ピジョン株式会社のプレスリリース
ピジョン株式会社 （本社：東京、社長：北澤 憲政）は、早産児・低出生体重児(※１)にママの初乳を一滴でも多く届けられるよう初乳採取をサポートするデバイス「Precious Drop（プレシャス ドロップ）」を2022年8月8日（月）より病産院向けに発売します。「Precious Drop」は、助産師として病院勤務経験のある当社社員が、その経験を活かして新たに開発した、分泌が微量である初乳を効率的に採取できる商品です。
初乳採取サポートデバイス「Precious Drop（プレシャス ドロップ）」
- 早産児・低出生体重児(※１)のために「初乳」をさく乳し、届ける意味
産後早期に分泌される初乳は、免疫物質などが多く含まれ、特に早産などで小さく生まれた赤ちゃんにとっては壊死性腸炎を防ぐなどの効果があります。また、この時期に、授乳またはさく乳により乳頭に刺激を与えることは、ママの母乳分泌を増加させるためにも重要であることが知られています。このことから、赤ちゃんのNICU（新生児集中治療室）への入院などが理由で、直接授乳ができない場合には、さく乳が行われます。1滴でも多くの初乳を赤ちゃんに届けるため、医療従事者によるママのさく乳支援は、重要なケアの１つとなっています。
- 初乳を採取するママの大変さ
赤ちゃんが産後すぐにNICUに運ばれるため、早産児・低出生体重児を出産したママは、直接授乳をすることはもちろん、赤ちゃんと一緒に過ごすこともできない場合も多くあります。母子分離を余儀なくされたママは、心身ともに辛い状況に追い込まれる中、「赤ちゃんにできることは何でもしてあげたい」と、昼夜を問わず一生懸命さく乳されています。一方、日本のNICU設置病院のほとんどでは、産後早期は初乳の分泌が微量であるため、手を使ってさく乳をし、初乳を小さなシリンジを使って一滴ずつ採取する方法が採用されています(※２)。しかしこの方法に慣れていないママにとっては大変難しく、貴重な初乳をうまく採取できない現状がありました。赤ちゃんには何でもしてあげたいとさく乳に励む中、思うように採取できないことに落胆されるママも多くいます。
- より簡単に、１滴でも多くの初乳を採取する「Precious Drop」
「Precious Drop」をシリンジに装着したイメージ
「Precious Drop」は、初乳採取のために病院で用いられているシリンジに装着して使用する、初乳の受け口となるデバイスです。開口部は初乳をすくい取りやすい形状にし、デバイス内に貴重な初乳が残らないように傾斜をつけるなど、様々な工夫で1滴でも多くの初乳をより簡単に採取できるよう開発しました。また、NICUに入院している免疫力の弱い赤ちゃん向けに、滅菌済みかつディスポーザブル仕様で、病院で扱いやすいよう衛生面への配慮もしています。
当社は、初乳採取にかかるママの負担を軽減し、早産や低体重で生まれた赤ちゃんの健やかな成長を支援するため、本商品を広く病産院において普及させていきます。
※１ 早産児…在胎週数37週未満で出生した児。低出生体重児…2,500g未満で出生した児。
※２ NICU設置病院の産科病棟へのヒアリング調査によると、100％の病院で実施されていた（n=27）(2021年実施)
- Precious Drop 商品特長
1．微量な初乳の採取に最適な開口部
開口部は、初乳の受け止めやすい口径に設計。また、接地面の形状を直線にすることで、肌との接地面積を広くし、乳房に付着した初乳をすくい取りやすくしています。さらに開口部の一方の面をくぼませることで、さく乳時・初乳採取時の視界を確保できるようにしました。
厚みと丸みがある縁で、肌当たりも良いです。
2．デバイスへの初乳の残存を最小限にした内部設計
受け止めた初乳を余すことなくシリンジに入れるため、傾斜を付加。デバイス内の残存を低減し、一滴でも多くの初乳を赤ちゃんに届けます。
3．医療現場に即した滅菌済個包装、経腸栄養用シリンジ接続可能仕様
医療現場の感染管理の観点から、個包装、電子線滅菌済み、ディスポーザブル仕様としました。
医療機関で初乳採取に広く用いられている経腸栄養用シリンジ(医療機器規格ISO80369-3対応)と接続が可能です。
- 「Precious Drop」商品概要
Precious Drop商品情報ページ（医療従事者向けサイト内）：https://ai.pigeon.co.jp/products/item-130.html
本商品は病産院向けの商品のため、ベビー用品専門店やドラッグストアでの取り扱いはありません。
- モニターの声
●実際に使っていただいたママからの声
・シリンジ内の空気も抜きやすく、母乳をよく受け止められて、とても便利で使用して良かったです。
・受け口も広く、肌当たりが痛くないので初乳を集めやすいと感じました。
・母乳を取りこぼす心配が減り、安心してさく乳できました。直接シリンジに入れたり、カップに入れた後でシリンジを使って吸うという手間が減りました。
● 実際に使っていただいた医療従事者からの声
・1ml以上に増えてきた初乳や、サラサラした母乳に使いやすそうなサポートデバイスです。
・母親自身がさく乳を行う際には、シリンジよりもサポートデバイスの方が、肌当たりが優しく、母乳も取りこぼしなく集めることができるのではないかと感じました。
- ちいさな産声サポートプロジェクトについて
ピジョンは、早産で生まれた赤ちゃん、低体重で生まれた赤ちゃん、病気の治療が必要な赤ちゃんなど、専門的なケアを必要とする赤ちゃん一人ひとりの健やかな成長を支え、ご家族がより安心し幸せを実感できるように「ちいさな産声サポートプロジェクト」を各国で行っています。
このプロジェクトの活動の一つとして、2020年より「日本橋 母乳バンク」の開設をサポートするほか、社会への普及啓発活動などの継続した支援を実施しております。
ピジョンは今後も、専門的なケアを必要とする赤ちゃんとそのご家族のために、日本はもちろん海外での支援活動、そして社会に向けた情報発信を継続的に行ってまいります。
ちいさな産声サポートプロジェクト：https://www.pigeon.co.jp/csr/tinycry/
