングチームがデザイン・シルエット・着心地の視点からパターンを起こし、それを工業技術チームが正確な縫製と量産化する際の効率を考え、細部にわたり調整し仕上げることで、質の高い製品をつくり出しています。「商品開発委員会」では技術開発チームが企画段階から深く入り込み、各ブランドから着心地とデザインを追求した商品を開発しています。
開発商品の一例 (価格は全て税込価格表記)
「SANYO PANTS LAB.」 婦人服4ブランド
年齢を重ねることでおきやすい体型変化によるパンツ着用時の悩みを解決するために、婦人服4ブランドが工業技術チームと組み 「SANYO PANTS LAB.(サンヨーパンツラボ)」として開発。着用時の負荷や圧力について3D CAD(キャド)を使い解析し、工業技術チームの豊富な経験を活かしたパターン設計により、ブランドのお客さま層に向け快適なはき心地と美しいシルエットを実現したパンツです。
ブランド:「アマカ」「トランスワーク」「トゥー ビー シック」「エス エッセンシャルズ」
¥20,900~¥27,500
「名品シャツ」 エス エッセンシャルズ
『100年コート』に並ぶ中軽衣料の開発を目指し製作。「エス エッセンシャルズ」が工業技術チームと開発を行い、国内のメンズドレスシャツ最高峰の工場ともいわれる「HITOYOSHI」にて縫製したスペシャルな1着。ゆったりとした着心地でありながらすっきりと見えるデザイン設計や、シンプルで普遍的でありながら手が込んだデザインで、それぞれのもつ技術を駆使し仕上げています。ブランド: 「エス エッセンシャルズ」
シャツ ¥29,700~¥33,000
シャツワンピース ¥39,600
- 2. 自社2工場の強みを最大限に活かした商品開発
「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」でつくるブランドの顔となるコート
当社の祖業アイテムであるコートにおいて、自社工場「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」のコート専業53年となる蓄積されたノウハウを活かし、今後各ブランドの顔となっていくコートを開発。「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」ではR&D機能を有するコートのエキスパートとして、工場創業当時から得意とするトレンチコートに加え、ダウンコートや防水仕様コートの生産を可能とするために、ダウンの充填機をはじめ止水テープを貼り付けるシームシーリング加工を施す機械、ほか複数の設備投資を進めており、品質を備えた新たなコートの提案を図っています。
開発商品の一例
「100年コート 極KIWAMI」 サンヨーコート
「100年コート 極KIWAMI」 サン『100年コート』は “世代を超えて永く愛されるコート” を目指し、ものづくりへのこだわりを体現した2013 年より展開しているコートです。2022年秋新たに発売する『100年コート 極KIWAMI』は、素材・縫製・仕様、あらゆる面でさらなる高みを目指しつくりました。ライニングの背中部分にはダウンパックを仕込み、防寒性がアップ。「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」がダウンづくりの設備を新設したことで実現した1着でもあります。
メンズ¥231,000、ウィメンズ¥220,000
「リバーシブルダウンコート」 エポカ
暖かなダウンでありながら「エポカ」ならではの美しいシルエットを追求した「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」製のリバーシブルタイプのダウンコート。表地には上品な光沢感が特徴の高密度のサテン素材を使用し、キレイ目・カジュアルなどさまざまな着こなしができるよう、ダウンステッチが無い面と有る面とのリバーシブル仕様に仕上げました。 ダウンには、着る人の体温によって自然なあたたかさが生み出される「光電子®ダウン」を採用。ブランドと工場がこだわり抜いてつくった1着です。
¥165,000(ジャケットタイプも展開¥121,000)
「シーリングクリフォードコート」 ポール・スチュアート(メンズ)
ブランドのシグニチャーモデルを機能的にアップデート。「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」が2021年に新設した、縫い目に止水テープを貼り付け雨水の侵入を防ぐ加工を施す機材を使い、裏面にシームシーリング加工を施しています。
ラミネート加工による3層から成る伊ヴィターレ・バルベリス・カノニコ社製の生地を採用し、表面はクラシカルなフランネル素材でありながら、防風性の機能を備えた逸品です。
¥198,000
「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」製の
コートにつける商品下げ札
(2022年10月以降を予定)
「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」 について (コート専業工場)
http://sanyo-factories.jp/aomori_factory
当社子会社。2023年に80周年を迎える当社の祖業アイテムでもあるコートの生産を手がける、コート専業53年(1969年創立)の工場で、当社のものづくりの根幹ともいえる国内工場です。工程数の多いコートを正確に縫製し仕上げる技術は、当社製品の生産に加えて、近年ではセレクトショップなど他のアパレルメーカーからも多くの受注を受け、中でも綿のギャバジン素材によるトレンチコートの生産技術については高い評価をいただいております。
技術のこだわり・強み:「サンヨーソーイング 青森ファクトリー」では、肩から裾にかけて歪みやよどみがなく、整然と生地が落ちる様なシルエットを理想としており、そのシルエットを表現するために「パターン(設計図)」「縫製」「仕上げ(アイロンがけ)」という3つの工程を重視しています。コート専業53年間で蓄積された工場の技術を全て掛け合わせ、オーラを放つ1着に仕立てます。
