ランドセル工業会が2023年度の最新トレンドを発表

一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会のプレスリリース

一般社団法人日本かばん協会に属するランドセル工業会は、2022年4月に小学校へ入学する児童を持つ親を対象にランドセルの購入に関する調査を実施し、その結果を発表しました。また、ナイロン製やリュック型のランドセルなど、ランドセルも多様化するなか、子どもの体への負担について信州大学と実施した共同研究の結果を発表しました。

 明治時代に始まったと言われるランドセルの歴史。時代を超えてもなお、今でも多くの小学生の背中でその学習を支えています。時代の変化とともに、カラーバリエーションの多様化や、軽量かつ耐久性に優れた素材の開発など、ランドセルのトレンドは年々更新され続けています。ランドセル工業会は毎年4月の入学シーズンに合わせて、小学校へ入学する児童を持つ親を対象にランドセルの購入に関する調査を実施しています。近年、“ラン活”と言われるランドセルの購入検討プロセスに注目が集まる中、最新の2023年度のランドセルトレンドについてご紹介します。

■調査・研究結果のサマリー
・ランドセルを検討開始する時期については入学前年の4月が最も多いまた、約70%の家庭が7月までに
 検討を開始している
・購入したランドセルの平均価格は56,425円45,000円から65,000円のゾーンが全体の39.8%を占めている
・ランドセルを選ぶ基準については1位カラー、2位 デザイン、3位丈夫さという結果に購入前と購入後では
 「デザイン性」が「丈夫さ」を逆転
・人気のカラーは、女の子は「紫/薄紫」男の子は「黒」女の子の好みのカラーが多様化しているのに対して、
 男の子は黒が58.4%ではあるが、黒の割合は昨年より減少傾向に。
・子どもの体への負担において重要なのは、背中の接触面と圧力のバランス既存のランドセルの方が
 物を入れた時にかかる体への負担が少ない

■ランドセルの購入に関する調査 概要
調査手法   :インターネット・アンケートによる定量調査
パネル      :(株)クロス・マーケティングのアンケート・モニター
対象者条件:全国の20~69歳の男女、2022年4月に小学校に進学する児童のいる親
                   ※第一子かどうかは問わない、ランドセルを新しく購入した人(おさがり、中古ではない)
サンプル数:1500件
実施時期    : 2022年02月5日(金)~2月7日(日)

■ 年々早期化するラン活の時期
・例年同様に検討開始時期としては、 4月から回答スコアがはね上がり「1年後」を意識しての動きが伺える他、
   夏までには大半が検討している。
・また、4月以前は上昇傾向、6月以降は下降傾向となり、検討開始時期の早期化傾向は継続的。
・4月が依然としてピーク傾向。

■ 高価格帯のランドセルが選ばれる傾向に
・価格帯、平均金額(購入額)*共に緩やかに上昇。
  *加重平均による算出
(各選択肢の金額の中間値を絶対額として設定、例:10,000~14,999円であれば12,499円と設定)

■ より重視されつつある「色」や「デザイン性」
・例年同様、「色」は常に重要で、検討時だけでなく購入理由としても第一位。
・「デザイン」は検討時に丈夫さ、フィット感よりも重視されないものの、購入理由としては「色」に次ぐ要素となる。
・「価格がよかった」とする回答はわずかながらも継続的に減少傾向にある。

■「女は赤、男は黒」の概念は一層の減少傾向に
・女児では、 「紫/薄紫(スミレ、ラベンダー等)」 が引き続き最多で拡大基調にもある。
・「赤(レッド)」は継続して減少し「桃(ピンク、ローズ)」を下回り、「水色(スカイブルー)」に 肉薄されつつある。
・前年同様に男児と比べてより分散傾向だが好みの傾向が変化しつつある。
・男児では、「黒(ブラック)」が58.4%と6割を下回った。
・「黒(ブラック)」のスコアの下落傾向が継続しており、多様化の方向性がより顕著。

■ 購入に際しての情報源は、店舗からウェブに変化しつつある
・コロナ禍の長期化などもあり、参考情報源としても決め手としてもオンラインの存在感が増している。
・「GMS/大型スーパー/モール」は検討時の訪問先としても購入した場所としても昨年同様にトップとなるが、回答率が低下傾向にある。
・訪問、購入いずれにおいても「メーカー/卸のWeb」が徐々に上昇。

■ 色も形も多様化するランドセル、子どもへの体の負担が少ないのは?

 

・ナイロンリュックは背中に接地していないため、 重さが背中に分散しておらず、肩に圧力がかかりやすい。

・ナイロンリュックは、他と比較すると、 接触面積が狭く、肩に負担がかかっている。
・箱型リュックは、肩の前方部分に圧力がかかっており、人体の構造上、不快に感じる可能性が高い。

■ 専門家(信州大学 繊維学部 先進繊維・感性工学科 吉田宏昭教授)のコメント
今回の実証実験では、4種類の鞄の背負い心地を比較しましたが、ランドセルの肩ベルトが下底部で固定されているために背負って歩く時に安定しており、また、ランドセルは圧分散にも優れています。ランドセルは、お子さんにとって負担が少なく、背負って歩く時の不快感も少ないといえるでしょう。

■ ランドセル工業会 会長 林 州代のコメント
  ランドセル工業会では毎年2月にランドセルの購入に関する調査を行っています。時代の変化とともに進化をしてきたランドセルだからこそ、この調査で、その年のトレンドから世相が如実に読み取れます。
  近年の多様性の時代にあっては、「女は赤、男は黒」といった既成概念が薄まり、お子様自身が好みのカラーを選ぶようになり、それぞれの個性がより尊重されるようになりました。また、細部にまで施された刺繍や色とりどりにデザインされたランドセルが多数出現し、ランドセルの多様化が進んでいます。
  一方で、明治時代にランドセルが誕生してから、「背負うことによって、子どもの負担が軽減できる」、「両手が自由に使える」などの長所から、小学生用の通学かばんとして広く普及し続けてきました。2022年3月にランドセル工業会が行った背負い心地に関する実験では、他のリュック型のものと比べて、ランドセルは肩への負担が少ない傾向であることも明らかになっています。
  時代とともに進化しつつも、子供の負担を軽減するための背負い心地を追求し、ランドセルは今後も子供たちに寄り添い、学校へ通うのが楽しくなるように進化し続けます。

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