直近の動向:2021年2月、複数の設備投入をおこない新たにR&D 機能を持たせることで、近年の需要に即した生産体制を確立。ダウンコート生産の内製化や新アイテムの開発など、トレンチコートに留まらない製品の生産に取り組んでいます。
「サンヨーソーイング 福島ファクトリー」でつくる究極の着心地とシルエットのジャケット/スーツ
重要なビジネスのシーンに着用することの多いジャケット/スーツアイテムにおいては、技術を必要とする総毛芯仕立てのジャケット/スーツの生産に特化した自社工場「サンヨーソーイング 福島ファクトリー」にて、品質を追求した1着をご提案いたします。「サンヨーソーイング 福島ファクトリー」では、ジャージー素材のセットアップといった直近のマーケットで求められるアイテムの縫製も可能とするために2021年に設備を増強、リラックス感のある軽い着心地とフォーマル感を併せ持つ製品づくりにも着手しています。
「究極のジャケット」 エス エッセンシャルズ
普遍的なアイテムである紺のブレザーを、本格仕様かつセミオーダーにより期間限定で受注生産。包み込むような着心地を実現するために、肩、アームホールまわりの重要な工程はミシンを使わずに手縫いで柔らかく仕立てています。立体感のある美しいシルエットのジャケットを形作るために重要な要素である表地と裏地の間に挟み込む芯地には、接着芯(※1)ではなく、総毛芯を使用しています。総毛芯には、胸のボリュームを立体的に作ることや、前肩が当たらない着心地を実現するために本バス芯(※2)を使用。また衿芯には麻芯を使用し首の形状に添う着用感を実現しています。
緻密なパターン設計に加え、技術を要するフラシ総毛芯、一枚衿仕立て、仕上げ技術を駆使しました。丈の調整や裏地・ボタンが選べるセミオーダーでご提案します。
※1 アイロンの熱で樹脂を溶かし接着し生産効率を向上させる、大量生産に多くみられる製法。
非接着に比べると本来の表地の風合いや通気性が損なわれることもある。
※2 胸増芯に馬の毛を使用したものを「バス芯=馬巣芯」と呼ぶ。通常は馬のたてがみをつなぎ合わせたものを使うが、馬の尻尾の一本毛を使用したものを「本バス芯」という。
ウィメンズ(四つボタンダブルブレスト) ¥ 99,000
メンズ (シングル二つボタン) ¥104,500
2022年春夏シーズンには、「ポール・スチュアート」のメンズより夏の着用に最適なジャージー素材を用いたジャケットとイージーパンツのセットアップ「FLOATABLE SUIT(フロータブルスーツ)」を「商品開発委員会」により開発し6月に発売。軽い着心地とフォーマル感を併せ持つ商品としてご好評いただきました。2023年春夏に本格展開する予定です。
「サンヨーソーイング 福島ファクトリー」について(ジャケット/スーツ工場)
http://sanyo-factories.jp/fukushima_factory.html
当社の子会社「サンヨーソーイング 福島ファクトリー」は、1976年に紳士スーツを生産する工場として創立。2000年頃より、パーソナルオーダーによるスーツの生産にも対応し、体型に合わせた立体的なシルエットの美しさと、着心地を追求するための技術を進化させてきました。
技術のこだわり・強み:「サンヨーソーイング 福島ファクトリー」では、衿が首から離れない、肩が当たらない、腕を前に出しやすいなどの着用感の実現と平面的ではなく立体的なフォルムの構築を理想としており、独自の工業パターン、縫製技術、丁寧な仕上げアイロンを創業以来、進化しながら続けています。
直近の動向:2021年には設備を増強し、ジャージー素材のセットアップといった直近のマーケットで求められるアイテムの縫製も可能にしたほか、レディススーツも手掛けるなど、生産の幅を広げています。
- 3.先進的な機能素材を、ブランド横断により用いた商品開発 ~ 日常をファッションでより快適に ~
生活者の日常をより快適なものにする商品開発を目的に、展開シーズンに沿った先進的な機能素材を、全社で推進し、ブランドを横断して採用。2022年秋冬シーズンは、「光電子」「パーテックス シールドエア」の2つの素材を採用し、各ブランドからコートやアウターアイテムを中心に発売いたします。
開発商品の例
ブランド横断素材 1: 「光電子」 8ブランド計20型 (¥25,300~¥165,000)
あつくなりすぎない自然なあたたかさ
光電子の最大の特徴は、着る人の体温によって生み出される自然なあたたかさにあります。
肌から出された遠赤外線(体温)を、光電子繊維に含まれた微粒子セラミックスが吸収し、効率よく自らの身体に戻すふく射を繰り返すことで、体温域の自然なあたたかさが持続します。
微細な粉末である光電子は、加工次第でさまざまな素材に練り込むことができ、中わたやダウン、糸など、用途に合わせて姿を変え、ほとんどの繊維製品へと活用することが可能です。
今シーズンは光電子を用いた中わたコート、ダウンコート、フリースジャケットなど種類豊富に展開いたします。
*光電子は株式会社ファーベストの登録商標です。
*あたたかさの感じ方には個人差があります。使用する環境やコンディションにより、効果には個人差があります。
ブランド横断素材 2: 「パーテックス シールドエア」 4ブランド4型 (¥110,000~¥154,000)
アウトドアに適するほどの高機能素材を日常に取り入れ快適に
アウトドア製品を中心に多く使われる「パーテックス シールドエア」。
通気性と軽さが特徴です。従来の透湿防水素材は雨や風を防ぐ反面、着ているうちに汗をかいて衣服内が蒸れてしまうことがありますが、「パーテックス シールドエア」は、ミクロ単位の無数の穴を持った特殊多層構造膜が湿気や熱気をダイレクトに排出し、従来の透湿素材にはないハイレベルな通気性を発揮します。着心地はしなやかで軽く通気性に優れ、動き続けてもほとんど蒸れない、ハードなアクティビティにも適するほどの機能素材です。
以上